身近な人の様子がおかしいな?と思ったらすべきこと17選

    いつなんどき、あなたの助けを必要とする人がいるかはわからない。

    世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年80万人近い人が自ら命を絶っている。そして彼らのほかにも、自殺を試みようとする人はたくさんいる。

    Netflix

    自殺は防ぐことが可能だ。ただし、自殺の阻止は複雑なプロセスであり、さまざまな要素や人が絡んでくる。

    医療関係者や個人、友人、家族、治療を行うセラピストなどが協力することになるが、何よりもまず、周囲が自殺の危険信号を察知して、それを真剣に受け止めなくてはならない。

    自殺の危険信号とはどんなものか、そうした状況に対応する際に、最も効果的で信頼ができる(そして命も救える)方法とは何なのか。

    みなさんにそうした点を理解してもらうために、BuzzFeed Healthは、自殺防止に取り組む非営利組織「Suicide Awareness Voices of Education(SAVE)」の事務局長ダニエル・ライデンバーグ心理学博士と、公認カウンセラーで、Counseling@Northwestern(ノースウェスタン大学オンライン・カウンセリング修士課程)教授のエリック・ビーソン博士に話を聞いた。

    では、自殺の前兆について把握しておくべき点を挙げていこう。

    1. はじめに、自殺する可能性のある人と向き合う際に知っておくべき情報を紹介しよう。

    Suicide Prevention Lifeline

    大事なことを先に言っておこう。自殺願望を持った人を助ける際に、あなたはきわめて重要な役割を果たすことができる。とはいえ、専門家ではないので、できることには限りがある。あなたが目指すべきは、相手が必要としている支援を提供することだ。

    ただし、どのような支援を、どのタイミングで、どう提供すべきかは、状況による。何はさておき、以下に重要な情報や連絡先を挙げよう。

    (編注・この記事は米国発ですが、以下の番号は日本国内向けのものをご紹介しています)

    こころの健康相談(統一ダイヤル)0570-064-556

    いのちの電話 0120-783-556

    緊急性が低く、通っているセラピストやカウンセラーがいない場合には、まずはかかりつけの医師に相談するのがいちばんだ。病院に電話をしたら、次のように切り出そう。

    「私は患者の(名前)です/私は患者(名前)の友人です。現在、(今の状態を説明する)です。どうしたらいいでしょうか」と。状況に応じて、診療予約をしたり、ほかの連絡先を教えてもらって相談したりすることになるだろう。

    2. 介入とは、今にも自殺しそうな人を止める行為だけではない。相手の心に寄り添ったり、心の状態が悪化しないよう努めたりする場合もある。

    Charlotte Gomez / BuzzFeed / Via buzzfeed.com

    ビーソンによれば、自殺のリスクには波がある。

    「自殺のリスクは、さまざまな人生体験を経るうちに積み重なっていくもので、特定の心の病にかかりやすい生物学的傾向や、環境的要因ならびに心理学的要因と結びついています」とビーソンは話す。

    「たった一度の出来事が『人を追い込む』わけではありません。リスクは、ずっと続いている連続体です。私たちはみな、その連続体の上のどこかに位置していて、なかには自死までの距離が短い人がいます」

    つまり、あなたが誰かの自殺の危険信号を察知したとしても、その人が必ずしも連続体の果てにいるとは限らない。そして助けの手は、自殺のリスクが差し迫っているように思えないと、差し伸べてはいけないというわけではない。

    3. 自殺の前兆がいくつ表れているのかに注目すること。ほとんどの人は、どこかの時点で、危険信号を少なからず発しているものだ。

    American Foundation For Suicide Prevention / Via afsp.org

    自殺の前兆リストは重要だし必要なものだが、その内容には困惑しまう。それらの前兆は、自殺を考えている人に限らず、誰にでも当てはまるからだ。

    「自殺の危険信号としては、飲酒量が増える、自暴自棄になる、ひきこもる、孤立する、などが挙げられます」とビーソンは言う。

    しかし、そうした「危険信号が見られるか見られないか」ではなく、「前兆がいくつ見られるか」「1日/1カ月/1年のうちに、前兆がいくつ表れるか」を考えるよう、ビーソンは勧めている。

