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【池上無双】下村氏献金疑惑に炸裂「銀行振り込みは? なんで現金を運ぶの?」

テレビ東京の選挙特番で……

7月2日20時過ぎ、メディア各社は一斉に都議会自民党の「歴史的敗北」を伝えた。そんな中、テレビ東京の選挙特番でジャーナリスト・池上彰さんが下村博文・自民党東京都連会長に切り込んだ。下村氏が都議選での敗因は「国政の問題」だと語ると、池上さんの追及は、下村氏自身の疑惑に向けられた。

下村氏との中継がつながると、池上さんは、こう切り出した。

——公私ともに非常に大変な状況の中で、きちっとこうやって、画面に出てきていただいて、質疑にお答えいただける。ありがとうございます。

下村氏は「いやいや、都連会長として、当然です」と答えた。しかし、その顔には明らかに疲れが見える。

池上さんはズバリ切り込んだ。

——それにしても、今回の都議会議員選挙の結果、なんでこんなことになったとお考えですか。

下村氏はまだ結果が出たわけではないと断りつつ、次のように答えた。

「都議会議員候補は、本当に地に足を付けて地道に活動していて、それぞれ反応も悪くなかったという話も聞いていますが、その上の方でですね……。国政の問題が都議選に直結したということ。非常に残念です」

「国政の問題」とは……

——国政の何が一番、悪影響を及ぼしたとお考えですか。

下村氏は、一拍おいてこう答えた。

「それは、いろんな…あの…発言、失言ですね。それから、国会の会期末の処理等の問題。国会における論戦。それがずっと都議会議員選挙そのものにも、残念ながら影響したということだと思います」

——とりわけ稲田防衛大臣が、都議会議員選挙の応援で、自衛隊としてよろしくお願いしますというのは、あり得ない発言だと思いますが、これが非常に大きく影響したのではないですか?

下村氏は、稲田発言について、そういう意味で言ったわけではないと思う、としつつも、「誤解される発言だったことは間違いありません。稲田防衛大臣もすぐ撤回されましたが、その影響も非常にあったと思います」と述べた。

ここで、池上さんは「下村氏自身の疑惑」に突っ込む。

——それから下村さんご本人もですね、文科大臣時代に、加計学園関係者から合わせて200万円を受け取っていたのではないかという週刊誌報道。ご本人の疑惑もマイナスに影響したのではないですか?

「ありますね。これはもう完全に選挙妨害だと思います。すぐに記者会見をして、事実でないと表明しましたが、残念ながらそれは届いていない。マイナスになった部分については、お詫び申し上げたいと思います」

ここで時間切れとなり、中継はいったん途切れた。しかし……

1時間ほど後に始まった「第二ラウンド」で、池上さんは再び、この疑惑に切り込んだ。

下村氏は、疑惑が報じられた後の6月29日に会見を開いている。そこでの説明は次のような内容だ。

《加計学園から献金を受けたとされた200万円は、加計学園からの献金ではなかった。それは、加計学園の秘書室長が11の個人・企業から集めたもので、1件あたり20万円未満だったので、政治資金収支報告書に掲載しなかった。200万円の現金が2回にわけて、1回100万円ずつ持参された》

池上さんは、この説明に疑問を呈した。まず突っ込んだのは「なぜ現金を持参?」という点だ。

——11人のパーティ券(購入費)をまとめて持参してきたということなんですが、実際問題として100万円の現金をわざわざ運んでくるものなんでしょうか。

下村氏によると、これは不思議な話ではない、という。

「これはですね。全然不思議な話ではないと思います。あの…。まずですね。この……。週刊誌で出たことに対して、これは選挙期間中の選挙妨害であるし、事実ではないということで、私はその後すぐ記者会見で、加計学園からヤミ献金200万円を受けていないと表明いたしました」

「その中で、加計学園ではなくて、加計学園の事務室長が個人的に親しい方々に、じゃあそういうパーティがあれば自分の関係者の方々に声をかけてですね。お願いしてみるということで、その方が東京にお越しになったときに立ち寄りいただいて、そして持ってきていただいたという経緯でありまして、別にこれ自体は何ら不思議なことではまったくないと思います」

——11人なら、11人がそれぞれ銀行振り込みをされればいいのに、なんでわざわざ100万円の現金を運ぶのか。今の時代なかなか納得できないんですけど。

池上さんの疑問はストレートに、なぜ振り込まないのか?というものだ。だが、下村氏は、質問に正面から答えない。

「それはその方が、自分の関係者の方々にもいろいろと……あの……、協力者がいるのであれば、いろんな方々に声かけてみると、もともとしていただいた経緯があったのではないかと思います」

数字が不自然では?

次に突っ込んだポイントは、「200万円・11人」という数字について。

——200万円を11人で割ると、一人当たり20万円に達しない。20万円に達しなければ、(※収支報告書に)名前を出す必要がない。あまりに数字ができすぎているように思うんですけど。

下村氏は苦笑いしながら話す。

「これはですね……。あの、それぞれの方々、個人であったり、あるいは会社であったりしているそうでありますけれども、それぞれの皆さんがですね。えー、私の政治活動に対して支援をしていただけるということで、したことでありまして…。こういうことは一般的にも不思議なことではないと理解しております」

相変わらず、質問と回答はかみ合っていない。下村氏の表情は冴えない。

——(この件は)下村さんが文部科学大臣の時代ですよね。そういう時に加計学園という教育の関係者が、まとめたものですよと言いながらお金を持ってきたということに対して、まずいとはお考えにならなかったんでしょうか。

下村氏の回答はこうだ。

「これは繰り返すようですけど、加計学園から献金とか、寄付をいただいたわけではありませんから。あくまでも個人のレベルでありますから、その個人の方々が、あるいは企業の方もいらっしゃったようですけれども、どんな仕事をされているかされていないかは、何ら問題がない。つまり文科大臣として何か斡旋をしたとか、利得的なことをしたということでは全くありませんから。正々堂々と言えることだと思います」

ここも微妙にずれている。池上さんは「教育関係者がとりまとめた」という点に疑問を抱かなかったのかと聞いている。だが、下村氏はその点をスルーし、献金した個人・企業が誰でも、文科大臣として斡旋・利益供与をしていないので問題ない、という回答だ。

——わかりました。この前の記者会見のときには、今は都議会議員選挙中なので、この話は終わってからにしてくれという話がありました。明日以降、この取材もそれぞれお受けになるということですね?

下村氏はこう約束した。

「そういう質問とか、いろんな取材があれば、きちんとお答えしたいと思います」

中継は、ここで途切れた。

下村氏はその後、選挙に大敗した責任をとって都連会長を辞任すると表明した。だが、自身の疑惑についての説明は、事実上これからだ。都議選は終わった。より詳しく、具体的な説明が待たれる。