国立・東北大学(仙台市)の英語の入試問題が、受験生に精神攻撃を与えにきていると話題になっています。
どんな問題だったのか?
注目されたのは、2月25日実施の東北大学(前期日程)の英語「大問III」。
問題文は、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを例に挙げ、「通信技術が人々をより孤独にするか」というテーマについて賛成・反対の立場から学生がディベートをする……という内容でした。
この中で「通信技術は人を孤独にする」という立場の学生は、「CNNによると、10代の人々は1日に100回以上SNSをチェックし、スマホを毎日9時間使用している」とした上で、こんな意見を述べます。
「それは生きていると言えますか?もしくは、単なるスマホの奴隷ではないですか?」
そして、この学生はこう言い放つのです。
「私は、Twitter上に何千人ものフォロワーを持っている人々を知っていますが、その人々の周りには真の友達と呼べる人はほとんどいません」
こうした辛辣な言い回しに、Twitterでは「受験生に精神攻撃をして耐えられるものを選別する影の試練」「メンタル攻撃つらい」「東北大2019英語に圧倒的煽りを食らった」などの声がある一方、「パンチ効いてる」「腹抱えて笑ってる」「東北大の英語面白いね」などと評価する声もありました。
東北大の前身、国籍を超えた交流
今回の問題が出題された東北大学の前身「仙台医学専門学校」。明治時代には、『阿Q正伝』などで知られる中国の小説家・魯迅が籍を置きました。
ここで魯迅は、解剖学者の藤野厳九郎教授と出会います。藤野教授は魯迅のノートを始めから終わりまで丁寧に添削。これに魯迅は、感激したと書き残しています。
魯迅は藤野教授をはじめ様々な人との交流を重ねますが、やがて文学による中国近代化を志し、学校を去ることを決意します。
藤野教授は魯迅が仙台を去る直前に1枚の写真をプレゼント。それは藤野教授のポートレートで、裏面には「惜別」の文字が書かれていました。この写真は、魯迅にとって大きな励ましになったと言われています。
のちに魯迅は、仙台で過ごした頃を題材に小説『藤野先生』を著しました。かつて仙台の地では、国籍を超えた師弟の交流があったのでした。