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コロナがLGBTQの若者たちを追い詰めた。居場所なく、物置で生活した人も

家にいる時間が長くなり、家族との関係にストレスを感じている人もいます。

「実家に戻ったが、カミングアウトしていない家族との関係がストレス」「仕事がなくなり、ネットカフェで生活している」

新型コロナウイルスの感染拡大によって、性的マイノリティが抱える不安や困難はより大きくなっているのではないかーー。普段からも表面化しにくいLGBTQの若者たちの声を集めた緊急調査が発表されました。

これは、セクシュアルマイノリティに関する情報発信をする任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアムが実施した緊急アンケート調査『LGBTQ Youth TODAY』。5月11日から6月14日にインターネットで実施し、セクシュアルマイノリティの若者1654人が回答しました。

回答した人の年齢は12〜34歳で、内訳は10代が22%、20代が59%、30代が18%、無回答1%。10代では中学生・高校生が約半数でした。

「家族に隠さないといけない」

コロナ拡大前後で、セクシュアリティについて安心して話せる相手や場所などとのつながりに変化があったかどうかを聞いたところ、36.4%が「つながれなくなった・つながりにくくなった」と答えました。

自由回答では、このような声が寄せられています。

一人暮らしをしていたが実家に戻ったため、カミングアウトしていない家族と同居しており、パートナーや友人と電話もできず居場所がない(20代前半・バイセクシュアル女性)

LGBTフレンドリーなバーやオフ会などのイベントが自粛されて、同じ境遇の人に出会うのが難しく、孤独を感じる(20代後半・Xジェンダー(FtX))

また、回答した人の73.1%が、家族など同居する人との生活で困っていることがあると答えました。

同居者からLGBTQでないことを前提とした言動がある(41.6%)、同居者にLGBTQであることを隠さないといけない(36.3%)、同居者がLGBTQに否定的な言動をする(27.9%)などが多く、同居している人のLGBTQへの無理解によって、困難を抱えていることがわかりました。

単身赴任をしていた父が家に戻ってきたが、私がトランスジェンダーであることに否定的であるため、娘として扱われ、娘らしい振る舞いを求められるようになって辛い(10代後半・トランスジェンダー男性(FtM))

一人暮らしをしていたが実家に戻った。カミングアウトしていないので、親に服装について口を出されたり、将来像についてあれこれ言われる(20代前半・Xジェンダー(FtX))

中には、家にいるのがしんどくて自傷行為を止められないという10代や、逃げたくても図書館やカフェが開いていないため、家の物置で過ごしているという20代の声もありました。

普段から孤独感を抱えている若者が、外出が制限されたことでより孤独を感じたり、理解のない同居人との関係に強いストレスを感じたりしていることがわかりました。

「これからも学校に行きたくない」

回答した学生のうち約35%が、普段から学校が安心できる場所ではないと答えていました。現在の学校の状況について聞いたところ、「これからも学校に行きたくない」と答えた学生が17.4%いました。

学校にセクシュアル・マイノリティに対する配慮についての相談をしたいが、コロナ禍で相談できず、不安だらけ。(10代後半・Xジェンダー(FtX))

このまま、学校に行きたくないので、オンラインが続いて欲しい。しかし無理そうなので、精神的な面で心配。死にたいとも思う。(20代前半・アセクシュアル女性)

「仕事や収入が減ってしまった」

回答した人の1.4%が「失業した」、23.6%が「休職 / 休業となった」と答えました。収入についても、38.5%が「減少する見込み」と答えており、コロナによって経済的な影響を受けた人が多くいることがわかりました。

バイト解雇により無収入になった。学費も家賃も保障はない(20代前半・トランスジェンダー女性(MtF))

仕事がなくなり、職場の寮を退寮させられて住む場所がなく、ネットカフェで生活している(30代前半・Xジェンダー(MtX))

営業再開したとしても、LGBTQの自分がアルバイトで雇ってもらえる確率が以前と比べ低くなるのではと心配(10代後半・Xジェンダー(FtX))

「プライドハウス東京」コンソーシアムは、このように考察しています。

「LGBTQユースは普段から非正規雇用率が高く、就職・転職活動時にハラスメントなどから困難を抱えやすいため、中長期化するコロナ禍では特に、当事者も安心して利用できる就労支援が求められています」

「また、日本の現行制度では同性パートナーが世帯として把握されず、世帯での収入減が可視化されないことから、社会保障が届かない可能性があります」

「プライバシーが守られなかったら」

病院で同性パートナーが家族として扱われるか、入院するときに自認する性で扱われるか、望まない形でセクシュアリティが知られてしまわないかなど、ふだんから医療アクセスに不安を感じている人たちにとっては、コロナに感染することの不安が強くあることもわかりました。

私がコロナに感染した場合、濃厚接触者としてパートナーも感染する可能性が高いですが、入院する際に、日本の法律では「ふうふ」になれないため、家族として認められない不安が強い(20代後半・レズビアン)

濃厚接触者などの感染経路を調べる際に、ある程度のプライバシーは守られるようにしてほしい。セクシュアルマイノリティなどのアウティングにつながることが不安(30代前半・ゲイ)

入院する場合、自認する性別ではない病棟に入らねばならない不安がある(20代後半・Xジェンダー(FtX))

職場では、戸籍上の性別を公開せずに働いているため、自分が感染してしまった場合に、ニュースなどで性別が公表される可能性を考えると不安(20代後半・トランスジェンダー男性(FtM))

また、性ホルモン投与や性別違和に関する理由で定期的に通院しているトランスジェンダーの若者の72.1%が、コロナ禍での通院に不安を抱えていることがわかりました。

ホルモン投与を受けている病院が、県をまたぐため、コロナ禍に通院を躊躇し、体調を崩してしまった。近場で治療を受けられる体制がほしい(30代前半・トランスジェンダー男性(FtM))

「プライドハウス東京」コンソーシアムは、この結果を受け、性的マイノリティの若者たちへの支援の重要性を訴えています。特に、暴力やDVなどが増えることも想定されるとして、専門家との連携や、LGBTQも安心して入居できるシェルターの拡大など、セーフティネットを広げていく必要があるとしています。

「コロナ禍はLGBTQユースの困難が高まっているにも関わらず、セクシュアリティについて安心して話せる人・場とのつながりが絶たれ、さらに不安が高まっています。オフライン・オンラインを問わず、LGBTQユースの居場所づくり、相談窓口へのアクセス確保は喫緊の課題です」

【相談窓口はこちら】

・よりそいホットライン(24 時間無料電話相談)/ 0120-279-338(4番:セクシュアルマイノリティ専門回線)

・セクシュアル・マイノリティ電話法律相談 / 03-3581-5515(毎月第2木曜日・第4木曜日の17:00〜19:00 。祝祭日の場合は翌金曜日)

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世界各地でLGBTQコミュニティの文化を讃え、権利向上に向けて支援するイベントなどが開催される毎年6月の「プライド月間」。BuzzFeed Japanは2020年6月19日から、セクシュアルマイノリティに焦点をあてたコンテンツを集中的に発信する特集「レインボー・ウィーク」を実施します。

特集期間中は、ハッシュタグ「#虹色のしあわせ🌈」を活用し、さまざまな記事や動画コンテンツを配信します。

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