東京都の小池百合子知事は2月18日、東京の日本外国特派員協会での記者会見で、報道陣から今後の政治活動について問われる場面があった。
2期目を目指すのか、将来の国政復帰は考えるか。女性初の総理大臣を目指す志はあるのか。そう問われた小池知事は、「私は2020年の大会の準備に集中している」と述べるのみだった。
なぜ今のタイミングで、知事の進退を巡る質問が飛んだのか。それには、小池知事が知事に就任した2016年から懸念され続けてきた「ある問題」があるからだ。
懸念される、小池知事の任期問題
東京オリンピックを前に懸念されているのが、2020年7月に想定されている都知事選だ。
地方自治法で、知事の任期は4年と定められている。小池知事の任期は2020年7月30日まで。
東京オリンピック・パラリンピックの開催期間は2020年7月24日〜2020年8月9日。現状では、小池知事はオリンピックの開催期間中に任期満了を迎える。
一方で公職選挙法では、任期満了前の30日以内に知事選を実施することが決められている。
「任期を3年半とする方法も」
小池知事は2016年6月、都知事選出馬に際し「任期を3年半とすることによって、混乱を避ける方法もある」という持論を述べている。
「自治体の長の任期が、決められていることはいうまでもございませんが、これは意思として3年半と区切り、それを公にして、実行していく。それによって、混乱を避けるという知恵でございます」
(2016年6月29日の会見)
仮に3年前の発言に則れば「あと11ヶ月」で辞職となる。東京オリンピック前に辞職する場合、どんなシナリオが想定されるのか。
まず、地方自治法で定められた任期を都知事が独断で変更することはできない。となると、自ら辞職する可能性が考えられる。
ただ、仮に任期途中で辞職し「出直し選挙」に打って出て再選された場合も、辞職前の任期をそのまま引き継ぐことになる。辞職の申立てによって告示された選挙がなかったものとされる特例ルール(公職選挙法259条の2)が適用されるからだ。
つまり、仮に小池知事が任期途中で辞職し、出直し選挙で再選されたとしても、東京オリンピックと任期満了が重なることは避けられない。
過去には、国が特例法で選挙日程を延期した例がある。統一地方選挙が行われた2011年には東日本大震災が発生。「選挙を適正に行うことが困難」として、総務大臣が指定した地域で首長や市町村県議会議員選挙が延期された。
小池知事、今年に入って政治団体を設立
小池氏は今年に入って、自身が代表を務める新たな政治団体「百成会」を設立した。
都知事選での再選出馬に向けた足場固めとの見方もあるが、小池氏は「そういう会を設けてほしいという支援者の声も多かったので設けた。それ以上でも以下でもない」と述べるに留めている。
こうした水面下の動きもある中での会見だったが、小池氏はオリンピック・パラリンピックに関する東京都の準備状況や街づくりの方針などを説明。任期問題には言及しなかった。