    4. 未来への絶望感は、特に注意すべき重要な危険サイン。若者はとりわけ注意が必要だ。

    Sian Butcher / BuzzFeed / Via buzzfeed.com

    決定的な自殺リスクを示す絶対確実な危険サインや、手を差し伸べるべき正確なタイミングと言えるものは存在しない。しかし、ほかの危険サインに絶望感が伴っていたらそれは、自殺志向が実際の願望や計画へと変化しかねないときだとビーソンは話す。

    つまり、「状況が好転することは絶対にない」とか「今の苦しみは将来も続く」と思い込んでいる時のことだ。

    この場合も、絶望感が表われるまで、助けの手を差し伸べたり、支援を求めたりするのを待ってはいけない。絶望感は、注意すべき重要な危険信号だ。

    5. 一般的には、自分の勘を信じよう。「何かある」と思ったときに助けの手を差し伸べても、悪いことは絶対にない。

    Malpaso Productions / Via giphy.com

    「何かおかしいと感じたのなら、おそらくそれは間違っていません」とライデンバーグは言う。

    「そんなときは、手を差し伸べるか、ほかの人の手を借りるかする必要があります」

    6. 相手が助けを必要としているかもしれないと思ったら、自分が手を差し伸べるのに最適な人間かどうか考えよう。もしかしたら、適任ではない可能性がある。

    Jenny Chang / BuzzFeed / Via buzzfeed.com

    自分が適切かどうかを十分に考えてから行動を起こしたほうがいいと、ライデンバーグは言う。

    相手に対して個人的、宗教的、道徳的な偏見を持っているとか、心構えができておらず話に応じられないと思った場合は、遠慮してもいいかもしれない。そうしたことが妨げになって、思いやりをもって対応することができず、批判的になったり、怖がらせたりすることがあるからだ。あなたが関わることで、助けになるどころかむしろ有害になりかねない。

    自分は適任ではないと思った場合は、適切な人を見つけることがあなたの役目となる。相手の親しい友人や家族、メンターなどに、自分が感じている懸念を伝えよう。そうすれば、彼らが手を差し伸べるだろう。

    7. 自ら対話しようと決めたら、相手に助けが必要だとわかった場合に備えて、その先の計画を事前に立てておくべきだ。

    etsy.com

    相手が自殺を考えているかもしれないと心配しているのだから、それが事実だった場合に備えて準備をしておかなくてはならない。

    本当に自殺を考えているのであれば、何よりも優先すべきは、その人のために助けを得ることだ。相手をひとりで放っておいてはならないと、ライデンバーグは話す。

    話をするときは、自分のスケジュールを空けておこう。また、必要な場合に備えて情報や連絡先を用意しておくなど、どう対応すべきかを知っておくべきだ。

    8. 曖昧な言い方をしたり、探りを入れたくなったりするかもしれないが、最終的には、自殺願望があるかどうかを単刀直入に尋ねるべきだ。

    FOX / Via giphy.com

    ライデンバーグによれば、自殺したいのかを尋ねることで、相手にその考えを吹き込むことになってしまうのではないかと不安がる人が多いという。しかし、それは違う。自殺についての会話が自殺に結びつくことはないという研究結果が多く出ている。むしろ、単刀直入に聞いたほうがいい。

    例えば会話の糸口として、「ねえ、あまり調子が良くなさそうだね。自分を傷つけるようなことを考えたりしていない?」などと切り出してもいい。しかし、そこで終わってはいけない。

    「それに続けて、単刀直入に、『自殺を考えていない? それか、考えたことはない?』と尋ねてみるのがいいかもしれません」とビーソンは話す。

    9. 「自殺を考えている」という答えが返ってきたら、リスクがどの程度差し迫っているのかを判断するために、いくつか質問をすること。

    Al Boardman / alboardman.tumblr.com / Via giphy.com

    質問する内容は、人と状況に合わせるべきだ。しかし、リスクを判断するにあたって、まずは「自殺の計画を立てているのか」、「手段や時期は決まっているか」、「本気なのか(計画を実行に移すつもりなのか、あるいは、その時点ではまだ願望にすぎないのか)」を探ってみること。

