「ジャニーズ事務所の調査に疑念」ジャニー喜多川氏の性加害疑惑、国連の専門家が記者会見で言及

    ジャニーズ事務所が進めている「外部専門家による再発防止特別チーム」による性加害疑惑の調査について「透明性と正当性に疑念が残っている」と指摘しました。

    東京都港区のジャニーズ事務所(時事通信社)

    ジャニーズ事務所の創業者である故・ジャニー喜多川氏による性加害疑惑に関して、国連の専門家が記者会見で言及しました。

    国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会のメンバーは8月4日、都内で記者会見を開き、性加害疑惑について触れました。

    被害を訴える人々にヒアリングした結果、ジャニーズ事務所では「タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」とした上で、「日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」と、国内で報道がタブー視されてきたとしました。

    また、ジャニーズ事務所が進めている「外部専門家による再発防止特別チーム」による性加害疑惑の調査については「透明性と正当性に疑念が残っている」と指摘しました。

    国連の専門家による記者会見の動画(KYODO NEWSがYouTubeで配信)

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    KYODO NEWS / Via youtube.com

    ※ジャニーズ事務所についての言及は1時間9分あたりから


    作業部会のメンバーは7月23日から来日して、日本のさまざまな企業における「ビジネスと人権」の問題を実地調査していました。今後、日本政府に対する最終的な見解と勧告を含む報告書を作成し、2024年6月の国連人権理事会で報告する予定です。

    国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会のピチャモン・エオファントンさんのジャニーズ事務所に関する発言は下記のとおりです

    「ジャニーズ事務所のタレントが絡むセクシャル・ハラスメント被害者との面談では、同社のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明らかになったほか、日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられています」

    「私たちは政府がこれまで20年にわたり、子どもの性的虐待防止につき、いくつかの措置を講じてきたことに留意します」

    「しかし、政府や、この件について私たちがお会いした被害者たちと関係した企業が、これについて対策を講じる気配がなかったことは、政府が主な義務を担う主体として、実行犯に対する透明な捜査を確保し、謝罪であれ、金銭的な保証であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性を物語っています」

    「証言によると、ジャニーズ事務所の特別チームまたは独立チームによる調査については、その透明性と正当性に疑念が残っています。ジャニーズ事務所のメンタルケア相談室による、精神衛生相談を希望する被害者への対応は不十分だとする報告もあります」

    ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)のコンプライアンスをはかるためには、あらゆるメディア・エンターテインメント企業が救済へのアクセスに便宜をはかり、正当かつ透明な苦情処理メカニズムを確保するとともに、調査について明快かつ予測可能な時間軸を設けなければなりません」

    「私たちはこの業界の企業を初めとして、日本の全企業に対して積極的に人権デューデリジェンスを実施し、虐待に対処するよう強く促します」