農家を直撃する、学校給食の停止や飲食店の休業。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「緊急事態宣言」が出るなど、警戒が高まっています。
不要不急の外出自粛が求められ、小学校や保育園の休校に伴う給食の停止や、飲食店の休業が相次ぎ、農作物を出荷していた農家が影響を受けています。
そんな中、あるツイートが注目を集めました。
「給食や飲食店の納品が完全ストップ」で、積み上がる在庫2トンの山。
BuzzFeed Japanはこのツイートをした三浦大輝さんを取材しました。
保育園給食のための野菜の卸しや青果店の経営などを行う株式会社Living Roots代表取締役の三浦大輝さん(24)。
新型コロナウイルスの影響で量販店や飲食店が休業するようになり、取引先の農家の現状が気になり電話をかけたのだといいます。
「状況を聞くと、やっぱり飲食店の休業がかなりのダメージになっているということで、現地に足を運びました」
「どうしようもないよね」という農家の声
「農家さんは、売り先がない状況が続いてるって仰っていました。完全に『どうしようもないよね』という感じで」
野菜の卸しや青果店での販売などを行う三浦さんの会社も、新型コロナウイルスの影響を受け「飲食店の休業や給食の停止で卸しの売り上げが下がっており、厳しい状況が続いている」といいます。
「でも僕は『どうしようもなくはないな』って思って。今はSNSもありますし、ネットで売るなりして、なんとかしたいなって思いました」
自社の売り上げ低下、そして農家が受けている影響をなんとかできないか。そう考え生まれたのが「こだわり野菜セット」の販売でした。
200箱が10分で完売。「自炊が楽しくなりそう」の声も
こうして販売が決まった「こだわり野菜セット」(税込2160円)。
おまかせで詰められたダンボール一箱分の野菜を宅配するサービスです。販売開始から約10分で200箱が完売したといいます。
SNSには、注文した人たちから「自炊が楽しくなりそう」「野菜がおいしくて感動」など賞賛の声が寄せられています。
三浦さんは企画への反響を、こう語ります。
「(企画の)どこが良かったのかなと考えたときに、今まで普段の消費を通して誰かを支えていると感じることってあんまりなかったと思うんですよ。こういう企画を通して、消費者の方々が誰かを支えているんじゃないかとか、フードロスを無くせるんじゃないかとか、そういった意識が根付いたんじゃないかと思っています」
新型コロナウイルスの危険性があるなか「どうやって野菜を届けるか」
新型コロナウイルスの影響で農家や会社の売り上げは下がっているが、「食料に対しての需要は変わっていない」と考えている三浦さん。
「(食料消費の)窓口が飲食店ではなくなって、家で食べるようになったっていうのが根本的な変化だと思っています」
野菜への需要は変わっていないはず。そう考えた三浦さんは、消費者に「どうやって野菜を届けるのか」を追求したといいます。
また、農家で栽培された野菜を消費者の元に宅配で届ける販売形態にも、こうした三浦さんの思いがこもっていました。
「スーパーなどにはかなり人が押し寄せていて、コロナが拡大してしまう危険性があると思いました。そこで、インターネット販売を通して個別配送すれば危険も避けつつ、行き場のなくなった野菜をお客様の元に届けられるのでは、そういう仕組みが現状に適しているのではないかなと思いました」