【3分でわかる】イギリスで12月に総選挙 結局、ブレグジットはどうなるの?

    ブレグジットをめぐりグダグダのイギリス政治。超ざっくり解説します。

    イギリス下院は10月29日夜(日本時間30日早朝)、12月12日を投開票日とする総選挙の実施法案を可決した。法案は週内に上院で可決され、成立する見通し。

    保守党のジョンソン政権は、EUと合意した協定案に基づくブレグジット(EU離脱)の是非を国民に問う。事実上の「国民投票」になりそうだ。

    MPs have voted 438 to 20 to approve the Early Parliamentary General Election Bill, as amended. The Bill will go to the @UKHouseofLords for the House of Lords stages.

    ブレグジットをめぐる流れ、ざっくり解説します。

    AFP時事

    保守党党首のボリス・ジョンソン首相(左)と労働党のジェレミー・コービン党首

    2016年6月の国民投票でEU離脱が決まったものの、それ以来イギリスはブレグジットへの明確な道筋をつけられずにいた。

    懸案になっている英領北アイルランドとEUに加盟するアイルランドの国境の扱いなど、メイ前政権も現在のジョンソン政権も、EUからの離脱条件をめぐって議会と折り合いをつけることができない日々が続いた。

    一方で、10月末にはブレグジット期限が迫るばかりだった。

    こうした中でも、ジョンソン首相は10月末でのEU離脱を頑なに主張。下院の膠着を打開するために、離脱前の「前倒し総選挙」を過去3度求めたが、全て否決された。

    10月17日、ジョンソン首相はEU側と新たな離脱協定案に合意した。ところが、野党はこの離脱協定案に反発。

    下院は10月19日、「合意なき離脱」回避する法案(通称「ベン法」)を可決し、ジョンソン政権がEUととりまとめた離脱協定案の審議は保留となった。

    この日はフォークランド紛争以来、37年ぶりに土曜日の議会召集となった。

    10月29日、EUはイギリスのEU離脱期限の延長を承諾。最長で2020年の1月末までの延期を認めた。

    To my British friends, The EU27 has formally adopted the extension. It may be the last one. Please make the best use of this time. I also want to say goodbye to you as my mission here is coming to an end. I will keep my fingers crossed for you.

    EUのトゥスク大統領「EU27カ国は正式にイギリスのEU離脱期限の延長に合意した」

    「合意なき離脱」の回避が確定したことで、これまで「前倒し総選挙」に反対していた最大野党・労働党のコービン党首も総選挙に応じる姿勢を見せた。

    こうして10月29日夜(日本時間30日早朝)、下院は12月12日を投開票日とする総選挙の実施法案を可決した。

    各政党リーダーの評価をみると…

    Ipsos MORI / Via ipsos.com

    イギリスの調査会社イプソスモリが10月に実施した世論調査によると、ジョンソン首相(保守党党首)のブレグジットをめぐる対応に「満足」と答えたのは39%だった。

    このまま保守党が下馬評通りに勝利し、議会の過半数を確保できた場合、ジョンソン首相は速やかにブレグジットの実現を目指す方針だ。

    Peter Macdiarmid / Getty Images

    次点で「満足」が高かったのは、EU離脱強硬派のブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首が28%だった。

    ファラージ氏はジョンソン政権を「弱腰」と批判するが、条件次第では保守党との選挙協力も有り得そうだ。ファラージ氏は「ついにブレグジットが成功するための機会を得た」と、総選挙を歓迎するツイートをしている。

    At last the deadlock in parliament is broken, Brexit now has a chance to succeed.

    親EU的な自由民主党のジョー・スウィンソン党首は20%。そして「満足」の度合いが最低だったのが最大野党・労働党のコービン党首で15%だった。

    AFP時事

    労働党のコービン党首

    本来であれば「ブレグジットの行き詰まり」という保守党の失点で、最大野党の労働党が支持を広げてもおかしくない。ところが、労働党の支持は広がりを見せていない。

    これには労働党内がブレグジットを巡って一枚岩ではないことが影響している。

    国民投票後の2017年総選挙で、労働党はマニフェストに「ブレグジットの実行」を書き込んでいた。社会主義的な政策を唱えるコービン党首も、教育制度や水道事業などをめぐりEU離脱を主張している。

    ところが、党の国会議員や支持者の多くはEU残留派。国民投票の再実施を求める声もある。

    つまり、ブレグジットをめぐって労働党内で「ねじれ」が生じているわけだ。

    労働党はジョンソン政権下でのブレグジットは阻止したい方針であることは間違いない。ただ、労働党としてブレグジットをどうしたいのか見えてこない。

    コービン党首は「総選挙の準備と国を変革する用意はできている」と胸を張る。

    しかし、ブレグジットに否定的な支持者は、親EU的な自由民主党などに流れていると見られている。

    支持率が低迷する中、「ねじれ」で生じた玉虫色のイメージを払拭できるのだろうか。

    We are ready for this General Election and ready to transform our country.

    ただ、一つ付け加えなければならないのは、世論調査では、いずれの国政政党のリーダーに対しても、ブレグジットへの対応に「満足しない」と答えている人の割合が高いということだ。

    事実上の国民投票となる12月12日の総選挙。これまでのグダグダした政治状況を打破できるのか、それとも引き続き混乱するのか。クリスマス直前のイギリス国民の選択に、世界の注目が集まる。


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