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生き残りかけて「会議やめます」 働き方改革どう進める? 社長たちの覚悟

カルビー、資生堂、サントリー・・・「お客様は神様」を乗り越える

働き方について考えるシンポジウム「CHANGE Working Style」(朝日新聞社主催)で12月12日、大手企業6社のトップが、働き方改革を進めるための「覚悟」を語った。

Akiko Kobayashi / BuzzFeed

「会社なんて来るな」

カルビー:松本晃会長

東京駅にほど近いカルビー本社。23階の窓から見下ろすと、たくさんのオフィスビルが見える。

「ダイバーシティーが嫌いな会社は、ここにたくさんある。うちの会社は当分ダイバーシティーを進めますから、嫌ならそちらに行ったらどうですか」

社員に嫌われても、改革を進める。それは成果を上げ、会社を成長させるため。松本会長の持論だ。

「今までは、勝たなければ負けていた。今は、勝たなければ死にます。会社は、変革しなければならない」

仕事の成果はどこででも上げられるとし、出社しなくてもいい働き方を提唱する。「会社なんて来るな、何もいいことがないよ」と言うと、案の定、男性シニア管理職がクレームをつけてきた。「在宅勤務を認めると社員がサボりますよ」という彼に、こう返した。「あなたは会社に来てサボっている」。

帝国データバンクの2016年7月の「女性登用に対する企業の意識調査」によると、全国の企業10285社の平均で、女性管理職の割合は6.6%だった。カルビーでは女性管理職の割合は2016年4月で22.1%。売上は毎年10%、利益は20%ずつ成長している。

「会社が社員の時間を奪っているから、社員が魅力的にならない。人間は時間があれば、勉強するし、教養を高められるし、家族を大事にする。魅力的な人間が、いい仕事をするのです」

「社長室のドアはいつも開いています」

資生堂:魚谷雅彦社長

2015年、育児時間を取る美容部員にもキャリアアップできる働き方改革を示した資生堂。女性の管理職比率は2006年の13%から27%に増え、来年1月に3割を達成するという。最終的には、50:50の機会均等を目指す。

ヒエラルキーをぶち壊すことが重要。年功序列、終身雇用のシステムでは、そのポジションになることがアガリになってしまっている。上司の世代が自ら行動を変えるには、自分たちのやり方だけではないと知ってもらうしかない」

会議や資料はスマートにする一方、社長室のドアをいつも開けておき、カジュアルに話せる環境をつくりたい、という。

「従業員が満足してこそ、おもてなし」

三越伊勢丹ホールディングス:大西洋社長

2009年から、業界に先駆けて国内百貨店の営業時間短縮や店舗休業日を導入。初売りを1月3日からにした。

「小売業は、お客様の満足度が原点。だが、販売員(スタイリスト)の働く環境が整わない限り、お客様に最高のもてなしはできません」

新規事業は女性に担当させるようにしている。

「私は明らかに若手と女性をえこひいきしている。50代の男性には別途、チャンスを与え、そこでも頑張れる人は評価する」

ただし、業績が下がっているのは悩みだ。社員からも「働きやすい環境整備はうれしいが、働く時間が延びてもいいから業績が上がるほうがいい」という声がある。そこで見据えるのは、10年後に会社が生き残れるかということ。

「何をやるにしても2,3割の反発や逆風はあるが、5〜10年後のために人材を育成していく。自分を信じてやっていくしかない」

「事務作業の代わりに、営業を強化」

東京海上日動火災保険:北沢利文社長

「時間にコントロールされた働き方から、時間をコントロールする働き方(時間創出)に変えていく」

従来の、長時間かけて成果を出すビジネスモデルを改革するため、会社全体で業務量を3割削減した。

仕事に優先順位をつけ、ルーティンの仕事は機械化した。顧客に付加価値を与えない仕事はやめた。そうすると、事務作業の専門性が高まり、事務から解放された人員が、営業活動を担当できるようになった。もちろんジレンマもある。

「一人ひとりの社員はキャリアの延長として仕事を続けたいと思っており、新しい仕事や違った仕事をすることに心理的な抵抗がある。それでも、適応能力を高めていかなければ取り残される。社員がクリエイティブに働けるように、トップ自らが積極的に発信していきたい」

「テレワークでコミュニケーション増えました」

NTTドコモ:吉澤和弘社長

女性社員の比率は21%、女性管理職の比率は3.6%と、先進企業に比べると、これからの感がある。顧客のニーズが多様化する中、人材力を最大限に発揮できるよう改革を進めている。例えば、会議はペーパーレスにし、30分以内に終えるのが目標。最初にゴールを決め、最後にラップアップ(まとめ)をする。

「『そういうわけでよろしく!』といった会議の終わりかたはダメ」

端末に強いNTTドコモならではのテレワークの推進も。コミュニケーション不足になることを心配する声もあったが、テレワークの前に上司と部下が打ち合わせることで、以前よりコミュニケーションが増えた感触があるという。

「しっかり働いたら、しっかり休む」

サントリーホールディングス:新浪剛史社長

5年前までは残業を減らす改革に取り組んでいたが、2016年を「働き方改革」元年と位置づけた。前年と比べ残業時間は1割減り、年休取得日数は2割増えた。

「社員も組織も仕事のやり方を見直すことで、最終的に会社は業績を向上させ、社員は賃金が上がり自由な時間ができるというwin-winの関係になるのが、前回と今回の働き方改革の違い。仕事はやり抜くことで成長するから、残業をゼロにすることは難しくても、そのあとにしっかり休む。メリハリが大事です」

「男の世界」と思われがちな酒の営業だが、ここ数年で女性の営業職は2倍に、マネジャーは4倍になった。

働き方改革は、競争力強化のためにやっています。だから改革のやり方も他社と差別化しないと、競争に勝てない」

新浪社長は、時間外労働の上限規制についても言及した。

「『お客様は神様』です。ここをどう乗り越えていくか。長時間労働はまずいということを社会問題にしなければなりません。長時間労働に対する規制の導入に、経済界では賛否が分かれていますが、私は経済人として邁進していきます」

イベントには、加藤勝信・働き方改革担当大臣も登壇。時間外労働の上限規制について、安倍首相が議長を務める「働き方改革実現会議」で議論する、と述べた。

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