「共テ当日は痴漢チャンスデイ」
大学入学共通テストが1月14日から始まるのを前に、インターネット上で痴漢を煽るような悪質な書き込みが相次いだ。
痴漢の被害者は声をあげて抵抗しづらく、被害に気づいた周囲も勇気を出して手を差し伸べづらい現実がある。
万が一痴漢被害にあった場合、どのように助けを求めればいいのか。
“痴漢撃退機能”がついた警視庁の防犯アプリ「Digi Police(デジポリス)」を紹介する。
「共通テスト痴漢祭り」などの投稿も
「共テの日ってjk痴漢されても何も言えへんよなあっ…」ーー。
このような投稿は、数年前からSNS上で見受けられるようになった。
共通テストに遅刻したくない受験生は被害を訴えないはず、といった卑劣な考え方によるものだ。
NHKによると、過去の受験シーズンでは実際に痴漢被害があったほか、今回の共通テスト前もSNS上で痴漢を煽るような書き込みが見つかっている。
このような経緯を受け、警視庁は鉄道事業者などと連携し、重点的に警戒することにしている。
4人に1人が痴漢被害も
「警察白書」(2022年)によると、2021年の痴漢行為の検挙数(電車以外も含む)は1931件。電車内での強制わいせつの認知件数は124件だった。
また、昨年1月に岩倉高校(東京都台東区)が実施したアンケート調査結果によると、女子生徒の27%(181人中48人)、男子生徒の3%(591人中17人)が「痴漢被害に遭ったことがある」と回答している。
一方、恥ずかしさなどから「(被害後に)相談していない」と回答した人は40%もいた。
「恥ずかしさから相談できない」や「体が固まってしまい、声を上げられない」と理由を説明したという。
警視庁の防犯アプリ「デジポリス」
では、万が一痴漢被害に遭った際に助けになる防犯アプリを紹介する。
痴漢撃退機能がついた警視庁の「デジポリス」だ。
警視庁によると、デジポリスは2016年3月に配信が始まったアプリで、声を出さずに助けを求められる。
画面を押せば音が鳴る防犯ブザーも備えられている。
周囲の乗客が使える機能も
痴漢撃退機能の使い方は以下の通りだ。
- デジポリスのアプリを起動し、下部の「痴漢撃退」を押す
- 画面に「痴漢です 助けてください」と表示される
- その画面を押すと、色が赤くなり、「やめてください」と音が流れる
音はマナーモードでも鳴る仕組みとなっている。
また、周囲の乗客が痴漢に気付いた場合にも対応できるようになっている。
スマホに「ちかんされていませんか?」という画面を表示することができ、声をかけなくても被害の確認ができる。
警視庁の担当者は以前、デジポリスについてこのように期待感をにじませていた。
「電車内では被害者はもちろん、被害に気付いた周りの人も声を出しにくい。画面を見せるだけで、周りの人が行動するハードルが低くなると思っている」
デジポリスの詳細やダウンロードは警視庁サイトから。