天皇陛下の退位の儀式、プログラムの緻密さがすごい…

    天皇陛下は、古くから天皇のみが着用する装束とされる「黄櫨染御袍」(こうろぜんのごほう)を身につけられた。

    天皇陛下は3月12日午前、皇居・宮中三殿で退位を報告する「賢所(かしこどころ)に退位及びその期日奉告(ほうこく)の儀」に臨まれた。

    この儀式を皮切りに、4月30日の退位の日までに11の儀式が執り行われる。

    天皇陛下は、古くから天皇のみが着用する装束とされる「黄櫨染御袍」(こうろぜんのごほう)を身につけ、儀式に臨まれた。

    この日、天皇陛下が臨まれた儀式は以下の通り。

    1. 「賢所に退位及びその期日奉告の儀」

    2. 「皇霊殿神殿に退位及びその期日奉告の儀 」

    3. 「神宮神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵に勅使発遣の儀」

    以下、宮内庁が公表している式次第(プログラム)案を紹介する。

    賢所に退位及びその期日奉告の儀

    (天照大神を祀る「賢所」に、天皇陛下が退位及びその期日を奉告される儀式)

    天皇陛下の退位に関する一連の儀式が始まりました。 天皇陛下は午前中、皇室の祖先などに来月の退位を伝えるため、皇居の宮中三殿に参拝されました。 https://t.co/1LrmZmNL4S

    3月12日午前9時、御殿を装飾する。

    時刻、参列の諸員が賢所参集所に参集する

    次に親王、親王妃、内親王及び女王が賢所参集所に参集される

    次に皇太子、皇太子妃が綾綺殿に参入される

    次に天皇、皇后が綾綺殿(りょうきでん)にお入りになる

    次に天皇に御服を供する(侍従が奉仕する)

    次に天皇に御手水を供する(侍従が奉仕する)

    次に天皇に御笏を供する(侍従が奉仕する)

    次に皇后に御服を供する(女官が奉仕する)

    次に皇后に御手水を供する(女官が奉仕する)

    次に皇后に御檜扇を供する(女官が奉仕する)

    次に皇太子に儀服を供する(東宮侍従が奉仕する)

    次に皇太子に手水を供する(東宮侍従が奉仕する)

    次に皇太子に笏を供する(東宮侍従が奉仕する)

    次に皇太子妃に儀服を供する(東宮女官が奉仕する)

    次に皇太子妃に手水を供する(東宮女官が奉仕する)

    次に皇太子妃に檜扇を供する(東宮女官が奉仕する)

    次に御扉を開く
     この間、神楽歌を奏する

    次に神饌及び幣物を供する
     この間、神楽歌を奏する

    次に掌典長が祝詞を奏する

    次に諸員が参進して幄舎(あくしゃ)に着床する
     式部官が誘導する

    次に親王、親王妃、内親王及び女王が参進して幄舎に着床する
     式部官が誘導する

    午前10時、天皇がお出ましになる
     掌典長が前行し、侍従が御剣を捧持し、他の侍従が随従する

    次に天皇が内陣の御座にお着きになる侍従が御剣を捧持し、簀子に候する

    次に天皇が御拝礼になり、御告文(おつげぶみ)をお奏しになる(御鈴を内掌典が奉仕する)
    編注:「御告文」には、日本古来の言葉で自らが退位すること、期日が4月30日であることが記されている)

    次に天皇が御退出になる
     前行及び随従は、お出ましのときと同じである

    次に皇后がお出ましになる
     掌典長が前行し、女官が随従する

    次に皇后が内陣の御座にお着きになる女官が簀子に候する

    次に皇后が御拝礼になる

    次に皇后が御退出になる
     前行及び随従は、お出ましのときと同じである

    次に皇太子、皇太子妃が参進される
     掌典長が前行し、東宮侍従が御剣を捧持し、他の東宮侍従及び東宮女官がそれぞれ随従する

    次に皇太子、皇太子妃が内陣の座に着かれる。東宮侍従が御剣を捧持し、 東宮女官とともに簀子に候する

    次に皇太子、皇太子妃が拝礼される

    次に皇太子、皇太子妃が退出される
     前行及び随従は、参進の時と同じである

    次に親王、親王妃、内親王及び女王が拝礼される

    次に諸員が拝礼する

    次に幣物及び神饌を撤する
     この間、神楽歌を奏する

    次に御扉を閉じる
     この間、神楽歌を奏する

    次に各退出する

    参列の諸員は、次のとおりとする

    宮内庁職員及び皇宮警察本部職員

    服装
    天皇:御束帯(黄櫨染御袍)

    皇后:御五衣・御小袿・御長袴

    皇太子:束帯(黄丹袍)

    皇太子妃:五衣・小袿・長袴

    侍従、東宮侍従、掌典長、掌典次長、掌典及び楽長:祭服

    女官、東宮女官:袿袴

    内掌典:衣袴、袿袴

    掌典補、楽師:祭服

    出仕:麻浄衣

    モーニングコート又はこれに相当するもの


    皇霊殿に退位及びその期日奉告の儀
    神殿に退位及びその期日奉告の儀

    (皇霊殿と神殿に、天皇陛下が退位及びその期日を奉告される儀式)

    賢所に退位及びその期日奉告の儀の式と同じ(御鈴の儀はない)


    神宮神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵に勅使発遣の儀

    (天皇陛下が伊勢神宮、初代天皇の神武天皇、高祖父・孝明天皇、曽祖父・明治天皇、祖父・大正天皇、父・昭和天皇の各天皇陵に勅使を派遣する儀式)

    3月12日午後2時30分、御殿を装飾する

    時刻、侍従長が所定の位置につく

    次に勅使が所定の位置につく

    午後3時30分、天皇がお出ましになる
     侍従が前行する

    次に神宮に参向の勅使をお召しになる

    次にお言葉がある

    次に御祭文を勅使にお授けになる(侍従長が奉仕する)

    次に勅使が退出される

    次に神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵に参向の勅使を順にお召しになり、御祭文をお授けになる(侍従長が奉仕する)

    次に勅使が順に退出される

    次に天皇が御退出になる
     前行は、お出ましのときと同じである

    次に各退出する

    服装
    モーニングコート又はこれに相当するもの


    天皇陛下の退位に伴う儀式の数は11。そのうち4月30日の「退位礼正殿の儀」のみが、憲法に基づく国事行為とされる。残り10の儀式は「皇室行事」とされ、旅費など一部には「内廷費」が充てられる。