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「いつも女の子だった」 VOGUEの表紙を飾ったトランスジェンダーのモデル

「その人の性格や長所は、ジェンダーとは関係がありません」

ブラジル出身のファッションモデル、ヴァレンティナ・サンパイオ。彼女は1年ほどの間に、地元での活動を経て、昨年秋、サンパウロのファッションショーに出演し、ブラジル版ELLEの表紙も飾った。今年3月には、当時20歳の彼女は、フランス版VOGUEの表紙にトランスジェンダー(性別越境者)のモデルとして初めて登場した。

「たくさんのことが猛スピードで起こりました。だから、それぞれの出来事についてよく考える時間はまだ取れていません」。サンパイオは5月、リオデジャネイロで行われた撮影の合間にメイクされながらこう語った。「夢見ていたことが、想像以上のスケールで実現していきました。どう言語化したら良いのかわからないのが、正直なところです」

ブラジルでは、LGBTの人たちを狙ったヘイトクライムが増えている。ブラジルのトランスジェンダー女性の多くが直面している日常と、サンパイオの日常は異なっているだろう。そうだとしても、ファッション界の中心地でヴァレンティナが成し遂げていることの意義は、LGBTコミュニティにとって大きい。

「ヴァレンティナの活躍は画期的であり、新しい時代の到来を示しています」。こう話すのは米VOGUEのブラジル人記者、ホルヘ・グリムバーグだ。グリムバーグは、トランスジェンダーのセレブ、ケイトリン・ジェンナーがVanity Fairの表紙を飾り「革命」を起こしたことに触れた。

「ヴァレンティナが今『美しい一人の女性』として脚光を浴びていることに大きな意義があると思ってます。事実、彼女は美しい女性なのですから」

仏ヴォーグ編集長のエマニュエル・アルトは、サンパイオが表紙に登場したことについて、社説にこう綴っている。

「トランスジェンダーのモデルが表紙を飾っても、このような社説を書かずに済むようになったその時にようやく、私たちは勝利したと言えるだろう」

「トランスジェンダーをめぐる社会状況は、ここ何年かで劇的に変わってきました」と、サンパイオは語る。「私が表紙に登場したのは、その一歩だと思います。トランスジェンダーはVOGUEの表紙を飾れるのだと証明したのですから」

「ファッション業界は、多様性を推し進めていくためには良い場所です。ファッション世界の美の基準は常に進化しています。だから、他の場所よりも自由さがあると思います」

ブラジル北東部北東部セアラ州の町で生まれ育ったサンパイオ。周囲の人たちは彼女をいつも女の子として扱っていた。

「皆、自然な形で接してくれました。私はいつも女の子だったし、そうではないと感じたことはありません。だから、自分のありのままの感覚を人々に伝えることができました」

モデルになりたいと思っていたが、夢としては大きすぎるとも感じていたサンパイオ。撮影の機会があれば、いつでもモデルとしてカメラの前に立った。テレビドラマのスターたちを真似たりもした。

モデルとしての最初の仕事は2014年だったが、クビになってしまった。理由は、保守的なブランドにトランスジェンダーのモデルはふさわしくないというものだった。

「世の中は厳しいと感じました。モデルとしてその場にいるのは間違っているような気にさせられました。そんな状況から脱け出そうと思いました」

そしてサンパイオはリオデジャネイロへと発つ。サンパウロファッションウィークで上映される独立系の映画に出演するためだ。彼女のその後の活躍はこれまで記した通りだ。


サンパイオが切り開いた世界と、今のブラジルのLGBTコミュニティを取り巻く現状はかなり異なる。ブラジルには世界最大のLGBTコミュニティがあるが、ブラジル教育省は先月、「ジェンダー・アイデンティティ」「性的指向」という言葉をカリキュラムから取り除くことを発表した。

リオデジャネイロの最古のLGBT権利団体Rainbow Groupの副会長、マルセル・エステヴェスによると、多くのトランスジェンダーの人たちが家を追い出され、ホームレスになり、学校を卒業できない状況に追い込まれている。また、職場で差別された多くのトランスジェンダー女性はセックスワークをせざるを得なくなり、暴力被害に遭いやすくなっているという。

LGBT人権団体のTrans Networkによると、昨年1年の間にブラジルで殺害されたトランスジェンダーの数は144人。Trans Networkが調査を始めた2008年には57人だったので、大幅に増えていることになる。サンパイオの出身州では、トランス女性が暴力を振るわれて殺害される動画が、国中にショックを与えた。

「こういうニュースはなくならないといけません」とサンパイオ。「トランスジェンダーであることは自然なことです。ブラジルでは、ありのままの他人を受け入れる気持ちを育てる教育が必要です。ブラジルは多様で、国土が広いのです。様々な人がいるのです」

「トランスジェンダーの人々にはもっと多くのチャンスを得られるようになるべきです。その人の性格や長所はジェンダーとは関係がありません。トランスジェンダー女性には、最初から仕事の扉が閉ざされている場合があると感じます。そんな状態だと、少ない機会がさらに減ってしまいます。誰もが才能を秘めています。そのことを再確認しなければいけません」

この記事は英語から翻訳・編集されました。

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