『チェンソーマン』英語版の声優が舞台裏を語る!「デンジは野獣モードで」「パワーは素のまま(笑)」

    藤本タツキ原作『チェンソーマン』アニメ版が放送中!海外でも英語やフランス語、スペイン語など多言語で配信を展開しています。すでに海外ファンから「至高のフィクション」と称されている『チェンソーマン』の魅力、その制作舞台裏を、英語版吹き替えキャストたちに聞きました。

    藤本タツキ先生作、累計発行部数2000万部を突破したベストセラーコミック『チェンソーマン』で描かれる、魅力的かつ残酷さに満ちたデンジの人生へようこそ。

    『チェンソーマン』のアニメ化作品は、『呪術廻戦』や『進撃の巨人 The Final Season』も制作したMAPPAスタジオが手がけています。英語やフランス語、スペイン語、ドイツ語など多言語で配信されており、海外でも大反響を呼んでいます。

    エネルギーあふれるアクションシーン、個性的なキャラクターたち、魅力的なストーリー、ホラーとコメディなどのジャンル融合などの要素から、海外のアニメファンの間ではすでに「至高のフィクション」と称されているそう。

    BuzzFeedオーストラリアは、英語版の声優4人に、キャスティングの舞台裏や役作りなどについて聞きました!

    『チェンソーマン』の世界に引き込まれたきっかけは? 元々マンガのファンだった? それとも脚本を読んで参加を決めた?

    ライアン:僕はマンガの大大大ファンです!オーディションの話が来る前から、大げさでなく4回も読み返し、デンジの役を演じる日を夢見ていたので、まさに夢がかないました。

    この作品に引き込まれたきっかけは…そうですね、突き詰めると、(マンガの)表紙を見て、『なんだこれは?』と思ったことかな。

    原作第1部では、ユーモアから悲劇、繊細なニュアンスまで、実に多種多様な感情を味わうことになります。顔面を殴られるような衝撃を感じた作品は久しぶりだったので、とにかく参加するしかないと思いました。

    レーガン:僕は、原作をほとんど知りませんでした。それでも『チェンソーマン』の人気は聞いていたので、オーディションの資料が届いた時はこう思ったんです。「きっと僕よりずっと有名な人が選ばれるんだろう。受かりっこない。でもまあ、挑戦してみようかな」と。

    それで、マンガを読んでキャラクターたちを掘り下げていったら、特に早川アキが気に入って、「彼を演じられたらいいな」と思うようになりました。

    『チェンソーマン』は、異常なことだらけの展開にもかかわらず、物語を動かすキャラクターたちはとても人間的です。それぞれの動機にはとても親近感がわくし、大勢から共感を得ているのは本当に素晴らしいですよね。

    スージー:最初から原作を追ってはいませんでしたが、私たち(スージーとサラ)は確かに、インターネットのあちこちで『チェンソーマン』を目にしていました。

    特に、マキマとパワーについてはそう。だから、何となく知っていたものの、オーディションの段階で、「ああ、これってみんなが話題にしているやつだ」と繋がった感じです。

    役が決まってから、収録が始まる前に2人でマンガを一気読みして、こう思いました。「やっとわかった。ここには光、闇、すべてがある。カオスなんだ」と。

    オーディションにはどのシーンだった? 自分が選ばれたポイントは何だったと思う

    ライアン:デンジが丸太の上でポチタに話すシーンです。彼はポチタに、もし今の苦境から抜け出すことができないまま死んでしまったら「俺の体を乗っ取って、俺の夢を叶えてくれ」と伝えます。

    台本を渡されたとき、その段落だけが書かれていたのを覚えています。それでも、それがどのページにあったセリフかわかりました。だから感情の流れもよくわかりました。

    一辺倒な読み方はしないで、大好きな愛犬に語りかけるように読みました。

    デンジは学がないから、効率よく雄弁に物事を伝えることができない。でも、とても重層的で深みのある人物だということを、僕は精いっぱい表現しようと努めました。

    デンジは他の人よりも少し生意気で変わり者だけど、それに劣らず深い。それを描きたかった。

    レーガン:アキのオーディションの大半は、第2話からの台詞でした。路地裏でデンジと話すシーンで、あの痛烈な「玉蹴り」の前です。

    アキはあのシーンで、感情を抑えて話しつつも、頭の中で考えたことを実にいろいろな表現の仕方で言葉にしています。だから僕の場合、トーンを抑えながらも、いかにその重層的な思考を表現できるかがカギでした。

