24歳女性、亡くなったパートナーの精子を使った体外受精が認められる

    2年前に自殺したパートナーの冷凍保存された精子を使って子どもを授かることが認められるのは州で初となった。

    オーストラリア・クイーンズランド州に在住するアイラ・クレスウェル氏(24)は、6月20日、2年前に自殺したパートナーの凍結保存された精子を使って子どもを授かることが裁判で認められた。

    3年の交際をしていたクレスウェル氏とパートナーのジョシュア・デービス氏。二人で暮らす家を購入するために貯金したり、結婚や家庭を築いたりする予定だったという。

    しかし、2016年8月、デービス氏が自殺。遺体が発見された数時間後、クレスウェル氏は遺体から精子を採取する許可を得るために、裁判所に緊急出願をした。

    デービス氏の遺体から精巣と精子を採取するのは合法と認められ、病院で採取されたのち、IVFクリニックによって精子は凍結保存されていた。

    その後、クレスウェル氏は、精子を使って体外受精をするために、昨年9月から裁判所に許可を求めてきた。

    クレスウェル氏の弁護人であるキャサリン・マックミラン氏は、昨年の裁判で「彼女は考え、カウンセリングも受け、たくさんの試練もくぐり抜けてきた。子どもを授かれるかどうか、検査もなんども受けてきた」と説明し、単なる悲しみの解消ではないと主張した。

    ABC Newsによるとデービス氏の友人は、デービス氏が生前に子どもを望んでいると発言していたと宣誓供述書で証言している。

    そして9ヵ月後の2018年6月20日、ブリスベンの最高裁判所でスー・ブラウン裁判官は体外受精を認める判決を下した。クイーンズランド州で死後生殖が認められるのは初となる。

    子どもを授かることをデービス氏の両親や友人から承諾とサポートを得ていたクレスウェル氏。20日、裁判所にデービス氏の家族が同行した。

    スー・ブラウン裁判官は判決言い渡しのあと、この法律分野は「社会では対立する見解がある」ものだと説明した上で、「(パートナーを失ってからの)深い悲しみによる理不尽な反応ではない」とした。

    また、デービス氏の父親が息子が亡くなった晩からプロセスが円滑に進むようクレスウェル氏を手助けしていたことも付け加えた。

    クレスウェル氏は裁判所に「十分に裕福」であると訴え、子どもを一人で育てられると主張した。

    世界各国で倫理的な課題になっている死後生殖。日本でも夫の死後に凍結保存した精子を使って出産したケースがあるが、最高裁は2006年、夫の意思が確認できないことを理由に親子関係を認めない判断を下した。

    この記事は英語から翻訳されました。

    訂正

    「最高裁は2018年」としていたのは「2006年」の誤りでした。訂正いたしました。