ノーベル賞、日本人の受賞を新聞各紙が予想 有力候補はこの人たちだ

    10月1日の「医学・生理学賞」を皮切りに、「物理学賞」「化学賞」「平和賞」「経済学賞」が発表される。

    Desha-kalyan Chowdhury / AFP / Getty Images

    2018年も10月を迎え、「ノーベル賞」の季節がやってきた。

    10月1日の「医学・生理学賞」を皮切りに、「物理学賞」(2日)・「化学賞」(3日)、「平和賞」(5日)、「経済学賞」(8日)が発表される。

    特に「医学・生理学」「物理学」「化学」の自然科学3賞で日本人の2年ぶり受賞がなるか、注目が集まっている。

    文学賞については、選考委員のセクハラ問題が発覚したことを受けて、今年度の発表は見送られた。

    今年はどんな顔ぶれが受賞するのだろうか。新聞記事などから、今年度の受賞予想を見てみよう。

    米情報調査会社「医学・生理学賞は、金久実氏が有力」

    genome.jp

    米情報調査会社のクラリベイト・アナリティクスは9月20日、金久実・京都大学特任教授をノーベル医学・生理学賞の有力候補者として発表した。読売新聞などが報じた。

    金久氏は、世界で発表された科学論文の結果などのデータを集めて統合。ヒトや微生物などの生体内で、タンパク質や遺伝子などがどのように関わっているのか相関関係を図で示した「KEGG」と呼ばれるデータベースを1995年に開発した。

    毎日新聞(9月21日)は「生物の体内で行われる代謝などの化学反応と遺伝子の関係といった複雑な仕組みを示す情報が盛り込まれたことから、世界中で利用されるようになった」と、その業績を紹介している。

    朝日「物理学賞は、十倉好紀・東大教授が有力」

    恩賜賞を受賞した東京大学大学院の十倉好紀教授(左)から研究の説明を受ける天皇、皇后両陛下=時事通信

    朝日新聞は9月27日、自然科学3賞で有力視される分野と、受賞が期待される日本の研究者を紹介した。

    ■医学・生理学賞

    坂口志文・大阪大栄誉教授

    業績:免疫が過剰に働くのを抑える「制御性T細胞」を発見

    本庶佑・京大特別教授

    業績:がん免疫治療薬「オプジーボ」のもとになるタンパク質を発見

    森和俊・京大教授

    業績:細胞内のタンパク質の品質管理を担う「小胞体ストレス応答」という現象の仕組みを解明

    遠藤章・東京農工大特別栄誉教授

    業績:血中コレステロール値を下げる物質「スタチン」を発見

    ■物理学賞

    十倉好紀・東大教授(理化学研究所・創発物性科学研究センター長)

    業績:電気と磁石の性質をあわせ持つ「マルチフェロイック物質」を開発。

    細野秀雄・東京工業大教授

    業績:透明な酸化物から半導体をつくることに成功。鉄を含む超伝導物質や、アンモニアを効率よく合成する新たな触媒物質を発見

    大同特殊鋼 顧問・佐川真人氏

    業績:世界最強とされる磁石「ネオジム磁石」を開発

    近藤淳・産業技術総合研究所名誉フェロー

    業績:電気抵抗の特殊な現象を理論的に解明

    香取秀俊・東京大教授

    160億年で1秒しかずれない超高精度の原子時計「光格子時計」を発明

    ■化学賞

    藤田誠・東大教授

    業績:分子が自発的に集まる「自己組織化」の研究

    北川進・京大特別教授

    業績:金属イオンと有機分子で無数の微細な穴を持ち、特定のガスを出し入れする材料を開発

    吉野彰・旭化成名誉フェロー

    業績:リチウムイオン電池の開発に貢献

    藤嶋昭・東京理科大栄誉教授

    業績:抗菌や汚れ防止に役立つ「光触媒」の反応を発見

    澤本光男・中部大教授

    業績:工業や医療に役立つ高分子材料の精密な合成に関する研究

    朝日新聞は医学・生理学賞について、体を病原体などの異物から守る「免疫」のはたらきに関心が集まっていると伝えた。

    この分野では、米国のジェームス・アリソン博士を「最有力の候補」と紹介。アリソン博士は免疫チェックポイント分子「CTLA-4」の機能を解明し、手術・放射線治療・抗がん剤に続く「第4のがん治療の道」を開拓した。

