お金持ちがホームレスを体験するチャリティイベント、VRを導入したら大炎上

    バーチャルで何がわかるというのか!

    オーストラリアで毎年開かれているチャリティイベントCEO Sleepout。これは、ホームレスを支援するための資金を集めるイベントで、さまざまな会社のCEOが一晩ホームレス体験をして寄付金を募るというもの。

    facebook.com

    段ボールで一夜を過ごすCEOたちの中から、一般参加者は好きなCEOを支援し、彼らを通して寄付をすることができる。

    今年のCEO Sleepoutは、つい先日開催されたばかり。南半球にあるオーストラリアの季節は、日本の逆。つまり、冬の寒い夜を、支給された段ボールに横たわって過ごしたのだ。

    Facebook: VinniesCEOSleepout

    イベントはオーストラリア中で、複数都市で同時開催された。しかし、シドニーでの様子がイベント運営公式アカウントからツイートされるや否や、苦情が殺到した。なんと、CEOたちはVRヘッドセットを装着し、バーチャルでホームレスを体験していたのだ。

    Our Sydney CEOs using virtual reality to get a glimpse of the realities faced by the people who experience this eve… https://t.co/QFHgdt3hrl

    「シドニーのCEOは、ホームレスの人が毎日直面している現実の一端をバーチャルリアリティを使って体験中」

    これに対して、SNSでは「貧困を嘲笑する行為」「感覚がおかしい」と、数多くの批判がよせられた。

    「問題提起はしたいけれど、実際は汚い貧乏人とは接したくないわけか」

    @CEOSleepout When you want to be woke but don't actually want to mingle with the dirty poors

    「バーチャルの寒さ、バーチャルの危険、バーチャルの空腹、バーチャルの病気、バーチャルの絶望…」

    @CEOSleepout Yes! Dealing with the virtual cold, the virtual violence, the virtual hunger, the virtual untreated il… https://t.co/IFxJBnCAKW

    「ただ動画見せられてるだけなのに、CEOたちも何も言わなかったのか?」

    @CEOSleepout It's gonna be weird when they don't give a shit because all you did was make them watch a video, huh?

    「ホームレスはゲームじゃない」

    「こんなことより、外に行ってホームレスの人に話をきいてみたら?」

    @CEOSleepout Or they could, I don't know, go outside and actually speak to homeless people and open their goddamn eyes? Wow... 😡

    「ここまで感覚がズレてるとは」

    @CEOSleepout Wow. Is it possible to be any more tone deaf?

    批判が殺到しながらも、CEO Sleepoutは500万オーストラリアドル(約4億円)以上の寄付金を集め、これはホームレスの人々への支援として使われる。

    1日体験と現実ですら違うというのに、このイベントにおける「体験」と「VR体験」の差はかなりのものだろう。現在のVR技術では、匂いや温度、触感までを再現することはできない。例えできたとしても、「リアル」と「限りなくリアルに近い」の間にある壁は大きい。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。担当:SOKO