ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』に出演する黒人俳優、モーゼス・イングラムが、人種差別や中傷メッセージが大量に送られているとInstagramストーリーで告白した。
同作で主演を務めるユアン・マクレガーは、STAR WARS公式アカウントを通じて、「(彼女に攻撃的なメッセージを送る人は)スターウォーズのファンではありません」「この世界にレイシズムの居場所はない」と強く非難している。
「お前は多様性のために雇われた」
『オビ=ワン・ケノービ』は、スターウォーズシリーズのスピンオフドラマ(全6話)。日本でもDisney+で配信が始まったばかりだ。
モーゼス・イングラムは、同作で初登場したキャラクター、尋問官・リーヴァを演じている。
黒人の女性による新キャラクターということで、シリーズのファンを語る一部の人々から、強い攻撃にあっている。
「お前は多様性のために雇われただけで愛されていない」などの人種差別や中傷メッセージが数百通も送られてきているとInstagramストーリーで明かした。
それを受け、STAR WARS公式アカウントは5月31日、モーゼスを守る声明をTwitterで発表。
私たちはモーゼス・イングラムをスターウォーズファミリーに迎えられたことを誇りに思うとともに、リーヴァの物語を明らかにできることを楽しみにしています。彼女を歓迎しないような人がいたら、私たちが言うことは一言だけです。「抵抗します」
スターウォーズの銀河には、2000万を超える種族が存在します。レイシストにならないでください。
続いて、同ドラマで主役・オビ=ワンを演じるユアン・マクレガーからの「個人的なメッセージ」も投稿した。
冒頭で、多くの人が作品を観てくれたことに感謝した上で、一部のファンによってモーゼスに人種差別コメントが送られていることに触れ、怒りをにじませながら以下のように続けた。
モーゼスは素晴らしい俳優であり、素晴らしい女性であり、ドラマにおいても最高の存在です。今回起きたことには吐き気がする思いです。
主演俳優として、製作総指揮として、私が言いたいことは『私たちはモーゼスとともにある』ということです。私たちはモーゼスを愛しています。
もし、あなた方が彼女に攻撃的なメッセージを送るなら、私の中であなた方はスターウォーズのファンではありません。この世界にレイシズムの居場所はありません。私は、絶対的にモーゼスの味方です。
スターウォーズに出演すると…繰り返される中傷
世界的な人気シリーズとして多くのファンを抱えるスターウォーズだが、この数年は黒人やアジア人の俳優たちへの人種差別やネットリンチが激しく、度々問題視さている。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で一躍有名になったベトナム系アメリカ人俳優のケリー・マリー・トランは、人種や容姿に対する差別的なコメントが大量に寄せられた結果、Instagramの投稿をすべて削除するに至った。
2018年にニューヨーク・タイムズに寄せた寄稿で、ケリーは以下のようにつづっていた。
「私がアジア系の女性として、大人になる過程で学んだのは、私の居場所はすみっこの隙間にしかなく、物語の小さな役しか与えられないということ」
「彼らのコメントは、その事実を再び証明しているようでした」
〈サムネイル画像:Getty Images〉