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両足を切断したヨガの先生。自分の傷と向き合っている

イラク戦争で負傷しました

こちらはダン・ネビンズ。フロリダ州住む43歳のダンは、アメリカ軍の兵士だった。今はヨガ講師として活動しながら、これまでの体験を講演で語っている。

ダンは、ホワイトハウスで開かれる復活祭のイベントにも、2年連続で招待を受け、ヨガの指導を行った。

ヨガのレッスンは、ミシェル・オバマ大統領夫人による、子供の肥満を解決したり、若い世代の健康を育む「レッツ・ムーブ」キャンペーンの一環として開催された。
Instagram: @dannevins / Via instagram.com

ヨガのレッスンは、ミシェル・オバマ大統領夫人による、子供の肥満を解決したり、若い世代の健康を育む「レッツ・ムーブ」キャンペーンの一環として開催された。

ダンは2004年にイラクに派兵されていた。その時、乗っていた車両の下で即席爆破装置 (IED)が爆発したことにより両足を失い、脳に外傷を受けた。

イラクでの負傷後、ダンはアメリカに帰還。ワシントンD.C.にあるウォルター・リード米軍医療センターで2年間治療を受け、その間36回の手術を経験した。「初めは右足が残った状態で退院したのですが、痛みと骨の感染症が耐えられなくなって、1年後に切断しました。良い決断だったと思います」。ダンの両足は、膝下を切断した状態で、義足を装着している。「みんなが義足を気に入ってくれます。子どもたちもかっこいいと思っているようだし。デートしても、女の子たちは足がないことを気にもしませんでした」
Instagram: @dannevins / Via instagram.com

イラクでの負傷後、ダンはアメリカに帰還。ワシントンD.C.にあるウォルター・リード米軍医療センターで2年間治療を受け、その間36回の手術を経験した。「初めは右足が残った状態で退院したのですが、痛みと骨の感染症が耐えられなくなって、1年後に切断しました。良い決断だったと思います」。ダンの両足は、膝下を切断した状態で、義足を装着している。「みんなが義足を気に入ってくれます。子どもたちもかっこいいと思っているようだし。デートしても、女の子たちは足がないことを気にもしませんでした」

2007年、ダンはアスリートとなった。ヨガを始めたのは2014年になってからのこと。リハビリために休みを取り、戦争後遺症と闘っていたときだった。

リハビリを終えると、ゴルフをしたり、身体に合わせて作ったロードバイクでアメリカ中を走ったり、キリマンジャロに登ったりした。また、負傷した兵役経験者への支援を行う 傷痍軍人プロジェクトの理事にも就任した。「とても良い経験でした。スポーツをやっていた本当の理由は、戦争で負った、見えない心の傷から目をそらすことでした」とネビンズさんは言う。 2年前には、8週間もの間、自宅で松葉杖を使って、一人で療養生活を送らなければならなかった。その状態では仕事をしたり、幼い娘の面倒を見るのが難しかった。「それまでは実際に自分をPTSDに苦しむ兵役経験者とみなすことはありませんでしたが、その時ついに自覚しました。自分の状況に対して希望を失い、戦争の後遺症に対処しきれなくなってしまったんです」と言う。 アメリカでは、毎日、22人の兵役経験者が自殺によって命を落としているという統計がある。「私はそんな統計の一部になりたくなかった。だから友人に助けを求めました。その友人は偶然、ヨガを教えていたんです」
Mark Cubbedge, "Faces of Freedom," / Instagram: @dannevins / Via instagram.com

リハビリを終えると、ゴルフをしたり、身体に合わせて作ったロードバイクでアメリカ中を走ったり、キリマンジャロに登ったりした。また、負傷した兵役経験者への支援を行う 傷痍軍人プロジェクトの理事にも就任した。「とても良い経験でした。スポーツをやっていた本当の理由は、戦争で負った、見えない心の傷から目をそらすことでした」とネビンズさんは言う。

2年前には、8週間もの間、自宅で松葉杖を使って、一人で療養生活を送らなければならなかった。その状態では仕事をしたり、幼い娘の面倒を見るのが難しかった。「それまでは実際に自分をPTSDに苦しむ兵役経験者とみなすことはありませんでしたが、その時ついに自覚しました。自分の状況に対して希望を失い、戦争の後遺症に対処しきれなくなってしまったんです」と言う。 アメリカでは、毎日、22人の兵役経験者が自殺によって命を落としているという統計がある。「私はそんな統計の一部になりたくなかった。だから友人に助けを求めました。その友人は偶然、ヨガを教えていたんです」

「初めてポーズをとったとき、悲観的な考えが全部消えました。10年振りに世界とつながっていると感じました」

それまで、ヨガをしようと考えたことはなかった。しかし、瞑想を試し、効果があるように思えたので、挑戦した。「義足を着けているのでとても大変でした。苦痛でした。失望した私はもう義足をかなぐり捨てたのですが、人前でそんなことをしたのは、10年間で初めてでした」と話す。たくさんの忍耐と友人の助けのおかけで、ほとんどのポーズをとれるようになった。「勇者のポーズに身を沈めながら、地面が自分の下で粉々になって、身体がエネルギーで燃え上がるように感じたのを覚えています。目には涙が溢れ、何が起こっているのか理解できませんでしたが、人生に対する見方がすっかり変わりました」とダンは回想する。「その瞬間に、自分はヨガをやる運命なのだと悟りました」
Robert Sturman