    これらの質問に対して具体的な答えが返ってくればくるほど、リスクは高くなる。そこから、求めるべきリソースが見えてくる。

    「こうした質問はきわめて口にしにくいのですが、重要な判断材料になります」とビーソンは述べる。

    「自分はどのくらい真剣に受け止めなくてはならないのか」、「すぐに病院に連れて行くべきか。あるいは、徹底的に話し合うのが先か」がわかるのだ。

    今にも自殺しかねないのであれば、上記の相談窓口や110番に電話すること。また、銃や薬、刃物など、自殺に使えるものを入手できないようにするなど、必要最低限の対策を講じよう。そして、相手をひとりにしてはいけないのは言うまでもない。

    10. 平静を保ち、相手に質問することに集中して会話を続け、傾聴すること。慌てたり、すぐに助けを呼ぼうと言い張ったりすると、逆効果になりかねない。

    Amelia Giller / Via giphy.com

    できるだけ、落ち着いた表情と話し方を維持するのが望ましい。相手の世界はすでに混乱している。そんなときにあなたが不安や恐怖を見せてしまったら、火に油を注ぐようなものだ。どんな話題でもいいので会話を続けよう。

    相手が自らの苦しみを吐露したいのであれば、それはそれでかまわない。しかしそのほかにも、相手の将来や目標、過去、友人、これまでに成し遂げたことや実績、誇りに思えることなども話題にしてみるといい。そうしたことはどれも、今にも自殺をしかねない心境にあるときはなかなか思い出せないと、ライデンバーグは述べる。

    「あなたがパニックになれば、相手の頭のなかをすでに駆け巡っているであろう考えを裏づけることになってしまいます。つまり、自分には何か問題がある、自分が悪いのだ、自分は罰を受けねばならない、といった考えです」とビーソンは語る。

    「とにかく落ち着いてください。そうすれば、相手をそもそも自殺願望に追い込んでしまった心の中の会話が固定化することはありません」

    11. 間違ったことを口にしてしまうのではないかと心配しすぎないこと。しかし、一般的な目安として、言うべきでないことがある。

    Maritsa Patrinos / BuzzFeed / Via buzzfeed.com

    一方的に決めつけてはいけない。また、相手に罪悪感を抱かせてはいけない

    例えば、「バカなことをしようと考えていないよね?」や、「そんなことをして、家族を悲しませたくないでしょう?」などと言うと、苦しみや罪悪感が増してしまうことがある。

    「気持ちがわかる」と言ってはいけない

    わかってなどいないからだ。相手の苦しみや感情を認めよう。自分の話にすり替えないこと。それよりも、次のように声をかけて共感を示そう。「今は信じられないほどの苦しみを抱えているようだね。私がこれまで経験したこととは全然違うみたい」

    口先だけの決まり文句を言ってはいけない。人ごとのように楽観的な態度をとってもいけない

    「心配しないで。これからラクになるよ」という曖昧なアドバイスや、「気持ちを切り替えたらいいよ」とか、「そのうち立ち直れるよ」という励ましは、相手が味わっている苦しみを否定し、軽んじることになる。

    それよりも、回復が可能であることが伝わる具体例を中心に話をしよう(これについては後述したい)。たとえその時点では、回復など想像できないとしてもだ。

    12. できる限り手を尽くして希望を与える。

    BuzzFeed Video / Via buzzfeed.com

    「心配しないで。二度とそんな気持にはさせないから」といった安請け合い、守れない約束は、しないほうがいい。とはいえ、その人の命がとても大切であることと、物事はいつか良い方向に向かっていくことを、強く実感してもらうことが必要だ。

    「自殺願望を抱いている人は、希望を持つことができないかもしれません。しかし、彼らは希望を求めています。自分自身の力で見つけられないだけなのです」とライデンバーグは言う。

    「従って、あなたが相手を希望へと導く役目を担わなくてはなりません。希望は本物であり、回復は可能であること。治療には効果があり、ほかにも治療や助けを得る手段はたくさんあるということを、声や態度、雰囲気で伝えてください」

