「文明国にあってはならない暴挙」ゴーン容疑者の再逮捕を弁護人が猛批判

    Twitterを開設した直後の再逮捕だった。弁護人の弘中惇一郎弁護士は「一種の口封じ」と、検察側に不快感を示した。

    日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)が会社法違反(特別背任)容疑で東京地検特捜部に再逮捕されたことを受けて、ゴーン容疑者の弁護人である弘中惇一郎弁護士が4月4日午後、東京・千代田区の日本外国特派員協会で記者会見した。

    保釈から30日目、異例の再逮捕。弘中氏は「文明国としてはあってはならない暴挙」と検察側を批判した。

    なぜ再逮捕されたのか

    朝日新聞などによると、ゴーン容疑者は2015年12月〜2018年7月の間、アラブ首長国連邦の日産子会社「中東日産」から、知人がオーナーを務めるオマーンの販売代理店「スヘイル・バウワン・オートモービルズ」(SBA)に計1500万ドル(当時のレートで約16億9800万円)を送金させ、うち計500万ドル(当時のレートで約5億6300万円)を、自らに還流させた疑いがあるという。

    ゴーン容疑者の逮捕はこれで4回目。1月には、約18億5000万円の評価損が生じた私的な投資契約を日産に付け替えたほか、信用保証に協力したサウジアラビアの実業家に日産の資金を不正送金したという特別背任罪で起訴されている。

    弘中弁護士「文明国としてはあってはならない暴挙」

    ゴーン容疑者の逮捕発表からおよそ7時間後の4日午後3時15分、記者会見を開いた弘中弁護士は「今回の逮捕は法律の趣旨に反するものだと考える。文明国としてはあってはならない暴挙だ」と、検察側の対応を批判した。

    弘中弁護士の発言内容の要旨は以下の通り。

    「逮捕容疑は、すでに報道されていた容疑。起訴されているものと一連の事件で、目新しい事件ではない」

    「一連の事件について、証拠隠滅や逃亡の恐れはないと裁判所に確認されているから(ゴーン容疑者は)保釈された。追起訴は検察の自由だが、身柄の拘束はそれとは同列ではない」

    「保釈中の被告人について逮捕することは異例であると報道でも指摘されている。当たり前だ」

    「ゴーンさんは被告人として公判前整理手続を前に、弁護人とディスカッションしたり証拠の検討をしていた。起訴されれば被告人と検察官とは対等な当事者と法律上はなっている」

    「被告人に対しては起訴後は検察官は取り調べをすることが原則禁止されている。裁判の相手側に検察官が手を出すのはあってはならない暴挙」

    「ゴーンさんはこれまで3回逮捕されており、問題になっている10年ほど前の案件に関連するものは、とっくの昔に全部持っていかれている」

    「制限住居の狭い家の中で持っていた裁判のための資料ばかり。それを全部持っていくことはいったい合理性があるのか。許されるのか。弁護権侵害だと思う」

    「ゴーンさんの奥さんのパスポート、携帯電話とかも検察は押収した。奥さんは容疑者ではない。許されるのか。我々はゴーンさんの奥さんの電話の中にはプライベートなものとか、彼女の弁護士とのやり取りの記録もある」

    Twitter開設直後の再逮捕だった

    4月3日、ゴーン容疑者は自身のTwitterアカウントを開設。4月11日に記者会見を開く予定だと投稿していた。今回の逮捕は、その翌日の出来事だった。

    弘中弁護士は、ツイッター開設直後の逮捕だったことを「結果的に一種の口封じ。逮捕によって会見が妨害された」と不快感を示した。今後、保釈を申請するという。

    何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。 4月11日木曜日に記者会見をします。

    弘中弁護士によると、ゴーン容疑者の保釈条件にはインターネットの利用は禁止されていないという。

    その上で、弘中弁護士は「11日にゴーン容疑者が話そうと思っていた内容と同じかどうかはわからない」と前置きした上で、「最低限、言うべきことは動画に記録している」と明かし、今後動画を公表する用意があると明かした。

    前回保釈時は「作業着姿」が話題に

    ゴーン容疑者は1月に起訴された後、逮捕から108日目の3月6日に保釈保証金10億円で保釈された。このときは作業着姿の変装が話題になった。

    報道によると保釈条件には、「住居は国内に限定」「住居の出入口に監視カメラを設置」「海外渡航禁止」「パスポートは弁護人が管理」「事件関係者との接触禁止」「携帯電話は連絡先を制限した端末を使用」「パソコンは弁護士事務所でのみ使用」などが設定された。

    弘中弁護士の記者会見の模様はこちら

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    THE PAGE / Via youtube.com