「処女を失う」ってどういうこと? SNSで性教育にはげむ医者の投稿が話題に
「『処女を失う』ことの科学的な定義はない。そこがポイント。『処女性』なんて社会的に構成された概念で、そう思うと有用な単語ではないよね?」
アメリカ在住の産婦人科医、ジェニファー・リンカーンさんは、TikTokで180万人ものフォロワーを抱えています。
全米50州のうち、医学的に正確とされる性教育を義務付けているのは17州のみ。ジェニファーさんは、性にまつわる正しい情報を伝え、性教育ギャップを埋めるべくSNSで発信しています。
ジェニファーさんは2月、「『処女を失う』ことの定義って何?」と問いかける動画をTikTokに投稿。動画は広く拡散され、2000件近くのコメントが集まりました。
「本人が決めた時、(自らの意思で)選んだ時がそう」

「初めて100%同意した時」

「自分が思う『初めての性的な体験』ならなんでも。でも、何も『失う』ものなんてない!」

「私は何も失ってはいない。(『失う』という表現だと)まるで、私が処女性を『無くして』しまって、探しているみたい。そんなことはないのだけれど」

ジェニファーさんの答えは、「『処女を失う』ことに直結するひとつの正解はない」。動画で次のように説明しています。
「『処女を失う』とはもしかしたら、膣を経由して性行為を(初めて)行うということかもしれない」
「もしかしたら、アナルセックスかもしれない」
「でも、女性どうしの場合は? 2人はずっと処女のままだと思う? たぶん、本人たちはそうは思わないだろうけどね」
「『処女を失う』ことの科学的な定義はない。そこがポイント。『処女性』なんて社会的に構成された概念で、そう思うと有用な単語ではないよね?」
BuzzFeedはジェニファーさんに話を聞きました。
「『この行為をしても、自分はまだ処女だと言えますか?』と、怯えた若者からよく質問を受けます」とジェニファーさんは明かします。
ジェニファーさんは、その質問の背景には「社会が処女性にこだわっていて、『処女=純潔』という考えがあるから」だと考えているそうです。
「つまり、処女じゃないと汚れているということになりますよね」
「男性器の先端が入るだけなら? 一瞬入るだけなら? オーラルだけなら? 何をしたら処女じゃなくなる? 質問はこういったものです」
「私の答えはいつも一緒。処女の定義なんてないし、あなたは純潔文化にこだわる社会なんかよりもよっぽど価値のある存在だ、と伝えます」
ジェニファーさんは、伝統にとらわれた「処女」や「純潔」の考えをやめるべきだと話します。
「『婚前交渉はだめ』だと若い人たちに言い聞かせるエネルギーのほんの一部でも、性的同意についてや、医学的に正確で、かつ包括的な体の仕組みについての教育に費やせないでしょうか?」
「もしそれができたら、どれだけの影響をもたらして、力になるか考えてみてほしいです」
「もちろん、性行為をしない選択をするのも、自分自身で『処女』の定義を持つのもいいと思います。ただ、あなたの処女性もあなたの価値も、社会には定義させないでと伝えたいです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子