大泉洋はボヤき続けた。「水曜どうでしょう」新作公開で4人が語ったこと(全文)

    「水曜どうでしょう」の新作公開を受けて、出演陣の「ミスター」こと鈴井貴之と大泉洋、制作陣の藤村忠寿、嬉野雅道両ディレクターが10月5日、BuzzFeed Japanなど報道陣の取材に応じた。

    「水曜どうでしょう」の新作公開を受けて、出演陣の「ミスター」こと鈴井貴之と大泉洋、制作陣の藤村忠寿、嬉野雅道両ディレクターが10月5日、BuzzFeed Japanなど報道陣の取材に応じた。

    大泉は「私は忸怩たる思いですよぉ?そりゃあ、はっきりいいますよ。前作よりつまんないですよ」「日曜劇場の主演をする俳優で、誰がこの番組の放送を許すだろうかと。声を大にして言いたい」と、往年のボヤキ芸を炸裂させた。

    4人は現在、札幌で開催中の「水曜どうでしょう祭 FESTIVAL in SAPPORO 2019」会場(ばんけいスキー場)で取材に応じた。

    まずは「どうでしょう軍団」があいさつ

    ――(司会)まず今日集まってくださった方々にごあいさつを…。

    藤村:ご挨拶!?こんにちわ!

    嬉野:そうですねえ…ようこそ!

    大泉:だいたいバカに挨拶させるとこうなりますよ(笑)。

    私もですか?どぉも、こんにちわ。

    ミスター:ほんとに皆さん申し訳ございません…。

    報道陣:(笑)

    藤村:最後、謝っちゃったもの。

    ミスター:本当に悪天候の寒い中お越しいただきありがとうございます。

    なんとか6年ぶりの開催で。全国、津々浦々から沢山のお客さんが集まっていただいておりますので、紙面ほうは温かい文章で、ひとつ宜しくお願いいたします…。

    大泉:彼に免じて宜しくお願いいたしますね。ええ。

    ミスター:あら、もうストーブがついているんですね。

    大泉:東京はまだ30度超えですからねえ。

    ミスター「新作も姿勢は変わらない」

    ――今回の新作について、これまでのシリーズとなにか違いますか?

    藤村:感覚だけお話すると、我々迷走してますっていうね。これからどうしていいのやらというところを改めて露呈して、露呈した中でどうするかっていう。

    嬉野:作戦ってことですよね。

    藤村:作戦ですよ完全に(笑)。先にみんなに言われる前に言っちゃったっていう。「水曜どうでしょう」、これからどうなるか。我々の方から「迷走してます」って言っちゃうっていうね。

    大泉:まあ確かに、今までの違いってことで言いますと…どこまで言っていいのか難しいところでございますねえ。放送前ですからねえ。

    まあ私にしてみたら、企画発表のときに随分としつこく「大泉さんはなにをしたいですか」と聞かれたのが新しかったですね。随分としつこかった。

    嬉野:責任を投げられたというか。

    大泉:そう…。昔であれば、「アカプルコへ行きたい」で終わっていたんですが、随分としつこく…。

    藤村:そういう話では終わらせないというね(笑)

    大泉:随分とネチネチと聞かれたなと。

    ミスター:僕はなんかこう、新しいとか今までと違うとか、色々そういうところが語られたり問われるかもしれないけど、実は本質的なものは変わってないんじゃないかなと。

    「水曜どうでしょう」が新作をやると言ったら期待がありますが、期待されても困るんだよね(笑)。姿勢が変わんない(笑)。

    アウトプットされる作品的には「ちょっといままでとは見映えが違うよね」っていうものがあるかもしれませんが、本質的な根底にあるこの番組に取り組む姿勢とか、そういうものは昔から変わってないので。

    「何が新しいんですか」「どこが違うんですか」って聞かれると僕なんか困っちゃう…というのが正直な所。

    藤村:困っちゃうよね。

    ミスター:今までと変わりないですから。それがある意味、「水曜どうでしょう」の魅力。もっともっと頑張って、more more(モアー、モアー)で、「前作よりもっと面白いですよ」「もっとすごいですよ」っていうものをつくらなきゃいけない…と思ってない。

    今できることはこれだけだと。さらにはもしかしたら、前作より下がっているという評価になろうが、それを出すっていうのが。僕らは大泉くん以外50歳以上なので、人間としては下っていってるんですよ。老いがありますから。

    藤村:それはしょうがないもんね。

    大泉:(笑)

