【仏大統領選】マクロン氏とルペン氏ってどんな人? 決選投票の展望は?

    従来の左右対立から、焦点は...。

    フランス大統領選は、中道系独立候補のマクロン前経済相と、反EUを掲げる極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が決戦投票に進むことになった。左右の2大政党の候補が不在の決戦投票は異例で、ドゴール大統領が第5共和制を敷いた1958年以降初めて。

    25歳年上の妻

    マクロン氏は、EU賛成派の唯一の候補。多数のリーダーが輩出するフランス国立行政学院(ENA)を卒業したエリートで、投資銀行業でビジネスの頭角を表した。2012年にオランド大統領の経済顧問に就任し、2年後に経済相に抜擢されている。勝利すれば、39歳というフランス現代史上最年少の大統領となる。

    高校時代の教諭だった現在の妻との大恋愛でも知られる。25歳年上のブリジット・トロニュー氏は3人の子どもの母親だった。2007年に離婚し、マクロン氏と再婚している。

    マクロン氏は昨年、左右どちらにも肩入れしない新党「アン・マルシュ!(前進!)」を旗揚げ。オランド政権の閣僚を辞して、独自に立候補した。

    23日夜、支持者に「この1年で、フランスの政治的な面を変えた」と喜んだ。

    元党首の娘

    ルペン氏は弁護士で、国民戦線の元党首ジャン=マリ・ルペンの三女だ。右翼思想を強く押し出した党を現実路線に舵を切ることで、政権への道を目指してきた。2014年の欧州議会選挙では得票率約25%で、国内第1党に成長させた。

    「自国第一」を掲げて、国内雇用を重視。反EUを唱える。「反エリート」を訴え、既得権益を批判して、支持を集めてきた。

    決戦投票に進んだことについて、ルペン氏は「愛国者」の勝利だと述べた。

    左右から開閉へ

    ヨーロッパではいま、左右両派を分かつ旧来型の壁は崩れつつある。足元の焦点は、開かれた国か、閉じた国か——。グローバリゼーションによってもたらされる雇用、移民、アイデンティティの問題が取って代わった。

    マクロン氏とルペン氏の決戦投票ほど、この構図を如実に表す対立はない。マクロン氏は、自由貿易、開かれた社会、グローバリゼーションを押す。ルペン氏は、保護主義的、国粋主義的、大衆主義的なマニフェストを掲げる。

    ルペン氏は、決戦投票について「無法のグローバリゼーションに賛成か反対か。その国民投票だ」と宣言している。

    この対極的な2候補は、アメリカ政治の対立もそのまま反映する。オバマ前大統領は20日、マクロン氏を激励する電話をした。トランプ大統領は、ルペン氏が「フランス国内で起きていることに最も有能に対処する」と話している。

    ただ、2候補には有権者共通の期待もかかる。それは「変化をもたらしてくれそう」という点だ。

    支持率の変化。黄色がマクロン氏。青がルペン氏。

    マクロン氏がトップ

    仏内務省によると、得票率はマクロン氏がトップで23.9%、ルペン氏が21.4%で続いた(開票率96%)。いずれの候補も過半数を獲得できなかったため、5月7日に第2回の投票を実施し、大統領を選出する。

    決戦投票に進まない3位以下は、共和党(中道右派)のフィヨン元首相が19.9%、急進左派・左翼党のメランション氏が19.6%だった。社会党(与党、中道左派)のアモン前国民教育相は6.4%と低迷した。3月のオランダ選挙にみるように、ヨーロッパの社会党は、移民と国境政策を巡って、敗北を続けている。

    投票率は78.3%で、前回(79.5%)から1ポイント余り低下した。

    決戦投票へ

    フィヨン氏とアモン氏は敗北を認め、マクロン氏の支持に回ることを表明している。ただし、世論調査では、フィヨン氏の支持者のうち3分の1が、決選でルペン氏支持に回るとしている。

    一方、メランション氏は、態度を明らかにしていない。こちらは、支持者の4割が決選を棄権するとしている。

    こうした調査を元にすると、マクロン氏に流れる票が多いと見られるが、情勢は不透明だ。

    この記事は英語から編集しました。


    BuzzFeed Newsはフランス大統領選をめぐる記事「極右政党がゲイの支持を集める理由 同性婚より大事なこと」を配信しています。