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「私に何かあったらこの手帳を開いて」ペットと暮らす全ての人に知ってほしいアイテムがある。愛猫家が込めた思い

家で大切な家族(ねこ)が待っています。私に何かあったらこの手帳を開いてください──。突然の事故や病気で家に帰れなくなってしまったとき、自宅で待つペットはどうなる…?そんな不安に応えるアイテムがあります。

もし自分が突然の事故や病気で家に帰れなくなってしまったら、“この子”はどうなってしまうのだろう──。

ペットと暮らす人が抱く、こんな不安に応えるアイテムがある。

その名も「もしもヘルプ手帳」。

飼い主に不測な事態があった際に、自宅で待つペットがいることや、ペットの世話をするにあたって必要な情報を伝えることができる。

どんな手帳?

《家で大切な家族(ねこ)が待っています。私に何かあったらこの手帳を開いてください》

ねこ用の、もしもヘルプ手帳の表紙に書かれたメッセージだ。

開くと、飼い主の「もしも」のときに必要となる情報を記載するページが続く。

飼い主の情報や代理人の連絡先、かかりつけの動物病院。猫の情報にいたっては、名前や年齢、健康状態といった基本的なことから、マイクロチップの番号や避妊手術の有無、普段使っているトイレ砂の種類まで、詳細な項目が用意されている。

もともとは2021年7月にねこ用のみが発売されたが、現在ではいぬ用やうさぎや鳥などエキゾチックアニマル用も販売されている。2022年12月までに3000冊以上が売れたという。

アイデアは「母子手帳」から

商品を手がけたのは、イラストレーターのオキエイコさん。

開発のきっかけは、一人暮らしで猫を飼う友人の一言だったという。

「もし外出先で自分の身に何か起きてしまったらと思うと、家にいる猫のことが不安でたまらない」

オキさんも、自宅で2匹の猫を飼っている。

同居する家族がいるため、それまで友人のような不安を抱いたことはなかった。しかし、よくよく考えれば、家族全員で外出中に事故に巻き込まれる可能性もあるし、猫の面倒を一番見ている自分にしか分からない情報もある。

何かできることはないだろうか。

そんな思いから、2020年9月、スマートフォンのロック画面や壁紙用に「おうちに大切な家族がいます 私になにかあったら気にかけてもらえると幸いです」というメッセージを添えた画像を作成した。

手帳のアイデアを思い付いたのは、2022年3月に双子を出産した直後のことだ。母子手帳を記入しながらハッとした。

「猫用の母子手帳を作って、そこに『もしも』の時に必要な情報も加えられるようにしたらいいんじゃないか」

Twitterで10万を超えるフォロワーがいるオキさん。普段から愛猫の写真を投稿しているため、猫好きのフォロワーも多い。手帳のラフ画を投稿し、内容への意見を募集。

すると、自分では考えも及ばないアイデアが次から次へと集まった。

たとえば、トイレ砂の種類を書く項目。トイレ砂を変えると排泄しなくなる猫がいるという声が寄せられ、追加することを決めたという。

「飼い主さんが本当に必要とする項目にこだわり抜いた」。オキさんはそう話す。

【企画原案】 ねこヘルプマークの新アイテム #ねこヘルプ手帳 を企画中です。 よりシンプルに、より買いやすく、必要な人に届けられることに目を向けました。 このツイのツリーで内容面のラフも公開してます。 「この項目も追加して」とか「〇〇だと使いやすい」など教えてもらえると嬉しいです続く→

Twitter: @oki_soroe

発売を開始すると、「こういう手帳をずっと待っていた」「お守りのように持ち歩いている」などと反響を呼んだ。

同時に「犬用はないのか」などの問い合わせも相次ぎ、2022年10月には、いぬ用とどうぶつ用の販売も開始した。

また、手帳だけではなく、「ねこが家にいます」などと書かれたステッカーやマグネット、携帯が容易な「ヘルプカード」など、商品のバリエーションも増やしてきた。

オキさんは、一連の商品にこんな思いを込める。

「緊急時に家で待つ動物をどう守るかを考えることは、動物と暮らす全ての人が考えないといけないことだと感じています。私が作っているものはあくまでツールの1つに過ぎませんが、たくさんの方がリスクに気づいたり考えたりするきっかけになれば嬉しいです」

もしもヘルプ手帳は一冊990円(税込)。1冊50円が「公益財団法人 日本動物愛護協会」に寄付される。ウェブサイトから購入可能。