    ミスター:そこをなんでもっと上がっていかなきゃいけないのかと。頑張った所でしんどさが見えるだけで、いろいろな見にくいものが露呈されるだけであって。

    今、大泉くんは脂がのってピークですよ。年齢的にも。でも、僕らはみんな年齢的に下がっているんですから。その下がっている姿を正直に見せるところが唯一、強いて言えばそこに「勇気」がある。

    藤村:ワッハッハッハッハ…そうだねえ(笑)「勇気」っていい言葉に言い換えましたけどね(笑)

    大泉「私は忸怩たる思いですよぉ?」

    大泉:まあ、そこに残りの3人と私の大きな違いがありまして…。私はそうは思っていない!

    前作よりも、いままでよりも面白いものをと私は思っているわけです。が、老いていく3人はそう思っていないんで。

    全員:(笑)

    大泉:昔はこの人たちも血気盛んで、やる気のない私を連れ回していた。今は老いていく3人に、私は非常に危機感を感じている。

    嬉野:いいですねえ(笑)

    大泉:「もっともっとだ!」「more moreだ!」と挑んでいるにも関わらず、この人達どんどんやる気がないから。また若い時とは違う対立構造ですね?

    藤村:ワハッハッハッハ。ぼやいてた(笑)

    嬉野:このバランスったらないですよ(笑)

    大泉:ありましたよ。若い頃は、この人たちに連れ回されて文句があったけど、今はこの不甲斐ない3人に対して、私は「もっとでしょ!」って言っているんだ。

    今回も体制側と私側に、大きな隔たりがあるロケにはなっていますよぉ?

    藤村、嬉野:なってますよぉ。

    大泉:私は忸怩たる思いですよぉ?そりゃあ、はっきりいいますよ。前作よりつまんないですよ!

    全員:(爆笑)

    大泉:忸怩たる思いはあるけども、「しょうがないんだ!」とこの人たちは言うわけですけども。それが大きく違うところですよ。私は「もっと、もっと!」と思ってますよぉ。

    こっちは今、脂が乗り切ってるんだ。この3人は下ってるんだものぉ。うれしーなんか還暦になっちゃってるし。

    批判は甘んじて受けますけども、私は「まだまだやる気があるんだ!」ということは書いておいてもらわないと。3人とは違うと。

    全員:(爆笑)

    藤村:鈴井貴之は「勇気」という言葉をつかいましたけどね?(笑) 何を言ってんだと(笑)

    大泉:ええ、ええ。俺は違うんだと。

    藤村:そりゃあそうだ。

    新作には「期待するな」

    ――番組開始から23年、意外な発見はありましたか。

    大泉:まあ、いま私が語り尽くしてしまいましたけども。ここまでやる気がなくなったのかというのが新しい発見ですよ。

    全員:(爆笑)

    大泉:やはりね、「どうでしょう」という番組は、皆さんは我々が旅に出れば成立するかと思ってるかもしれない。

    非常に自然に旅をすれば「どうでしょう」という番組は面白くなると、君たちは思っているかもしれないけども、そうでは無いんですよね。

    そこには、必死に面白くしようとしている我々がいたから面白くなっているわけであって、そこをいよいよ放棄し始めたのが、この人たちですよぉ。

    藤村:その努力もしなくなってきたと(笑)

    大泉:今回の新しいロケでも、以前は藤村くんが私をいじって成立するのがあったけども、今回はそれすら放棄し始めた彼に対して、いよいよ私の方から「ここらで一つものまねでもしましょうか?」と提案しましたもの。

    全員:(爆笑)

    大泉:もう涙ぐましい提案がいっぱいあります。であれば「どうぞ」的な。そういう展開ですよ、ほんと。

    嬉野:ある意味、新しいかもしれないよね。これだけマイナス要素を囲み取材で言っている。そこから点火してもらおうという、この作戦は新しい。

    藤村:言っちゃったから、「前作よりつまらない」って。

    嬉野:断言しちゃったもの。そりゃ興味がわきますよ。

    大泉:キーワードは「期待するな」の一言ですよ。過剰な期待はやめてもらいたいっていうことですよね。

    全員:(爆笑)

    藤村:新しい発見は「我々にやる気がなくなった」と。ワッハッハッハッハ!