    13. 自殺リスクが差し迫っていないとしても、相談窓口に連絡したり、セラピストや医師に相談したりするよう促すこと。あるいは、その場であなたが連絡してもいいか尋ねてみよう。

    youtube.com / Via fee-he-he-heenay.tumblr.com

    そうした状況に対応する方法を知っている専門家と連絡を取れば、あなたと相手が今後の対策を講じるのに役立つ。

    14. 専門家に相談するほど深刻ではない、と相手が言い張っても、まだ心配であれば、互いに連絡を取り合うことを約束しよう。そして、その約束は必ず守ること。

    Crisis Text Line

    「その場合のあなたの役割は、相手に対して、『状態が悪化し始めたら、私やほかの人に、電話やメッセージで連絡を入れたり、助けを求めたりすると約束をしてほしい』と言うことです」とライデンバーグは述べる。

    そして、相手の気分が再び落ち込んだことを示唆する具体的な兆候とはどういうものかを、じっくり考えよう。というのも、いったん「落ち込んでしまったら」それを口に出して言うのが困難な場合があるからだ。

    次に、連絡を取り合う予定を決めよう。「あなたが少なくとも連絡を取るつもりであることを、とにかく相手に知らせておきましょう。そして、実際に連絡することが何よりも重要です」とライデンバーグは話す。

    「ある程度の自殺リスクがある人に、連絡すると約束しておきながら守らなかったら、一大事です。相手は、あなたからの連絡を頼りにしている可能性があるのですから」

    連絡を取り合う約束はできないと言われても、そこで諦めてはいけない。専門家への相談を後回しにせずにすぐにしよう、と提案する段階に、もう一度戻ろう。

    15. 現在の苦境を乗り切るために拠り所にしているものは何なのか、忘れずに確認しておくこと。あとで参考にできるかもしれない。

    BuzzFeed Video / Via buzzfeed.com

    「あまり調子はよくないが、何とか対処できているから、専門家の助けは必要ないと思う」と言われたら、対処できている理由は何なのか、具体的に聞いてみよう。

    何のおかげで乗り切ることができているのか。誰かのおかげか。趣味か。ペットか。特定の本や番組などが支えになっているのか。

    そうしたことを把握しておけば、相手が再び自殺願望を抱いたときに、思い出させるべき心の支えが何なのかがわかると、ライデンバーグは言う。

    16. 相手ととても親しい関係にあるなら、回復プロセスを前進させるうえで自分がどのような役割を果たせるか、じっくり検討してみよう。

    HBO / Via buzzfeed.com

    ビーソンによれば、周囲の人間が、自殺願望を持つ人の人生における自らの役割を疑問視し、罪を感じたり、さまざまな矛盾した思いを抱いたりして苦しむのはいたって普通のことだという。

    もちろん、大切な人が自殺を考えているからといって、あなたに責任はない。しかし、自分はどんな危険信号を見逃していたのか、相手を支えるためにもっとやれることがあったのではないか、と悩むのは自然なことだ。

    「そうした悩みや思いに対処しようとする家族が、目の前の状況から自分自身を切り離して、『問題を抱えているのだから専門家に連れて行かなくては。そうすれば何とかしてもらえる』と考えることがときどきあります」とビーソンは話す。

    「そうやって、手は尽くしたのだから、もう自分の責任ではないと安心するのです」

    とはいえ、引き続き関与し続けたほうが、より効果的だ。「場合によっては、『もしかしたら、家族である自分が努力しなければならないのかもしれない』と考えることが必要です」とビーソンは語る。

    「『自分も、治療が必要なのかもしれない。あるいは、家族やパートナーとしてカウンセリングを受けることを考えるべきなのかもしれない』というようにです。そして、いざ専門家の助けを借りる段階になったら、本人に対して、『私は悪くない。あなたも悪くない。けれども、私たちは一心同体なのだから、私も、自分がやるべきことをやろうと思っている』という態度を示すことが重要です」

    17. 最後に、人と人との結びつきと、周囲の人間に与える影響に関心を持つことが大いに役立つ点を忘れないでほしい。

    The Quiet Place Project

    「周囲の人に、どうやって接するかが大切なのです」とビーソンは述べる。

    「自殺を防ぐというより、命を守り、人と素晴らしいつながりを築き上げていくことが何よりも肝心です。どんなことであれ、社会的なつながりがいちばんの予防策であることは、研究で十分な裏づけが得られています」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:遠藤康子/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan

    Anna Borges is a senior staff writer for BuzzFeed.

    Contact Anna Borges at anna.borges@buzzfeed.com.

    Got a confidential tip? Submit it here