「今年のハロウィンは阿修羅像になりきってみました」。そんな言葉とともにSNSに投稿された写真が話題になっています。
この写真を10月31日、X（旧Twitter）に投稿したのは、浅井企画所属の仏像大好き芸人で、お寺仏像研究家の「みほとけ」さん（@mihotoke_chan）です。
顔が3つに手が6本。眉をひそめた勇ましい表情まで含めて、有名な阿修羅像そっくりの姿を披露しました。
ハロウィンの仮装としては気合いが半端ない写真に11月2日時点で4000件以上の「いいね」がつき、こんな反響が寄せられました。
💬「な、なんというクオリティ！！」
💬「仏像好きが本気中の本気で阿修羅になると、ここまでになるんや」
💬「これはもう現代に甦った阿修羅でしょう」
ちなみに阿修羅とは？ 魔神だったのが仏法の守護者に
『世界大百科事典』（平凡社）によると、阿修羅とは「インド神話における鬼神の一種」と書かれています。古代インドの言葉・サンスクリット語の「アスラ」を漢字で書き起こしたものだそうです。
『阿修羅を究める』（小学館）に収録された宮治昭氏のコラムによると、アスラは、もともと生命力に富んだ神々を指す総称でした。古代ペルシア（現在のイラン）ではゾロアスター教の主神「アフラ・マズダ」となりました。
一方、インドでは時代が経つにつれて、「アスラ」は神々の敵であり魔神とされました。しかし、その悪鬼的な性格が仏教に取り入れられた際に、再びイメージが変わります。中国や日本では阿修羅を「天竜八部衆」の一人として、仏や仏法の守護者として盛んに造形されるようになったのです。
3つの顔と、6本もしくは8本の手を持つ姿で描かれることが多いことで知られています。
「メイクもカメラも衣装もこだわりが詰まってます」みほとけさんとの一問一答
それにしても、なぜハロウィンに阿修羅の仮装をしようと思ったのでしょう。BuzzFeed Japanは、みほとけさんに取材しました。
すると今回の写真は、都内のマンションで10月下旬、写真家の半田カメラさん（@handa_camera）が撮影・画像編集を担当したものだそうです。
阿修羅を題材に選んだ理由について「彼の魅力がたっぷりなことと、とてつもなく有名なお姿なので多くの人にとってわかりやすいのかなと思って選びました」と答えてくれました。
詳しい一問一答は、以下の通りです。
――阿修羅像のどんなところが魅力的だと感じていますか？
少年のような若々しいお顔ながら、物憂げな表情と、プロポーションが抜群なことです。仏像のなりきりをしながら再発見しましたが、怒っているのではない、悲しんでいるだけでもない、思慮深く混沌とした世界を見つめるかのような表情なんです。
たくさんの感情を想起させてくれるお顔立ちに心を掴まれました。また、あれだけの顔、手の数なのに、全体としてのバランスがとても自然です。実は手がすごく細くて長い、顔は三つだが髪の毛は1束に纏まってる、三つの顔を支えるための首は太い、一つ一つが微妙なバランスで繋がりをもって、あの美プロポーションが実現されていました。
――頭が3個、手が6本と阿修羅の姿を再現されていますね。これは別々に撮った3枚の写真を画像編集ソフトで合成したものでしょうか？
半田カメラさんが、同じポジションから顔3パターン、腕3パターンを撮影して、編集ソフトで合成しました。先ほど答えたようなバランスを再現すべく多少の加工は加えましたが、加工しすぎてはAI画像のような嘘っぽい写真になってしまうので、極力小さな編集を加えて2日間かけて編集してくださいました。
――眉をひそめた表情が印象的ですが、今回の撮影にあたって特に気をつけたことはどんなところでしょう？
先ほど答えたようなプロポーションの研究と衣装の準備、それから仲間に協力してもらうことです。半田カメラさんの紹介でプロのメイクさんを呼んでもらい、カツラや体を古い仏さまのように塗ることから力を入れました。衣装は雑貨屋さんや布屋さんを協力して巡って、自主制作。布のイラストは自分で描きました。メイクもカメラも衣装もこだわりが詰まってます。