    スージー:マキマのセリフは、予告編から取られたものです。あまり深く考えずに、彼女の画像を見て、すごくしっかりした人物のように思えました。それで、やってみようと(オーディションの録音を)送りました。

    他の声優と比べて、自分がどう際立っていたのかはよくわかりませんが、マイク(・マクファーランド氏。『チェンソーマン』英語吹替版の監督)が聞いたものが何であれ、自分にしっくりくる役を得られて、とても感謝しています。

    サラ:パワーのオーディションの台詞は、第2話で彼女が飼い猫のニャーコのことを話している場面です。人間が嫌いで悪魔も嫌い、飼っていたニャーコを連れ去ったから、というものでした。マンガの一部を読み、日本語の予告編も参考にしました。

    キャラクターの声色や声質は、どのように決めた? 日本語版キャストの声を参考にしたのか、あるいは監督の指示で決めたのか。それとも、自分なりにキャラクターを表現する声を選んだ?

    ライアン:どの声優も、そのキャラクターが自分にとってどんな存在なのか、個人的に選択することになります。そうして録音ブースに入ったら、後は監督との共同作業です。

    マイクは僕たちを、そして僕たちがキャラクターで表現しようとしていることを信頼したからこそ、キャスティングしてくれました。

    僕たちは全員、この作品を特別なものにするために尽力しています。一日の仕事が終わってブースを後にするとき、もっとできたはず、と思いたくないからね。

    あの空間でやりたいことができたと感じて終わりたいし、視聴者に喜んでもらいたい。

    デンジが残酷に叫んだり、狂気に満ちた笑い声をあげたり、まさに野獣のようなキャラクターになるシーンがたくさんあります。そうしたシーンの収録には、どんな準備をした? また、収録時のスタジオの反応はどうだった?

    ライアン:若い頃はハードコアバンドなどでよく叫んでいたから、限界まで叫ぶ方法を知っているし、喉を痛めないような発声法も身につけています。

    でもマイクは僕に十分配慮してくれていて、1つのシーンで10テイクもやらせるようなことはありません。長い戦いのシークエンスなら、数日に分けてやることもあります。「次で11テイク目だから、少し休んで、また新鮮な状態でやってみよう」などと声をかけてくれます。

    スタジオの反応も大好き!トークバックボタンというものがあり、それを押すと副調整室からブースに指示などを伝えられるのですが、大抵マイクが笑っているのが聞こえてきます。

    何なら、トークバックボタンを押す前から、彼の大きな笑い声が聞こえてくることまであるんです。僕が何かイカれた演技をしたり、変な音を出したりすると、大抵笑い交じりでOKをもらえます。

    マイクの演出はとても楽しくて、「今のテイクをもらうよ、でももっと胸クソ悪い感じで別テイクをやってみようか。もっと野性的に、もっと下品に」と言われることもあります(笑)

    野獣モードになるんですね!


    ライアン:まさにその通り!第1話を収録しているとき、「狼男の凶暴モード」と呼んでいました。

    マキマの声をAIに例える人がいますが、私も同感です。穏やかで癒されるものの、同時に完璧すぎて、マキマの言葉には隠された思惑があるように感じられます。どのようにあの声を演じた?


    スージー:マキマがAIを連想させるのは、彼女の純粋さゆえでしょう。話し方が普通の人っぽくないですよね。ちょっと完璧すぎるんです。

    冷徹で計算高いのに、口調には若干の柔らさもあります。彼女が何を目指しているのかによって、声に繊細な変化が起きます。誰かに何かをさせたいときは、ちょっと歌っているような感じもあって、AIのフラットさとは一線を画しています。

    彼女の話し方をよく聞いてもらえたら、そうしたことがわかると思います。

    パワーの声からは、カオスなエネルギーを感じます。悪魔のような笑い方も最高! 演じる仕事に詳しくない立場からの質問ですが、どうやってあのようなキャラクターに入り込むの?

    スージー:実はあれ、素のサラのまんまなんです(笑)

    サラ:あの笑い声は、お腹の底から笑うようにして出しています。普段の私も大抵あんな感じで笑っていて、もっと爆笑することもありますよ。

    暗い気分を抱えている人は、私のように大笑いすれば全部吐き出せるはず。とても爽快ですよ!



    注:発言の一部は、読みやすさのために編集されています。

    この記事は英語から翻訳しました。翻訳:高森郁哉 / ガリレオ 編集:BuzzFeed Japan