ジェンダー表現の一種「アンドロジナス(androgynous)」
「アンドロジナス」は、ジェンダー表現の一種。両方の性を合わせ持っていたり、どちらでもなかったりと、男性らしさ・女性らしさに当てはまらない特徴を指します。
アメリカ在住、25歳のパコ・ゾランスキさんも、その一人です。
動画には、ラウンジのマネージャーが、ゾランスキさんの入店を拒否する様子が映っています。
動画では、マネージャーが次のように話します。
「『店側には、客へのサービスの提供を拒否する権利がある』と聞いたことがあるでしょう」
「ですが私たちは、(ゾランスキさんへの)サービスを拒否しているわけでありません」
「私たちが求めているのは、彼のジェンダーに即した(男らしい)格好をしてほしいということです」
「男らしさに適した格好ならば、快く入店を許可します」
ゾランスキさんの友人は、一斉に抗議し始めます。「許されない発言だ」という声も聞こえます。
この時のゾランスキさんの服装がこちら。ドラマ『ストレンジャー・シングス』のTシャツに、赤いスカート、黒いパーカーを着ています。
BuzzFeedはゾランスキさんに当時の状況を聞きました。
ゾランスキさんは、当時の詳しい状況を話します。
「『なんで入れてくれないの?』と聞くと、警備員は『身分証と似ていないから』と言いました」
「意味不明でした。つい最近撮影した写真なのに、似ていないと言うんです」
「私の髪や化粧がダメなのかどうかと尋ねると、『スカートを履いたままだと入れられない』と言いました」
ゾランスキさんは、後日新たに撮影した動画で、ラウンジの服装規定について語りました。
入店を拒否されたとき、ゾランスキさんは、ドレスコードに関する規定を探したといいます。
しかし、周囲には「服装規定違反」とされるサンダルとパーカーを身につけた男性や、「ジェンダーにそぐわない」と言われる可能性のあるパンツスーツを着た女性がいたといいます。
そのためゾランスキさんは、警備員やマネージャーの言い分にますます疑問を抱いたそうです。
動画には、ゾランスキさんに対する同情のコメントが多数寄せられました。


動画での対応が問題視され、ゾランスキさんの入店を拒否したラウンジは、Facebookに謝罪文を投稿しました。
弊社を代表し、2022年1月14日(金)に発生した入店トラブルの被害にあった女性(訳註:ゾランスキさんはアンドロジナスと自認していますが、謝罪文は "women" とあったためこのように訳しています)に対し、公式に謝罪致します。
多様な人材で構成されている弊社は、すべてのお客様に対し、常に公平にサービスを提供することを目的としています。
私たちは、これまで30年以上にわたり、アトランタ都市圏でトップレベルのエンターテインメントを提供してきました。
オープンな雇用政策、多様なエンターテインメント活動、金銭的に恵まれないコミュニティに向けた慈善活動を行うことでも知られています。
LGBTQIAコミュニティのスタッフも、数名在籍しております。
しかしながら、2022年1月14日に起きたトラブルは、私たちの経営方針にはふさわしくない対応でした。
私たちの規約では、入館時、州発行の身分証明書での本人確認を定めています。
今後、このような事態を二度と起こさないよう、以下のように対応致します。
1)当該従業員は、すでに懲戒処分としました。
2)今後、感受性訓練(他者理解を目的とした講習)を実施します。
3)今後、全従業員に対し、お客様をオープン、かつ心地よい環境でお迎えするためにすべきこと、また弊社の経営方針を指導してまいります。
私たちのゴールは、アトランタ都市圏の人々にエンターテインメント、最高の食事を届け、人々の交流の機会を設けることです。
そして使命は、オープンで、心地よい環境を用意することです。
すべての人が自分らしく生きる権利を持っており、尊重されるべきだと弊社は考えております。
このような事態を招いてしまったことを、改めて心からお詫び申し上げます。
ゾランスキさんによると、店はゾランスキさんと一緒にいた友人たちに、200ドル(およそ2万円)を返金しました。
しかし、前払いの飲食代金や水タバコの料金は含まれていなかったそうです。
ゾランスキさんは、ラウンジに連絡を取りましたが、経営側からの返答はなく、Facebookの公開投稿のほかに、個人的な謝罪や働きかけもなかったといいます。
ゾランスキさんは、怒りとショックでいっぱいだったと話します。
ゾランスキさんは自身の過去を振り返ります。
「成長するにつれ、ありのままの自分として振る舞えなくなりました」
「『男らしく振る舞いなさい』といつも言われて、ヒールや化粧、ネイルもできなくなりました」
「カミングアウトをしても、メイクやヒールを拒んでいました。『私はゲイ、でも男ではあるから』と」
「初めてスカートを買った時、TikTokの動画を撮りました。楽しみと自由を表現するために」
「自分が楽しいと思うことを素直に表現する必要がありました」
最後に、自身のファッションについて、意見を述べました。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙島海人