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「専業主婦の世帯は優遇されている」は本当か? 高校生が本気で考えた男女平等の作戦

男女平等の指数が149カ国中110位の日本で、どうすれば男女格差をなくせるのか。高校生が大人たちに提言しました。

日本の制度は、専業主婦のいる世帯と共働きの世帯、どちらに有利になるように設計されていると思いますか?

高校生ら約300人に質問したところ、1人を除く全員が「専業主婦の世帯だと思う」と答えた。

東京都渋谷区の国連大学で10月6日にあった、ジェンダー平等を考えるシンポジウム「HeForShe すべての人が輝く社会を目指して〜Generation Z からの提言〜」での一場面。

UN Womenと資生堂が主催し、今年で3回目。2017年から延べ1400人の高校生・大学生がジェンダー平等について勉強しているプロジェクトだけあって、配偶者控除や年金の第3号被保険者、男性の育児休業取得率などの前提知識があり、そのように答えたとみられる。

問いかけたのは、『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』の共著があるエコノミストの是枝俊悟さん。冒頭の質問についての、是枝さんの解説は後述する。

男女平等は全員の課題

「HeForShe」とは、ジェンダー平等を推進するための連帯運動。女性たちが直面している不平等や差別をなくすために男性も含めたすべての人が関わること、ジェンダー平等が達成されれば、すべての人々の利益になる、としている。2014年9月に、親善大使のエマ・ワトソンがキャンペーンの立ち上げを発表した。

シンポジウムでは、ダニエル・シーモアUN Women戦略パートナーシップ局長が、「男女平等の実現は、女性の課題ではなく、全員の課題です」とあいさつ。

「女性に対して軽蔑的なジョークを聞いたら『おもしろくないよ』と言ってください。電車でハラスメントを見たら止めてください。『あなたはどんなものにでもなれるよ』と言ってください。若い人を引き上げてください」

生理用ナプキンを竹でつくったら...?

また、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向け、ジェンダー課題を解決するためのワークショップを実施してきた全国33校のうち、代表に選ばれた8校が提言やアクションプランを発表した。

幼い頃の遊びが職業選択につながっているのではという仮説を立てた群馬県立館林女子高校は、子どもに与えるおもちゃを性別で選んでいるかと保護者にアンケートで聞き、ジェンダーレスおもちゃの制作を企業に働きかけた事例を発表した。

アフリカの女の子の就学率や経済的地位の低さを問題視した名城大学附属高校は、生理によって就学の機会が減らないよう、布ナプキンを配布するなどのプロジェクトを発表した。

また、光ヶ丘女子高校は、持続可能な素材として竹由来の自然素材でつくったナプキンを流通させる「バンブー・イノベーション」というアイデアを発表した。

筆者は講評者として参加した。

エリート男性と結婚するよりも

パネルディスカッション「Gender Equalityはなぜ日本社会に必要なのか」で、エコノミストの是枝さんが冒頭の質問を会場に呼びかけた。

是枝さんは、長男の誕生時に約2カ月、長女の誕生時に約1カ月の育休を取得したという。

「共働きで、僕は42%くらい家事育児をやっています。42%で威張るなということかもしれませんが」

そう前置きしたうえで、会場の多くの「専業主婦世帯のほうがお得では」という反応に対し、共働きのほうが世帯年収が高くなることを解説した。

<世帯の生涯年収の試算>(是枝俊悟さん作成)


大卒男性 1000人以上の大企業の正社員  2億6980万円


高卒男性 10〜99人の中小企業の正社員
高卒女性 10〜99人の中小企業の正社員 計3億1170万円


「エリート男性と結婚すれば人生勝ち組かというと、いまはそれが世帯収入を最大化するわけではありません」

「税制についても、夫が一人で年収1000万円を稼ぐと、高所得者とみなされて、所得税率が高くなります。同じ1000万円でも、夫婦で500万円ずつだと平均的だからとそこまでの税率になりません」

「出産手当金や育児休業給付金は、妻が働き続けていれば受け取ることができるものです。日本の制度には、共働きが有利になるように設計されているものもたくさんあるのです」

とはいえ、男性の育児休業取得率は、2018年度は6.16%。女性が出産後も働き続けるためには、男性の働きかたの改革が必要だ。

「有形無形の差別がありながらも、なんとか食らいついて働き続けてきたのが女性の歴史です。育休を取った男性が左遷されたというニュースもありますが、豊かな家族を築いていくためには、家事育児にコミットし、ハレーションがありながらも戦っていくことが大きな要素となっています」

男女平等は世界共通のゴール

京都産業大学現代社会学部教授の伊藤公雄さんは、一人当たりGDPとジェンダー平等に相関関係があることを示し、このように述べた。

「経済成長のためにもジェンダー平等は必要。2つのG(Gender&Generation)が対話や議論をしていくことが、理想と現実を近づけていくはずです」

NPO法人 Gender Action Platform理事の大崎麻子さんは、高校生たちにこんなメッセージを伝えた。

「男女間の平等は国連憲章に明記された普遍的な価値観で、世界共通のゴールとして進めていこうというものです。今までのやり方ではもう続きません。どうやって変えていくのか、グローバルな視点と、一人一人の足元の視点の両方から勉強していってほしい」

世界経済フォーラムの報告書によると、各国における男女格差を示すジェンダー・ギャップ指数で、日本は2018年、149カ国中110位となっている。

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