    「どうでしょう出演はリスク」

    ――大泉さんはTBSの「日曜劇場」に主役でご出演されるなど、いま脂が乗りに乗って役者としても一番いい時期だと。でも、「どうでしょうに出るたび、失っていくものがある」と以前にぼやいておりましたが…。

    大泉:いや、もうリスクしかないですよぉ。

    なんかねぇ、世の中の人は私のことをねぇ、やれ「小さいやつだ」「ケチ」だとか「にょういずみ」だとかね言いますけどね。まあ、ケチとかにょういずみはどうでもいいんですがね。

    今でもこの番組のロケに行っていると。しかも、この番組の放送を今でも許していることへの私の度量のデカさ。

    役者でね、日曜劇場の主演をする俳優で、だれがこの番組の放送を許すだろうかと。しかも、新作のロケで誰がこの番組にスケジュールを割くだろうかというのを、声を大にして言いたいなぁ。今でも私はロケに行くわけだから。

    今回のロケに関しては、しかも約3年前のロケですけども、私は一週間という時間を割いて、最大限の時間を割いてあげた。にも関わらず彼らは「そんなにいらない」って言う。

    藤村:おかしいですよねえ(笑)。大泉さん、これだけリスクを背負って「水曜どうでしょう」に参加しているのに「そんなにいらねぇ」と言われちゃうと、もうどっちなんだと(笑)

    大泉:私はどうでしょうさんのために頑張ろうと思ってるんだけど、どうでしょうさんたちは「いやぁ、そこまで前のめりになっても」「いや、結構です」みたいなところで。

    私は一体、誰に求められて、何を頑張っているのか、わからない。

    藤村:これは新たな境地で。リスクを負ってますね?

    大泉:今回もリスキーですよ。私がやったことを踏まえると、放送するのは役者大泉洋にとってひとっつもいいことはない。ひとつもいいことはない。

    「テレビ界に、また新たな一石を」

    ――会長のミスターさんとしては、自社(オフィス・キュー)の俳優がそういうことになっても…

    ミスター:会長ってだれ?

    大泉:あなた、あなたですよ!

    ミスター:あぁ僕、オフィス・キュー知らないですから!会長っていうニックネームですから!降格ですよ。

    大泉:会長は、いまや私に対して助け舟をだせる立場ではないということですよ。私を守れる人ではないということです(笑)

    藤村:いよいよ新作だって囲み取材が来たのに、全員が後ろ向きな発言ばかり(笑)。「是非見てください」なんて誰も一言も言ってない。

    ミスター:しょうがない、しょうがない。そういうものですから。

    ただ、強いて言えば新しいと言うか、珍しい、目新しいところは、そういうとこですよね。なんで世の中って、もっと次に向かって進んでいかないのかっていうものが評価されるけど、下っていくものに対しては…。

    でも、人間って必ずそういう時がくるわけじゃないですか。これからの日本の老後社会を考えていく上では、水曜どうでしょうという番組はほんとに大切。

    大泉:これだけ「老い」を見せていくというのは、またテレビ界に一石を投じているね?

    藤村:みんな隠すからね?

    ミスター:これから100年生きる時代には大きな励みですよ。そう考えたら、還暦なんかまだまだですよ。それで「一生どうでしょうします!」なんて、そんなこと言ってんですよ(笑)

    全員:(爆笑)

    藤村:一生やろうと思ったら隠しちゃいけないからね?まだまだ僕たちはやれますなんて、大泉さんはやれますよ?我々はそうではないということは言っておかないと。

    嬉野:「まだまだやれます!」って言ったら、記者は記事は書きやすいですよ?でも、この取材の記事は難しいでしょ。

    大泉:さっきから(報道陣の)ペンがふるわないもの。「何を書きゃあいいんだろうなあ?」と。見出しが浮かばないものぉ。かわいそうだよ、こりゃ。忙しい中集まってさ。これは力量の見せ所ですよ。

    「ファンの愛がこわい!」

    ――(司会)記者の皆さんの戸惑いも見えてきたところではありますが、他に聞きたいことがある方は。

    ――じゃあ…。

    藤村:おお、勇気ある人が。

    嬉野:ここまできて(笑)

    大泉:よく浮かびますねえ。

    ――「どうでしょう祭」について。集まったファンと対面した感想を。

    大泉:いかがですか。

    ミスター:皆さんの本当に番組に対する愛情の深さとか、そういうものをステージ上でひしひしとすごい圧を感じて。この中で一番「どうでしょう」を愛していないのは僕だなと思いました。

    藤村:やめろよ!

    全員:(爆笑)

    ミスター:一番冷めているのは俺だなって感じでおります(笑)もう、こわい!みんなの愛が、こわい!

