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オーストラリア・マレーシアが日本向けLNG輸出を「ストップ」→誤り。発信元は「親露」とプロフィールに記載

オーストラリアとマレーシアが日本向けLNG輸出をストップしたと読める情報がTwitterで拡散されていますが、誤りです。

日本の液化天然ガス(LNG)調達先であるオーストラリアとマレーシアが、日本への輸出を一方的にストップしたと読めるツイートが拡散している。

しかし、オーストラリアはそもそも輸出規制をしていない。マレーシアは土砂崩れによるガス漏れのトラブルがあったが、現段階で日本への輸出を完全にストップしたという情報はなく、ツイートは「誤り」だ。

発信元はこのような話を「ニュースでは報道されません」としているが、マレーシアのトラブルについてはNHKなどが報じており、拡散には注意が必要だ。

経緯を振り返る

【速報】

マレーシアが日本に対し天然ガスの輸出をストップしました。

ニュースでは報道されません。

このようなツイートがあったのは10月8日。11日午前9時半現在、1.7万いいね、7600リツイートと拡散している。

ツイートには「日本のLNG輸入の国別シェア(2020年)」と題された円グラフの画像が添付されており、オーストラリアとマレーシアの部分に黄色く「×」が書かれていた。

発信元のフォロワー数は約4800。プロフィール欄には「親露、マスクしない未接種です」などと記載していた。

オーストラリアは規制を回避

財務省の貿易統計によると、2020年の日本のLNG輸入国1位はオーストラリアで、約40%を占める。2位はマレーシア(約13%)、3位はカタール(約11%)と続く。

LNGは現在、ロシアのウクライナ侵攻の影響で価格が高騰しており、NHKによると、オーストラリアは輸出の増加で国内向けガスが不足する恐れがあるとして輸出規制を検討していた。

しかし、ガス事業者が国内に優先供給することでオーストラリア政府と合意。9月下旬、政府が海外向けの供給に影響はないとし、規制は回避されたという。

マレーシアは?

マレーシアでは国営エネルギー会社「ペトロナス」のパイプラインでガスが漏洩するトラブルが起きた。

NHKによると、LNGの製造・販売を担うペトロナスの子会社が原因は地滑りだとして「不可抗力条項」を宣言した。

これにより同社はLNG供給義務を免れることができるが、削減数量など日本への影響は精査中だという。

トラブルが長期化すれば日本に影響が及ぶことが懸念されるが、現段階でガスの供給が完全に止まったという情報はない。

Bloombergがトレーダーの話を紹介

また、ツイートには「ニュースでは報道されません」と記載されているが、マレーシアのトラブルに関してはNHKや時事通信も報道している。

Bloombergは10月6日、マレーシアのトラブルに詳しいというトレーダーの話を紹介。

それによると、ペトロナスの子会社が年末にかけて日本の顧客数社への契約配送を減らすように要請したという。

一方、パイプラインは年内には修復されそうだともした。

マレーシアに関しては日本への影響がまだはっきりしていないため、今後も注視する必要がありそうだ。


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