羽生竜王が敗れる。タイトル100期は最終局へ、負ければ27年ぶり”無冠”に

    平成という時代を通じて、将棋界に君臨し続けてきたのが「羽生善治」という棋士だった。

    将棋の第31期「竜王戦」七番勝負の第6局2日目が12月13日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」で指され、81手で挑戦者の広瀬章人八段が勝利した。昼食休憩前に終局する、異例の速さだった。

    羽生善治竜王のタイトル100期は、最終局の第7局へと持ち越しとなった。

    【第31期竜王戦七番勝負第6局】 #羽生善治 竜王VS #広瀬章人 八段 2日目のスケジュール 9:00  封じ手開封 10:00 おやつ 12:30~13:30 昼食休憩 15:00 おやつ #竜王戦

    これまでの5対局では、羽生竜王が広瀬八段に対し、3勝2敗でリードしていたが、これで3勝3敗のタイとなった。決着は最終第7局(12月20日・21日)へ持ち越しとなった。

    広瀬八段の猛攻が光った。

    第6局は、2日制の竜王戦としては展開の早い将棋となった。

    午前9時、広瀬八段の「封じ手」が開封され、対局がはじまった。封じ手は「▲8五飛」だった。

    おはようございます。「第31期 #竜王戦 七番勝負第6局2日目 」の模様をお送りしております。広瀬八段の封じ手は「8五飛」でした。 解説:阿久津主税八段、聞き手:内田 晶 【配信ページ】https://t.co/0GgSVDJUUX ※本局は無料メルマガ会員の方もご視聴可能 #将棋プレミアム生中継

    広瀬八段は55手目で「▲2一飛成」と指した。攻撃力の高い「竜」を用いて、敵陣の左右から相手の「玉」を狙った。

    これに対し、羽生竜王は58手目で「△7五香」。32分の長考からの手だった。

    広瀬八段はさらに59手目で「▲2四桂」攻めに出た。後がない広瀬八段、8年ぶりのタイトル獲得、そして念願の竜王位奪取に向けて猛攻を見せた。

    午後12時7分、羽生竜王が投了。「負けました」の一声を告げ、頭を下げた。

    投了図です。終局は午後零時7分、広瀬八段の81手目、▲3二金まで。残り時間は広瀬八段が3時間40分、羽生竜王が2時間4分でした。

    竜王戦で2日目の昼食休憩前に対局が終わるのは初めてだという。

    終局直後、大盤解説会場に現れ、拍手で迎えられる両対局者。


    次回の第7局は12月20日・21日。決戦の舞台は下関・春帆楼。ふぐ料理で知られ、日清戦争の講和条約「下関条約」の締結地となった老舗旅館だ。

    羽生竜王、タイトル100期に向けて正念場

    次の第7局、羽生竜王が勝てばタイトル100期の偉業達成。負ければ1991年以来、無冠となる。

    広瀬八段にとっては、勝てば悲願の竜王戦初制覇。どちらが勝っても、将棋界の歴史に残る大一番となる。

    羽生竜王が初めて竜王位を獲得したのは19歳のとき、平成元年(1989年)のことだった。

    デビューわずか4年での快挙で、かつ当時の最年少タイトル獲得記録だった。

    羽生竜王は1991年から現在に至るまで、常に一つ以上のタイトルを保持し続けている。生涯に一度もタイトルを獲得できなかった棋士が多い中、類を見ない存在だ。

    平成という時代を通じて、将棋界に君臨し続けてきたのが「羽生善治」という棋士だった。

    平成を代表する偉大なる棋士が、平成最後の竜王戦を勝利で飾れるか。注目が集まる。