イーロン・マスク氏、「X(旧Twitter)有料化」のニュースを遠回しに否定。「有料化するのかしないのか議論」にようやく決着か

    ネット上では「有料化するらしい」「いや、有料化はデマだ」 「やっぱりデマというのがデマらしい」 などさまざまな解釈が飛び交っていましたが、ようやく公式見解らしきものがマスク氏本人により投下されました。有料化を心配していた人はとりあえず一安心?

    イーロン・マスク氏は9月20日、Web対談での発言をきっかけに大きな話題となっていた「X(旧Twitter)有料化」の報道について、リプライで遠回しに否定しました。

    対談以降、ネット上では「有料化するらしい」「いや、有料化はデマだ」「やっぱりデマというのがデマらしい」などさまざまな解釈が飛び交っていましたが、ようやく「しないらしい」の方向で固まったと判断してよさそうです。

    イーロン・マスク氏

    発端はマスク氏の「利用者に少額の月額利用料を課す」発言

    発端となったのは、9月19日に行われた、マスク氏とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との対談でした。マスク氏はこの中で、botの問題について話題を振られ、

    「We are moving to have a small monthly payment for the use of the X system. It's the only way I can think of to combat vast armies of bots.」
    (Xのシステム利用者に少額の月額利用料を課す方向へ移行しようとしている。それがbotに対抗するための唯一考えられる手段だ)


    ――とコメント。この発言はたちまち話題となり「Xが完全有料化を検討している」と世界中で報道されることになりました。

    LIVE: Speaking with @elonmusk about how we can harness the opportunities and mitigate the risks of AI for the good of civilization. https://t.co/XiAQwOXzcP

    — Benjamin Netanyahu - בנימין נתניהו (@netanyahu) September 18, 2023
    対談のアーカイブ。当該発言は動画の34分40秒ごろから(ベンヤミン・ネタニヤフ首相の公式Xより) / Via Twitter: @netanyahu

    ただ、これだけを見ると確かに「全ユーザーに対し少額の課金を検討している」と読めるのですが、その後、この件についてのポストに「誤解を招く投稿」とのコミュニティノートが付いたことから、ネット上では「有料化はデマらしい」との言説が飛び交いはじめます。

    【追記】※9月24日時点では別のコミュニティノートに差し替わっています(詳細は記事末尾の追記を参照)

    Elon Musk says users will soon have to pay a small monthly payment for X in effort to stop bots pic.twitter.com/kRE4gDNj6b

    — Daily Loud (@DailyLoud) September 19, 2023
    Twitter: @DailyLoud
    投稿に付けられたコミュニティノート

    コミュニティノートによれば、マスク氏はあくまで「プレミアム会員向けに『より低価格なプラン』を導入すると述べただけで、全ユーザーに料金を課すとは言っていない」とのこと。

    マスク氏の発言をもう少し後ろまで聞くと、

    「Prioritizing posts that are written by X premium subscribers. We are actually going to come up with lower tier pricing. We want it to be a small amount of money.」
    (Xプレミアム利用者の投稿を優先しており、より低価格なプランも準備しているところ。なるべく少額になることを望んでいる)


    ――とあり、確かに「より低価格なプレミアムプラン」を準備しているとの内容は確認できます。

    ただ結局のところ、マスク氏が「有料化」について触れているのはこの2カ所だけ。

    前述した「少額の課金」が「より低価格なプレミアムプラン」のことを指している(つまり全ユーザーに課金するわけではない)のか、それとも「全ユーザーに利用料は課しつつ、それとは別に『より低価格なプレミアムプラン』も用意している」のか、どちらが正しいかと言われれば「解釈次第でどちらとも読める」といったところでしょう(ちなみにコミュニティノートはあくまでユーザーが書いたものを評価に応じて表示しているだけなので、必ずしもそれが正しいというわけではありません)。


    こうした流れを受け、ネット上では一時「有料化するらしい」説と「やっぱり有料化はデマらしい」説、さらには「有料化はデマというのがデマ」説までもが飛び交う混沌とした状況に。

    果たして真意はどちらなのか、マスク氏の次の発言に注目が集まっていました。

    マスク氏の投稿でようやく解釈に決着か

    そんな中、マスク氏は今回、上記「誤解を招く投稿」のコミュニティノートにリプライする形で、「And @CommunityNotes scores again(コミュニティノートがまたゴールを決めた)」と投稿。

    Twitter: @elonmusk

    やや遠回しな言い方ではありますが、コミュニティノートの内容を支持していると考えれば、やはり「全ユーザーへの課金を検討しているわけではなかった」と受け取るのが自然でしょう。Xが完全有料になるのではと心配していた人は、とりあえず今の時点では安心してよさそうです。

    ただ、マスク氏の発言はもともと「少額のシステム利用料を課すことがbotに対抗する唯一の手段になる」という文脈から出たもので、そう考えると、無料ユーザーの“優先度”は今後もっと下がることも懸念されます。

    SNS上ではマスク氏の発言を受け、「【朗報】X全員有料化はなし!」と喜ぶ声もみられた一方で、「いやそれはbot対策にはならなくない…?」と別の心配する声もみられました。

    【9月24日11時20分追記】

    当初マスク氏が支持していた「有料化否定」のコミュニティノートですが、現在は別の内容に差し替わっています。現在の内容は次の通り

    https://t.co/RjkZJ9fyZ4 のインタビューの34:40にあるElonの正確な引用は次の通りです>

    <「Xシステムの使用料を毎月少額支払うことは、botの大軍と戦うために私が思い付く唯一の方法です」>

    9月24日時点のコミュニティノート

    当初は明確に「有料化を否定」する内容でしたが、現在はシンプルにマスク氏の当該発言を書き起こしだけのものに。

    マスク氏がコミュニティノートを支持していたのはあくまで「変わる前」のものなので、マスク氏の意図に変わりはないとみられますが、コミュニティノートは評価によって後から変わる可能性もあり、これ自体が事実を保証するものではない点に注意が必要です。