それまで、ヨガをしようと考えたことはなかった。しかし、瞑想を試し、効果があるように思えたので、挑戦した。「義足を着けているのでとても大変でした。苦痛でした。失望した私はもう義足をかなぐり捨てたのですが、人前でそんなことをしたのは、10年間で初めてでした」と話す。たくさんの忍耐と友人の助けのおかけで、ほとんどのポーズをとれるようになった。「勇者のポーズに身を沈めながら、地面が自分の下で粉々になって、身体がエネルギーで燃え上がるように感じたのを覚えています。目には涙が溢れ、何が起こっているのか理解できませんでしたが、人生に対する見方がすっかり変わりました」とダンは回想する。「その瞬間に、自分はヨガをやる運命なのだと悟りました」

ダンは、ヨガに対する情熱を通して多くの人々とつながりたいと思った。そして、自分と同じように苦しんでいる兵役経験者の助けになれるよう、インストラクターになった。

ヨガのインストラクターとして他の兵役経験者を助けようという気になった。「初めての教室に挑む前に、義足を外しました。みんなが戸惑ったり、気分を悪くしたりするんじゃないかと思ってパニックになりました。けれど、後から本当にたくさんの人がありがとうと言ってくれたり、勇気づけられたと伝えに来てくれました。その2カ月後、私は講師になったんです」と彼は言う。現在、彼はアメリカ中の人々にヨガを教え、兵役経験者向けのイベントを主催している。ニューヨークでは1400人が参加する教室も開いた。「兵役経験者や、男性がヨガに挑む時に障壁になるような、ステレオタイプを取り去りたいのです」
Instagram: @dannevins / Via instagram.com

ヨガのインストラクターとして他の兵役経験者を助けようという気になった。「初めての教室に挑む前に、義足を外しました。みんなが戸惑ったり、気分を悪くしたりするんじゃないかと思ってパニックになりました。けれど、後から本当にたくさんの人がありがとうと言ってくれたり、勇気づけられたと伝えに来てくれました。その2カ月後、私は講師になったんです」と彼は言う。

現在、彼はアメリカ中の人々にヨガを教え、兵役経験者向けのイベントを主催している。ニューヨークでは1400人が参加する教室も開いた。「兵役経験者や、男性がヨガに挑む時に障壁になるような、ステレオタイプを取り去りたいのです」

「どんな人でも個人的な戦いや、傷を背負っています。ヨガを通して、自分と向き合うことができるんです」

ダンはヨガの指導に加えて、マインドフルネスや瞑想、モチベーショナル・スピーキングというコーチングも取り入れている。教室をより広い意味でのメンタルヘルスを育む場にしようと心がけている。彼は「世の中には、私よりも、もっと素晴らしいヨガの先生がいるでしょう。でも、私には、みなさんが自分の中の見えない傷と向き合い、努力しない言い訳を捨て去れるよう、勇気を与えることができるのです」
Instagram: @dannevins / Via instagram.com

ダンはヨガの指導に加えて、マインドフルネスや瞑想、モチベーショナル・スピーキングというコーチングも取り入れている。教室をより広い意味でのメンタルヘルスを育む場にしようと心がけている。彼は「世の中には、私よりも、もっと素晴らしいヨガの先生がいるでしょう。でも、私には、みなさんが自分の中の見えない傷と向き合い、努力しない言い訳を捨て去れるよう、勇気を与えることができるのです」

「ヨガとは、一体感という意味です。トラウマや人種、宗教など、自分たちを定義するあらゆることを忘れさせてくれます。私たちは自由に呼吸し、共に生きることができるのです」

兵役経験者と直接関わったり、軍の基地や病院を訪問するのが、ダンの楽しみだ。しかし、兵役経験者には一般のヨガ教室に行くこと、普通の人々とつながることを薦めている。「兵役経験者は、自分たちは傷を負っていて、他の人とは違うのだと考えがちです。とても孤独を感じている人が多い。けれど、ヨガにはそんな状況を変える力があります。世界と自分のまわりの人たちとつながることが、ヨガの目的だからです」。彼はまた、兵役経験者が苦しんでいるときには、助けを求めることが重要だとも言う。「たった一人でもいい。兵役経験者をヨガに誘ってください。友人にヨガに誘われたことで、私の人生はすっかり変わりました。救われたのです」
Instagram: @dannevins / Via instagram.com

兵役経験者と直接関わったり、軍の基地や病院を訪問するのが、ダンの楽しみだ。しかし、兵役経験者には一般のヨガ教室に行くこと、普通の人々とつながることを薦めている。

「兵役経験者は、自分たちは傷を負っていて、他の人とは違うのだと考えがちです。とても孤独を感じている人が多い。けれど、ヨガにはそんな状況を変える力があります。世界と自分のまわりの人たちとつながることが、ヨガの目的だからです」。彼はまた、兵役経験者が苦しんでいるときには、助けを求めることが重要だとも言う。

「たった一人でもいい。兵役経験者をヨガに誘ってください。友人にヨガに誘われたことで、私の人生はすっかり変わりました。救われたのです」