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「朝はちゃんと着替えよう」「リモート会議は音声だけ」4年間のテレワークでわかった在宅勤務のコツ

新型コロナで在宅勤務が導入されたけど、いまいちペースがつかめない…なんて人も多いのでは? 長年テレワークを導入してきた先進企業に「うまく働く」コツを聞きました。

新型コロナウイルスの影響が長引く中、テレワーク(リモートワーク)を本格的に導入する企業も増えてきました。

しかし、自宅で集中して仕事をするのはなかなか大変……。何かうまくやっていくコツはあるんでしょうか?

長年リモートワークを取り入れている企業に、離れていてもうまく仕事を進めていくコツ、聞きました。

全社員、必要な時のみ出社。シックス・アパートの場合

まず紹介するのは、CMSプラットフォーム「Movable Type」などを扱うシックス・アパート。2016年夏から「全従業員、必要な時のみ出社」のワークスタイルをとっています。

2011年の東日本大震災をきっかけに、節電のため、週1回の在宅勤務日を設けていましたが、それを拡張。オフィスは約100坪から約30坪程度になり、家賃や光熱費などの固定費は3分の1程度になったそうです。

Twitterで「#リモワノウハウ語るよ」のハッシュタグをつけて4年間で得たリモートワークで快適に働くコツを発信している、広報の壽かおりさんにお話を聞きました。

🕗早めに仕事開始しよう 出社しなくていいなら、朝の身支度は最小限ですむし移動の時間もいらないね。 だったらいつもの始業時間より早く仕事を始められるはず。頭が冴えててやる気ゲージが比較的多い午前中に重めの仕事に手を付けよう。 #リモワノウハウ語るよ

すべてをオンラインに…ではなく

この数ヶ月「家から出られない」状況で働くのは私も本当に辛かったです。本来のリモートワークはこんなにしんどくありません!(笑)

シックス・アパートは、個人のQOL向上のために「毎日出社必須」という今までのルールをなくし、フルリモートワークにしました。

オフィスに限らず、自分にとって一番生産性が高い場所で働けます。会社にとっての生産性ではなく、プライベートも含めて自分にとって一番幸せでパフォーマンスが出せる働き方を選べる仕組みです。

私の場合は、小学生の子どもと向き合う時間を大事にしつつ、コロナ前にはオフィスにも週2〜3回は出社して働いてきました。同じチームのメンバーとも月1〜2回は顔を合わせています。

すべてをオンラインで完結させるのではなく、必要があればいつでもオフィスに行ける、いつでも会える――そんな“いいとこどり”なスタイルです。

1.近所の人に会っても挨拶できる程度の身だしなみ

自宅で働く上で大事なのは、仕事モードへ切り替えるためのルーティーンを持つこと。

私の場合は、朝はいつもと同じ時間に起きて、着替えて、日焼け止めと眉を書く程度のメイクをしています。「コンビニで近所のおばさんに会ってもおだやかに挨拶できる程度の身だしなみ」を心がけています。

小学生とカフェワーク中。デシリットルとか小学校出てから一度も使ってないわ。

「子どもが学校から帰ってきたら仕事の手を休めて話す時間を取るようにしています」「一緒にカフェに行き、自分は仕事、子どもは宿題…なんて日も」

2.社内会議は音声のみ

シックス・アパートの会議は基本的に音声のみ

参加者の顔ではなく、アジェンダをまとめた資料を画面共有しながら話を進めています。議論の決定事項を資料に書き足していけば、そのまま議事録として残せるので便利です。

全員ビデオありの会議と比べて通信も安定するし、ちゃんとした格好しなきゃ、部屋の片付けしなきゃ、という仕事以外のプレッシャーが減るのがメリットです。

ブレストなど、対面で会って話したほうが早い内容は、オフィスやレンタル会議室に集まって行っています。

3.仕事のおともにちょっといいお茶を

オフィスの賃料や光熱費、社員の定期券代が浮いた(※通勤費は出勤した日の分のみ支給)分を原資にして、全社員に毎月1万5000円のテレワーク手当を支給しています。

自宅の光熱費や通信費の足しにしたり、椅子やデスクや外付けキーボードを買ったり、使い方は人それぞれ。各自で働きやすい環境を整えるための出費であれば用途は自由で、会社への申請は必要ありません。

私は、通信費やデスク周りの物に加えて、ちょっといい紅茶や中国茶を買うのに使っています。手当があることで、1ランク良いお茶を買う後押しになります。

同僚と話をしていると、休憩中の飲み物にこだわっている人は多く、おいしいコーヒーを淹れるための機材をそろえたという人もいました。

環境整備という意味では、これからの季節は、暑さ対策はしっかりした方がいいと思います。空調バッチリのオフィスと比べると、一般住宅は暑さ寒さには弱いです。

我が家では、エアコンとサーキュレーターを併用して空気の流れを作るなどの工夫をしています。

4.意識して運動しよう

ランチタイムは、近所のお店でテイクアウトしたり、スーパーでちょっと買い出ししたり、なるべく散歩するようにしています。

通勤がなくなると、日々の運動量は目に見えて少なくなります。私の場合は、通勤する日は1日8000歩くらいは歩けるのですが、一日在宅ワークの日の歩数は半分くらいになりました。

その代わりに意識的に外に出ることや、家の中でも運動する習慣をつけるのがおすすめです。最近は、Nintendo Switch「リングフィット アドベンチャー」をコツコツ進めています。

5.コミュニケーション不足は「感じない」

「社員同士のコミュニケーションが難しくなる?」と聞かれることも多いですが、私自身はあまり感じていません。むしろ、部署を越えて交流しやすくなった気がしています。

例えば、オフィスの座席が減り、フリーアドレス(社員ごとに特定のデスクがないこと)になったので、たまに出社すると毎回隣に座るメンバーが変わります。違う部署の人と、ビジネスチャットで話題になっていた話の続きをする機会は増えました。

また、社員全員が集まる総会が月1回あるのですが、月に1回くらいだと、むしろ雑談がはずむんです。

オフィスには全社員が入りきらないので、キッチンがあるレンタルスペースを借りています。社員総会のあとは、飲み食いしながらおしゃべりしています。

業務上のオンラインコミュニケーションでは、こまめに進捗や活動内容を報告することを心がけています。

すぐに成果が出る仕事だけではないので、成果だけで評価されるのもちょっと違うと思っています。「今こういうチャレンジをしています」とアピールする姿勢は、リモートだからこそ大事ですね。

6.逆手に取って、社外の人との交流を増やす

仕事に集中できるようデザインされているオフィスと、まったく同じことが自宅でできているかというと、そうではないです。でも、この働き方だからできる仕事の仕方、コミュニケーションもたくさんあります。

例えば、社外の人との交流はかなり活発になりました。他社のオフィスに遊びに行ってそこで少し作業させてもらったり、最近会ってない人とランチに行ったり。リモートワークという共通の話題があるので、業種を超えて他社と情報交換する機会も増えました。

7.採用面でもメリット

この数年、採用に応募してくださる方の話を聞くと「リモートワークの働き方に関心があって」とおっしゃる方が多いです。

毎日出社しなくてよいことで、より多くの方に出会える可能性がある。これは採用面でも大きなプラスだと思います。

東京以外の場所に住みたい人、子育てや介護、持病を抱えている人。オフィスに縛られない働き方にすることで、いろんな暮らし方を肯定できるんですよね。

リモートワークは、「オフィスはもういらない」ではなく「働き方の選択肢を増やす」こと。新型コロナをきっかけに、柔軟な働き方がもっと広がっていけばいいなと思います。