「チケットは、お金儲けの道具ではありません」音楽業界がチケット高額転売問題にあらためて警鐘 新聞広告第3弾

    公式チケットリセールサービス「チケトレ」が6月1日に正式オープン。

    音楽業界4団体(日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会)は6月1日、公式チケットリセールサイト「チケトレ」を正式オープンした。新聞広告も出稿し、チケットの高額転売の撲滅に力を入れていく旨をあらためて宣言している。

    念願の公式サービス 批判の声も

    チケトレ」は、定価譲渡を条件とした、業界公式のチケットリセールサービス。転売サイトに頼ることなく、ファン同士で譲り合える場として5月10日にプレオープンした。

    「急な事情でコンサートに行けなくなった場合、公式に譲れる場所がほしい」というユーザーのニーズを汲んで開設したものの「手数料が高すぎる」「出品者するメリットがない」など多くの批判も浴びた。

    コンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員はBuzzFeed Newsの取材に対し、「『高い』という声が目立ったのは正直残念。手数料に関しては、本人確認や、お金の安全なやりとりなどの仕組みを整備するコストを考えるとこれでもギリギリに抑えている」と答えている

    正式オープンを告知するリリースの中では「賛同する声が挙がる一方で、その反対に厳しい意見が存在していることを、真摯に受け止めております」としている。

    利用の現状は?

    プレオープンから半月経ったが、チケトレへの出品は5月31日午後4時時点で1件のみ。

    出品時に本人確認書類の提出・審査が必須であることに加え、システム上、ユーザーが自由にチケットを出品できるわけでなく、運営側が対応公演を設定する必要があり、対象となっている公演がまだ少ないことが要因として考えられる。

    6月1日朝刊の新聞広告(北海道は5月31日)で発表した声明では、「発券前チケットにや電子チケットなどに対象範囲を順次拡大していく」「これだけで高額転売問題が解決するわけではない」などとしている。

    以下、新聞広告の声明から一部抜粋。

    「チケトレ」はやむを得ない事情でイベントに行けなくなってしまったファンが、購入済みのチケットを定価で譲ることのできるサービスです。不当な高額転売が横行したり犯罪行為の温床となることのない、ファン同士がトレードする公式な場を作ることで、誰もがトラブルなく安心してライブを楽しむことのできるツールとなることを目指します。

    「チケトレ」は、主催者公式のトレードのため、個人認証などの入場制限のあるコンサートにも対応しています。今回のサービス開始時点では、発券済みの紙チケットに限定して取り扱いを開始しますが、運営体制が整い次第、発券前チケットや電子チケットなどに対象範囲を拡大していくことも検討しています。

    もちろん、これだけで高額転売問題が解決するわけではありません。今後も、簡便で高精度な個人認証技術の導入、不正な大量購入を抑制する次世代のチケット販売システムの導入など、さらなる対策を行っていきます。また、ネット上のダフ屋行為を取り締まる法整備を目指し、ライブ・エンタテインメント議員連盟の協力を得ながら、関係機関への働きかけを進めていきます。