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満席のスクリーンはいつ戻る?映画館が「全席販売再開」に踏み切れない理由

人数制限は緩和されたが…。「全席販売」にすぐには戻らないのは、映画館特有の事情があった。

9月19日から、コンサートやスポーツイベント、演劇などのイベント開催制限が緩和される。前後左右の座席を空け、各スクリーンの客数を本来の50%に抑えていた映画館も対象だ。

だが、全国の映画館では、全席販売を再開するか、これまで通り50%で留めるか、大きく判断が分かれている。

ようやく緩和したのになぜ? そこには、簡単に全席販売に踏み切れない理由があった。

大手シネコンも判断分かれる

9月11日の新型コロナウイルス対策専門家分科会では、「大声での歓声・声援などがないことを前提しうるもの」に分類された映画館。19日をもって、収容人数の100%の動員が可能になった。

しかし17日現在、4連休を控えるこの週末の対応は分かれている。全国展開をしているシネコングループを中心に調べてみたところ、以下のようになった。

全席販売再開

  • 109シネマズ(19日のみ)
  • T・ジョイ(新宿バルト9、横浜ブルク13、梅田ブルク7など)
  • テアトルシネマ(ヒューマントラストシネマ有楽町、キネカ大森など)
  • チネチッタ


座席空けを継続

  • TOHOシネマズ
  • イオンシネマ
  • ユナイテッド・シネマ


なぜここまで分かれているのか? 問題になっているのは「座席での飲食の有無」だ。

飲食を諦めるか? 迫られる2択

分科会資料の中の「感染防止のためのチェックリスト」を見ると、「飲食の制限」という項目が設けられている。

仮に満席の映画館の座席でポップコーンやドリンクを楽しむ場合、飲食をする際は、当然マスクを外さざるをえない。

向かい合った状態よりは飛沫が飛ぶ可能性が少ないとはいえ、隣や前の座席との距離は近く、アクリル板などの設置はない。もし友達や恋人と訪れたら、同じポップコーンを分け合うこともあるかもしれない。

感染防止対策は万全……とは言いかねるのが現状だ。

「厚労省に確認したところ、座席を100%使用する場合、飲食は認められないとのことだった」

映画館向けの感染防止ガイドラインを制作している業界団体「全興連」(全国興行生活衛生同業組合連合会)も、協議の上そう結論づけたという。

つまり、映画館は今

  • 座席を100%販売し、飲食の販売を取りやめる
  • 座席を50%に抑え、飲食の販売を継続する


の2択が迫られていることになる。

簡単に緩和できない…揺れる対応

引き続き販売数を抑えるTOHOシネマズ、イオンシネマは、BuzzFeed Newsの取材にそれぞれ以下のように答えた。

TOHOシネマズ「政府から飲食を伴う場合は50%を継続するようにとあったため、現状の座席数を継続する」

イオンシネマ「飲食の可否について、全興連のガイドラインを注視したい。現時点では、全席販売再開は考えていない」

全席販売を再開する映画館のうち、T・ジョイ系列は「劇場内での飲食に制限がかかる場合がございます」と明記している。

109シネマズは15日には全席販売再開をアナウンスしていたが、翌16日に20日の上映チケットの販売開始時間を24時間遅らせる旨を発表。

「ガイドラインの最終確認を行うため」としている。

映画館にとって、飲食の収入は少なくない比率を占める。スタッフの雇用の問題もある。座席数を増やすか、飲食を諦めるか――苦渋の決断だ。

一度は全席販売を再開した映画館も、今後また座席を削減する可能性もあるかもしれない。

追記(18日午前11時30分)

東京・立川のシネマシティは17日、「ふたたび50%販売に戻します」と発表。

「飲食をともなわない場合に限り」という条件つきの指示を受けました。

 まだ高い気温の日が続くことや長尺作品もあることから、お客様の健康に配慮し、ふたたび50%の座席販売へと戻します。

と変更の理由を説明している。

【重要】9/19(土)から全席販売の予定でしたが、ふたたび50%販売に戻します。9/19(土)『Fate/stay night』15:00回はすでに50%以上のご予約を承っておりますので飲食禁止とさせていただきます。 - シネマシティNEWS https://t.co/PzuSNVqKgV