怪獣映画の名作『ゴジラ』の誕生から、まもなく70年。その記念作品として11月3日から新作映画『ゴジラ-1.0(ゴジラ マイナスワン)』の全国公開が始まりました。
1954年の初代『ゴジラ』を彷彿とさせる戦後間もない日本が舞台。『ALWAYS 三丁目の夕日』で知られる山崎貴監督が国民的な人気怪獣ゴジラをどう描くか注目されています。
そんなゴジラの知られざるトリビアをお送りします。
ゴジラの名前は、東宝のスタッフのニックネームにヒントを得て生まれたものだった
初代『ゴジラ』は、米軍がビキニ環礁で行った核実験が当時、社会問題になっていたことにヒントを得て、東宝のプロデューサーの故・田中友幸さんが発案しました。
仮にビキニ環礁の近くの海底に恐竜が眠っていて、水爆実験のショックで眼を覚まし、異常発達し、特殊な性能をもって日本へ上陸してきたらどうなるか……という企画です。仮タイトルは『海底二万浬(かいり)から来た大怪獣』でした。
実際に制作がスタートすると、この仮タイトルでは長すぎる……ということで、ゴリラとクジラを合体させて「グジラ」と呼ばれていた社内スタッフのニックネームを元に「ゴジラ」と名付けられたそうです。
1983年に出版された本に田中さんが寄稿したコラムには、以下のように書かれています。
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<ところで題名は「海底二万浬から来た大怪獣」では長くて仕方ない。その頃、東宝の演劇部の課長で、ゴリラのとクジラのあいのこといった意味で「グジラ」というニックネームをお持ちのご仁がいた。なんともゴロがよく、さっそくその名を頂戴することにした>
『東宝特撮映画全史』(東宝株式会社 出版事業室)より
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「ゴリラのような容貌でクジラが好き」ということで生まれたニックネームだった模様
やや細部は異なりますが2014年に出版された別の書籍でも、やはり田中さんが東宝のスタッフの1人が「グジラ」と呼ばれていたことから発案した旨が書かれています。
ここでは、グジラと呼ばれてたスタッフが網倉志郎さんであり、「ゴリラのような容貌でクジラが好き」なことが由来だったと明かされています。
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<脚本作りと平行して田中が悩んだことは、映画のタイトルになる怪獣の名前だった。そんな時、企画者の佐藤一郎が田中に東宝演劇部の網倉志郎がゴリラのような容貌でクジラが好きなので「グジラ」というあだ名だと教えてくれた。そこで田中はその語呂を生かしつつ、ゴリラとクジラを合体させた「ゴジラ」という名を考えたのである>
『ゴジラ キャラクター大全 東宝特撮映画全史』(講談社)より
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もし網倉さんがクジラ好きでなかったら、グジラというあだ名で呼ばれることもなかったでしょう。まもなく70歳を迎える人気怪獣も「ゴジラ」ではなく、全然違う名前で呼ばれていたのかもしれませんね。
あまり生活の役には立ちませんが、ちょっと得した気持ちになる特撮豆知識をお送りしました。