新型コロナの影響で、ライブや舞台ができなくなって5カ月近く。エンターテインメントが復活する日を願い、全国の照明業者やイベント業者が連携し、ライトアップイベント「JAPAN #31プロジェクト」が行われています。
大きな建物でダイナミックに、個人の自宅やバーでひっそりと。北海道から沖縄まで、全国約180カ所。毎週月曜日の午後8時から一斉にオレンジ色のライトを灯します。
自粛生活に耐え抜いたすべての人に感謝を込めて。裏方スタッフたちの仕事が復活するその日を願って。
優しいオレンジの光に、照明マンたちが込めた思いは。
発起人の一人、照明会社アールスリーの小向康裕さんに聞きました。
#31は、夕焼けの色
ライブイベントが軒並み中止になり、窮地に追い込まれたのはみな同じ。
全国の同業者とのオンライン飲み会で話題になったのが、ドイツではじまった「Night of Light」というムーブメントでした。
「エンターテインメントは今、赤信号である」という思いを込めて、各地を真っ赤にライトアップして連帯を示す試みです。ドイツだけでなく、ヨーロッパ各地や世界中に広がっています。
「日本でも同じようなことができないか?」と考えた小向さんたち。
赤色はちょうど「東京アラート」で使われる色だったため、温かみがあるアンバー(オレンジ)を選びました。
プロジェクト名の「31」は、濃いオレンジ色のカラーフィルターの番号。舞台では夕焼けなどの演出でよく使われる色味です。
決められたルールはひとつ、この31番の色を使って好きな場所を自由にライトアップすること。
さまざまなアーティストの全国ツアーを運営する上で、もともと地域を超えた横のつながりが強いイベント業界。Facebookでページを作り、関係者に参加を呼びかけました。
全国120カ所でオレンジの光が
第1回の7月6日には、全国約120カ所が参加。公共施設やお城、お寺、自宅のベランダなどさまざまな場所で心をつなげました。
岩手県公会堂では、地元のバレリーナがダンスを披露。
ブルーノート東京や仙台サンプラザも参加。
ライブの実現に欠かせないのが物流を支えるトランポさん(トランスポーター)。「いつもお世話になっているトラックも、感謝と応援の気持ちを込めてライトアップさせてもらいました」(小向さん)
こちらは札幌の照明会社さん。下がりに下がったモチベーションを少しでも上向きに、と若手社員にまかせているそう。
博多駅前のビルも、上の階がオレンジ色に!
南は沖縄、西表島からも参加がありました。
東京近郊のライブハウスとしてはおなじみ、新木場コーストも鮮やかなオレンジに🌇
「この数カ月、機材も触ってなかった。現場で仲間たちと動けてうれしかった」
「図面を書いたり、セッティングを考えたり。仕事らしい仕事は久しぶりで楽しかった」
全国の参加者の方からは、笑顔の写真とともにこんな声が寄せられていると言います。
回を重ねる度にムーブメントは広がり、20日夜は約180カ所でライトアップされる予定です。
発起人の小向さんは、なんと単身、宗谷岬へ。日本最北端の地でモニュメントをオレンジに染めるそうです。
「西表島の写真を見て、北のはじっこでもやりたいな、と(笑)。やり始めたら楽しくなってきちゃいましたね、やっぱりこの仕事が好きなので」(小向)
照明さんを応援したい! どこで見られるの?
人が集まることを防ぐため、残念ながら一部を除き実施場所は告知していません。
つまり、見かけた方はラッキー! 月曜午後8時、街でオレンジの光を見かけたら「これは!」とぜひ思い出してください。
これまでの各地でのライトアップの様子は、FacebookやTwitterで「#japan31project」のハッシュタグで見ることができます。
プロジェクトは全4回で、残りは7月20日、27日の2回。8月以降はまた別の企画を用意しているとか。
公式Facebookページでは、両日ともに夜8時からライブ配信を実施。全国のライトアップスポットをつないで中継します。