    大泉:確かに、「どうでしょう祭、開幕!」って言ったあとにテーマソングが流れたんですが、その瞬間にあの曲を口ずさむってったら気持ち悪いですよね

    全員:(爆笑)

    大泉:あれは口ずさめる曲じゃないから。誰も歌ってないわけで、それを全員が「チャ〜ン♪チャンチャンチャンチャン♪チャ〜ララ〜♪」って、恐ろしい集団だなって思いましたね。

    この「ばんけいスキー場」の近辺はファンが殺到するということで幼稚園が閉園になってるんですよ。

    ミスター:金曜日はお休みになったんですよ。

    大泉:それくらいの現象が起きているんですよ。

    祭では「どうデミー賞」というものが開催されまして、連日ファンが選ぶ名シーンを発表しているんですけど。

    今日は私の家族が会場に来たわけですが、会場の家族の前で私がジャングルでうんちをしたシーンが出たというのは、本当に遺憾の思いでいっぱいです。

    全員:(爆笑)

    ミスター:初日はゲロでしたね。

    大泉:投票していただいたファンの皆さんにはね、もう迷惑な思いでいっぱいです。

    藤村:決して悪意ではないんですけど、彼らもね?

    嬉野:そりゃあそうですよ。

    藤村:悪意ではないんですけど結果として大泉さんの家族に対して悪い印象を与えてしまった。図らずも。

    1/6の夢旅人に「グッときた」

    大泉:ただ、この会場はスキー場なので傾斜になっていまして、そこに約1万人がいる絵というのは素晴らしかった。

    やっぱり1日目の最後に樋口了一さんと一緒に「1/6の夢旅人」をみんなで歌ったときは…うーん、深くグッと来るものがございまして。あれをみんなで口ずさんだときは、やっぱり(心に)きますなあ。

    ミスター:誰しも、そこにいれば、ほっとできるとか、安らぎが得られるものがあるじゃないですか。

    僕なんか、いま田舎の森にいるので。何もない所ですけど、森にいるだけで淘汰されるものとか色々なものがあって。

    多分会場にいるみなさんも「水曜どうでしょう」という番組、そしてこの4人に直接出会うことによって、日常生活からちょっと離れて、どこか浄化されるような思いとか、そういう風になってくださっているんだろうなと。

    そう思うと、そういう存在になれたことは非常に幸せに思うし、そう思ってくださることには感謝しています。

    というまともなことも言わないと…。

    藤村:あたりまえです(笑)

    ネタバレさせないファンへの信頼

    ――昨日、最新作の1話が公開されましたが、約1万人が見たのにSNSでのネタバレがない。これは愛だという声も。ファンとの関係性の話があったが、20年経っても錆びつかないファンとの信頼関係はどのようにできたのか。

    大泉:本当に「どうでしょう愛」がすごいんだねぇ。そこにいらっしゃった1万人がネタバレをさせないというのは、本当にすごいことで。

    やっぱり彼らはおそらく、この会場に来ていない人たちを仲間、藩士なんですよね。その人たちのために絶対にネタバレさせないんだという思い。本当にすごいなあと思う。

    なんでそこまでファンが仲がいいのに、なんで我々はこんなに憎み合っているんだろうと。

    全員:(爆笑)

    嬉野:憎み合っちゃいないでしょお?

    大泉:この番組がなかったら、私ももうちょっと早く役者として認められるのが早かったんじゃないかなあと。もうちょっと認められてもいいんじゃないかなあと思うんですよね。なにをやっても笑ってしまう人がいるからねえ。

    「昔は偉い人に怒られた」

    ――過去の企画「どうデミー賞」で振り返る中で、再発見した面白さがあれば…。

    藤村:再発見…ないんですけどね。再発見というか、あの時も(現場で)本当に笑っているから。我々が30代のころとか本当に笑っているから。

    本当に笑っているものって、その後に見ても本当に笑っちゃうという、非常に単純なものなのかなあという気がしますよね。

    (ジャングル企画の)「シカでした」のときもね、誰も笑っちゃいないですけど、全員が(トラだと)本当に思っていたから。終わったあとに「なんだよこのフニャフニャのマット」って言ったときに、本気で笑っているから。

    本当だったから、事実だったからというのが、単純にいまでも笑えるというところでしょうね。

    ミスター:やっていることはもちろんいま言われたような感じなんですけど、テレビ番組となったときに、テレビの作り方として非常が勇気ある。

    ある意味、非常識な作り手であるディレクター陣でしょうね。

    (西表島企画)の「寝釣り」だって、あれを放送…っていうか、まず撮影段階で(普通は)「照明ねぇのか」とか、あんな真っ暗でロケをすること自体無いですし。新作だって、あれずっとワンカットですよ?

