8月末、マンロー・バーグドルフさんはロレアルUKのキャンペーンモデルに選ばれた。トランスジェンダーであることを公にしている女性として初めてのことで、歴史的な抜擢だった。
発表は大々的に報道され、多様性をテーマとしたロレアルのキャンペーンは称賛を受けた。
ところが8月31日、デイリー・メールが報道したバーグドルフさんのFacebook投稿が問題となった。バージニア州シャーロッツビルで8月に開催された暴力的な極右派集会の後に書かれたその投稿で、白人に対して「自分たちの人種が地球上で最も暴力的で圧制的な性質を持つ集団であることを認める」よう、バーグドルフさんが求めていたのだ。
その後、投稿は削除されたが、デイリー・メールは投稿された文章を保存していると主張した。
「あなたたちの大部分は、自分たちの存在や、特権、人種としての成功が、有色人種たちの背中や彼らが流した血、死という犠牲の上に築き上げられていることに気づいてもいないか、そう認めるのを拒絶しています。あなたたちの存在全体が人種差別にどっぷりと浸かっているのです。ちょっとした暴動からテロリズムまで、あなたたちがその青写真をつくったのです」
「人種差別を知らないと気づいたなら、私に会いに来てください。意識的にも無意識的にも、特権を通じて人種差別は受け継がれています」
「自分たちの人種は地球上で最も暴力的で圧制的な性質を持つ集団であると、白人が認め始めたなら、その時初めて私たちは話し合うことができます」
「その時までは、あなたたちの先祖と、耳をふさいで砂の中に埋まったままのあなたたちの頭のせいで、世界がめちゃくちゃにされ続けることに、ショックを受けたふりをしていてください」
ロレアルのモデルが「人種差別主義者」の見解を表したことに対し、SNS上の人々は怒りをあらわにした。
ハッシュタグ「#BoycottLOreal」を使い始め、バーグドルフさんを降板させるまでは、ロレアルの製品を使うのをやめると言う人もいた。
9月1日の朝、ロレアルUKはバーグドルフさんとのパートナーシップを解消すると、公式ツイッターで発表した。
しかしその後この発表は、バーグドルフさんは何も悪いことをしていないと考えるSNS上の人々の反感を買う結果となった。そして、この人たちも「#BoycottLOreal」のハッシュタグを使い始めた。
多様性の問題について公然と意見を述べたことを理由に、多様性のビューティーキャンペーンからモデルを除外するなんて、ロレアルは偽善的であると考えた人々も多かった。
ロレアルは、同社の公式YouTubeページから、バーグドルフさんのキャンペーンプロモーション動画を削除した。
バーグドルフさんはその後、自分のFacebookページに声明を公開した。投稿の中で彼女は、自分の声明が8月末に公開されたものだと主張されたこと、そして自分の言葉が文脈を離れて取り上げられたことについて、デイリー・メールを批難した。またロレアルに対し、美容業界に潜む人種差別問題を認識できていないと述べた。(注:現在は削除されている)
バーグドルフさんをキャンペーンから外すというロレアルの決定の後、彼女は再度Facebookに投稿し、このブランドは金銭以外のものは「何も」気にかけていないと述べ、人々にロレアルをボイコットするよう促した。
BuzzFeed Newsとの話の中でバーグドルフさんは、もしロレアルが本当にこのキャンペーンの多様性の要素を大切にしているなら、公然と意見を言った時でも自分を支持しただろうと述べた。
「巨大ブランドは進んで黒人女性から利益を得ていますが、黒人女性のために立ち上がることはありません」とバーグドルフさんは言う。
「白人は全員人種差別主義者だと言っているわけではありません。私が話をしているのは、社会的事実についてです。男性が女性蔑視になるように条件づけられているのと同様に、白人は人種差別主義者になるように社会的に条件づけられています。それは社会です。デイリー・メールがしたことは、私を憎悪に基づいた主張者のように見せるだけでなく、憎悪を私の方に向けました。私はロレアルにもっと多くのことを期待していました。しかし、ロレアルはブランドのことを気にかけていただけのようです。このことは、キャンペーンの正当性について多くを語っています」
バーグドルフさんはネット上では支持を得てきたものの、キャンペーンに関わった他のモデルたちは誰も連絡して来なかったと語った。
ロレアルは、バーグドルフさんを外す決断について連絡をしてきた時、次のような声明をBuzzFeed Newsに提供した。
「ロレアルは、人種、生い立ち、性別、宗教に関係なくすべての人々に対する寛容さと多様性を支持します。ロレアル・パリ・トゥルー・マッチ・キャンペーンはこうした価値観を表したもので、私たちはこのキャンペーンを代表する大使の多様性に誇りを持っています」
「マンロー・バーグドルフによる最近のコメントはこうした価値観と相反するものだと私たちは考え、そのためパートナーシップを終わらせる決断をしました。ロレアルは多様性を称賛すること、そして美における障壁を壊すことに取り組み続けます」
この記事は英語から翻訳・編集しました。