    折しも日本では、免疫の働きを解説するアニメ「はたらく細胞」が人気に。アニメ公式サイトが細胞の働きを説明する擬人化イラストを教育・研究用に無償提供することを発表し、話題になった。

    物理学では、物質の性質を探究する「物性」物性が有力とみる専門家が多いと紹介。有力な研究者として、十倉教授の名前を挙げた。

    化学賞については「生化学の分野から選ばれる可能性が高い」と予想。イスラエルのウルフ財団の「ウルフ賞」を受賞した藤田教授を「有力候補」とした。

    産経「医学・生理学賞は、森和俊・京大教授が最有力」

    記者会見で米ラスカー賞基礎医学部門の受賞決定通知書を掲げる森和俊教授

    産経新聞は9月30日に「2年ぶり日本人期待」との見出しでノーベル賞候補者を紹介した。

    ■医学・生理学賞

    森和俊・京大教授

    業績:細胞内のタンパク質の品質管理を担う「小胞体ストレス応答」という現象の仕組みを解明

    本庶佑・京大特別教授

    業績:がん免疫治療薬「オプジーボ」のもとになるタンパク質を発見

    坂口志文・大阪大栄誉教授

    業績:免疫が過剰に働くのを抑える「制御性T細胞」を発見

    ■物理学賞

    大同特殊鋼 顧問・佐川真人氏

    業績:世界最強とされる磁石「ネオジム磁石」を開発

    十倉好紀・東大教授(理化学研究所・創発物性科学研究センター長)

    業績:電気と磁石の性質をあわせ持つ「マルチフェロイック物質」を開発

    細野秀雄・東京工業大教授

    業績:透明な酸化物から半導体をつくることに成功。鉄を含む超伝導物質や、アンモニアを効率よく合成する新たな触媒物質を発見

    古沢明・東大教授

    業績:量子コンピューターの基礎技術を開発

    ■化学賞

    神谷信夫・大阪市立大教授、沈建仁・岡山大教授

    業績:植物の光合成を担うタンパク質の構造を解明

    藤田誠・東大教授

    業績:分子が自発的に集まる「自己組織化」の研究

    北川進・京大特別教授

    業績:金属イオンと有機分子で無数の微細な穴を持ち、特定のガスを出し入れする材料を開発

    山本尚・中部大教授

    業績:微細な穴を持つ新材料を開発

    ■経済学賞

    清滝信宏・プリンストン大教授

    業績:土地や住宅などの資産価格の下落が不況を長期化させる仕組みを「清滝・ムーアモデル」で解説

    産経新聞も自然科学3賞の候補者を手厚く紹介。朝日新聞が挙げた候補者と重なる人物が多い。

    まず「日本人で最も有力視される」として、森氏の名前を紹介。医学・生理学賞の登竜門とされる「ラスカー賞」「ガードナー国際賞」をすでに受賞していることも理由としている。

    物理学の分野では「物質の性質を研究する分野」での受賞が予想されると指摘。佐川氏、十倉氏、細野氏の名前を挙げた。

    これまで日本人が唯一受賞していない経済学賞では清滝教授を「有力候補」と説明した。

    ノーベル平和賞は、あの2人…?

    Pool / Getty Images

    ノーベル平和賞には、様々な候補の名前があがっている。

    ノルウェーのオスロ国際平和研究所は、「国連世界食糧計画(WFP)」や、紛争地での性暴力の被害者救済に取り組むコンゴの医師・ムクウェゲ氏らを有力候補として紹介している。

    一方で、英国のブックメーカー「コーラル」(9月29日付)の予想オッズでは、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の同時受賞が1番人気となっている。

    UPDATE

    スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月1日、2018年のノーベル医学・生理学賞に本庶佑・京大名誉教授と、アメリカのジェームス・アリソン博士を選出したと発表した