    なんか寄りたくなったり、色々な絵を見せたくなるけど、逆に言うとディレクターも大泉くんのトークの芯を信頼しているから、カメラワークで余計なことをしないで、ちゃんと全部伝えようと。

    (演者と制作陣の)信頼関係と、あれを放送するっていうディレクターの凄さでしょうね。撮影しているカメラマンも寄らない。編集でもドーンと使う。あれはねえ、普通のテレビマンは作れないですよ。

    「水曜どうでしょう」に憧れてテレビ業界入ってるんですっていう人がいても、あの勇気はないだろうし、普通は上のプロデューサーに怒られるし。

    全員:(爆笑)

    ミスター:現にオーストラリア企画とかやってたとき、局内で偉い人から怒られましたよね?

    藤村:「他の画、なんで無いんだ」って。

    大泉:(手をたたきながら爆笑)

    ミスター:「なんで車の中ばっかりなんだ」って。

    藤村:怒られるまではいかないけど、「…ないのか?」って向こうはポカンだよね。

    大泉:(さらに手をたたきながら爆笑)

    ミスター:それがいまでも続いているし、やれるってことが「水曜どうでしょう」の一番の強みでしょうね。そこなんですよね。

    嬉野:だからもう体質のようなものですよね。

    ミスター:だから最初は戸惑いましたよ。この人たち、非常識なつくりだなあと。

    嬉野:いや、この方もこうやって言われますけどね?カブの旅とかやってると勝手にどっか行かれちゃう。「絵葉書の旅」とかで目的地を見つけたときも、先に行って発見しちゃう。何度言っても。

    大泉:発見の瞬間が撮れてないものぉ。

    嬉野:新しいと言ったら新しいけど、これもやっぱり体質。止めようがないということですね。止めようがないという体質のまま4人きちゃって、今がある。そこに何かの意味があるんじゃないか…と解釈してもらえればいいんじゃないですかね。

    ――今回のシリーズの全容は藤村さんだけが知っている?

    藤村:僕もまだわかってないです。編集を全然進めていないんですが。

    ――撮影の手応えは…。

    大泉:また筆が進まない話になりますよ?手応えはほんとにないですから。約3年前、2017年の正月からはじまってますから。

    藤村:映画でいったら相当な大作ですよぉ?

    大泉:まあ、大作でございますねえ。それが手応えというものは感じないですね。というのも私は最初に申し上げたように、「もっともっと」と。

    カブ(の旅)のウイリー(だるま屋ウイリー事件)を超えるような、そういう緊張感のある、荒々しい映像を撮りなさいということを兼ねてから言っているわけでございますが、どんどんどんどん彼らの士気は下がるばかり。

    「我々の老いを見せていくんだ!」ということでございますから、そういう手応えはございませんな。

    ただ、そういう姿をさらに見せていくという番組の姿勢自体には、一周回った新しさを感じています。またもやテレビ界に一石を投じたなと。

    まさに円熟と言っていいんじゃないでしょうかね。樽の中で熟成して、そしてジワジワと腐り始めています。

    全員:(爆笑)

    大泉:そろそろ飲んだほうがいい。まだ発酵してるから。途中、なんか変な菌入っちゃった。どんどんどんどん腐りだしている。変な匂いがする、そういうものが出始めているなあ。そういうところでございましょうか。

    ――(司会)ここでお時間となりました。最後にカメラに向かってお写真を。

    藤村:これだけは「すげぇおもしろいぜ!」って顔でやりましょうか。

    大泉:そうですかぁ?

    藤村:そりゃあそうでしょう。写真だけはやっぱり「いよいよ新作!気合が入ってます!」って。

    大泉:写真はそうかも知れないけど、見出しは「手応えなし」になるんでしょお?

    全員:(爆笑)

    藤村:(カメラに向かって)じゃあ、面白い番組ですからね!はーい!!手応え十分!!お楽しみにー!!!

    大泉:嘘じゃないですか、この写真。「お楽しみにー!!!」って…。

    <完>


    最新作の初回(第一夜)は12月25日に道内で放送される。その他の地域での放送スケジュールは現時点では未定だ。