「社長が部下の顔を、しゃぶしゃぶ鍋に押し込んだ」
11月21日発売の「週刊新潮」が報じた芸能事務所の社長によるパワーハラスメント問題で、被害者とされる元社員の男性が22日午前10時半過ぎから記者会見を開いた。
「デイリー新潮」によると、この男性は雑誌「Popteen」の元モデルなどが所属する東京・渋谷区の芸能プロダクションの元社員だった。
同誌は、頭を掴まれた男性が湯気の立ち上るしゃぶしゃぶ鍋に顔をつけられている様子を捉えた動画を公開している。
会見に同席したレイ法律事務所の河西邦剛弁護士によると、「デイリー新潮」が公開した動画は、2015年12月20日に芸能事務所が主催した忘年会で撮影されたものだという。
この忘年会には、事務所社長、男性とその友人、所属するモデル、取引先の人物の合計10人ほどが参加していた。
男性の顔、2度も鍋に…
河西弁護士が説明した当時の状況は以下の通り。
- 忘年会は2015年12月20日の20時からはじまった。現場は渋谷の居酒屋。
- 忘年会の最中、社長が「おもしろいことやれ」と発言。
- 男性は「できない」としたが、社長は「じゃあ、飲め」と発言。
- 社長は、男性が苦手とする柑橘系の酒(レモンサワー)をピッチャーで飲むようにすすめた。
- 社長はピッチャーの底を持って、一気飲みを強要していると言われかねない状況だった。
- その後、社長が男性の首を掴んでしゃぶしゃぶの鍋に顔を押し込んだ(1回目)
- その後、社長は背後から右手で男性の首を、左手で男性の上腕を掴むようなことをした。
- 社長は右手で男性の首付近を掴み、その状態のまま顔を鍋の方に近づけた。
- 鍋に着水する瞬間、男性は顔を止めた。その直後、社長は右手を男性の頭部にずらし、男性の顔を鍋に押し込んだ(2回目)
- 男性の顔面は、正面から鍋に着水。沸騰していたであろう鍋の中の液体に接触した。
社長からは「顔がやばいから、帰ったほうがいい」という発言があったが、謝罪の言葉はなかったという。
忘年会が終わると、男性は泥酔した状態で電車(山手線)に乗って帰路についたが、乗り過ごしたため渋谷の事務所へ向かったという。
電話で友人を呼んだところ「本当にまずい」と病院に行くようにすすめられた。診察の結果、火傷の診断を受けたという。
河西弁護士は会見の中で、「左頬に表面剥離あり」「痛みあり」「水疱は潰れている」などと記された当時の診療記録を紹介した。
翌日、社長が自宅を訪れ「お前、自分から頭突っ込んだんだよな」「何日後から仕事できるの? 2〜3日後からできるんだよな?」などの言葉を掛けたという。
3年前の事件、なぜいま公に?
河西弁護士によると、男性は大学生のころに事務所社長と出会った。手伝いを始め、その縁で社長が経営する芸能事務所に入社したという。
ところが、社長によるパワハラは常態化していたという。
男性が業務を遅刻した時には、坊主や罰金10万円の支払いを命じられたり、時には顔を殴られたこともあったと、河西弁護士は説明した。
男性は当時の状況について「精神的にやられていて 、洗脳されていた」「周りの方が助けようとしてくれていたが、“大丈夫です”と話していた。社長が怖かった」と証言した。
さらに男性は「以前からパワハラを受けており、社長に嫌だと言うと後日詰められたりした。後日怒られる恐怖、いやでもやるしかないという感じだった」と語った。
3年前の事件を、なぜいま公にしようと思ったのか。
男性は「自分がきっかけになって所属していたタレントの半分以上が(事務所を)辞めている」ことを理由に上げた。その上で、「(社長に)罪を償ってほしい」と述べた。
男性側は今後、刑事告訴と損害賠償請求の民事訴訟を検討しているという。