警官に射殺されたアフリカ系女性、有名雑誌の表紙を飾る。20年の歴史で初

    今年3月に亡くなったブレオナ・テイラーさんが、オプラ・ウィンフリーの手がける雑誌の表紙を飾った。オプラ以外の人物、そして故人が表紙を飾るのは初めてだ。

    オプラ・ウィンフリーは、アメリカを代表する女性司会者・慈善家だ。自身で雑誌の編集も手がけている。

    しかし、この20年の歴史で、オプラが自身の雑誌「O The Oprah Magazine(オー・ジ・オプラ・マガジン)」の表紙を飾らなかったのは初めてだった。

    代わりに表紙を飾ったのは、アフリカ系アメリカ人女性のブレオナ・テイラー(享年26)さんだった。彼女は今年3月、自宅で警察に射殺された。

    オプラは7月30日、雑誌の最新号の内容を発表する際、こう語った。

    「彼女もみなさんと同じような人でした」

    「予期せず亡くなった他の人々と同様、彼女にも未来がありました。果たすべき義務や仕事、友達、そして笑いに囲まれた未来です」

    3月13日、ケンタッキー州ルイビルにあるテイラーさんの自宅に、違法薬物取り締まりの一環として、警官がドアを突き破って侵入した

    テイラーさんと恋人は就寝中だったが、侵入者だと勘違いした恋人が、警察に向けて銃を発砲した。

    しかし、警官は銃弾をテイラーさんに向けて発砲。そのうち8発以上が当たり、彼女は死亡した。

    発砲した警官の1人、ブレット・ハンキソン氏は、過剰な武力行使による違法行為を行なったとして解雇された

    事件に関わったジョン・マッティングリー巡査部長とマイルス・コスグローブ巡査部長は、共に異動となった。

    彼女の死に関わった警官は、誰1人として逮捕・起訴されていない。

    数カ月に渡り、テイラーさんを射殺した警官の逮捕を求める声が、デモやSNSで繰り返し挙がってきた

    その結果、逮捕には至らなかったものの、ルイビル市では警官による無断の住居侵入を禁止する通称「ブレオナ法」が成立した。

    「テイラーは明るい未来を持った、救急救命士でした」。彼女の家族は、BuzzFeed Newsにそう語った。

    家を購入し、恋人との間に家庭を持つことを夢見て、彼女は働いていた。看護学士を取得するため、大学に戻ることも考えていたという。

    テイラーさんを讃えるため、オプラはこのような言葉を残した。

    「彼女は車が大好きで、まるで信頼の厚い友人のように、自分の車を扱っていました。彼女はチキンも大好きでした。辛めのソースを何にでもかける人で、特に卵にかけるのがお気に入りでした。どんな音楽やダンスも、彼女は楽しんでいました。どの友人に対しても、全員が親友であるかのように接していました。20歳の妹の人生を支える姉でもありました」

    「彼女には、夢がありました」

    「しかし、あの夜の銃弾のせいで、彼女の夢も体も、未来も消えてしまったのです」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:吉谷麟