初の女性総長を求める声も高まっていた次期国連事務総長選。元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス前国連難民高等弁務官が、第9代の国連事務総長に任命されることが確実となった。
前回まで密室で行われてきた国連事務総長選は、今回から透明化が図られ、6回の予備投票が行われた。常任理事国も参加した5日の最後の予備投票で、グテーレス氏は安全保障理事会15か国のうち、13か国からの支持を集めた。不支持票もなかった。
一方、予備投票で最後まで残った10人の候補のうち、ブルガリアのイリナ・ボコバ国連科学教育文化機関(ユネスコ)事務局長や、前ニュージーランド首相のヘレン・クラーク国際連合開発計画(UNDP)総裁など、女性候補は5人いた。女性を推す声はロシアなどからも上がっていた。
「うんざりしました。とんでもないことだと感じています。今の感覚をどのように表現したら良いのか分からないくらいです」と、女性の国連事務総長を実現するためのキャンペーンを展開していた団体「WomanSG」のジーン・クラスノはBuzzFeed Newsの電話取材に答えた。
「7人の優れた女性たちが立候補し、全力を尽くしていましたが、断念せざるをえなくなりました。国連には女性をリーダーにする気が本当にあるのか、と思ってしまいます」
クラスノは、米のサマンサ・パワー国連大使が、女性を国連のリーダーにするために力を尽くさなかったことに怒りを隠さない。70年超の歴史のある国連では、ほとんどの事務総長が5年間の任期の後、再選されてきた。そのためクラスノは「男性が80年間リーダーを務める形になるでしょう」と話した。
「今回も男性が国連事務総長になることには落胆があります。でも、彼が女性問題に取り組んでくれることに期待しています」と、女性の権利の平等に取り組む団体「Equality Now」のアントニア・カークランドはBuzzFeed Newsのメール取材に回答した。
「ジェンダーにかかわりなく、スタッフの権利の平等を確保し、女性に対する暴力と差別の問題に取り組むことを重要課題にして欲しいと思っています」
これまでの全ての予備投票で、グテーレス氏はリードし続けていた。今後、国連総会で予備投票の結果は承認される。