「キーボードさばきがスゴイ」全盲の女性がタイピングする動画に感嘆の声が続出

    「目が見えなくなることは、あまりたいしたことではないよ」と伝えたい

    「目が見えない人はどのようにTwitterを利用しているの?」。そんな疑問に対して、あるTwitterユーザーが投稿した動画が話題になりました。

    この1週間、Twitterにてたくさんの方々から「全盲がどないやってTwitterやっとんねん」というご質問をたくさん頂いたので、実際に私がパソコンを操作しているところを動画にしました、どうぞ~😼💻

    さいちさんTwitterより / Via Twitter: @chambre_saichi

    キーボードで入力したアルファベットや変換された単語、「改行」など多くの情報が、音声で読み上げられています。

    この動画は、Twitter上に投稿されると、1万6千以上のリツイート、4万7千以上のいいね(11月16日現在)を集めています。

    「キーボードさばきがすごい」「手で入力してたんですね!」「最後まで見入ってしまいました」などたくさんのコメントが寄せられました。

    この動画を投稿したのは、鍼灸マッサージ師のさいちさん(@chambre_saichi)です。

    39歳のさいちさんは、1型糖尿病の合併症により両目の視力を失いました。大学4年生だった22歳のときでした。失明後に入学した盲学校で、鍼灸マッサージについて学び、国家資格を取得したといいます。

    愛用するのは、音声ガイドによってパソコンの操作を支援するアクセシビリティソフト「PC-Talker」です。

    さいちさんは、使い始めて10年ほど経つこのソフトを利用しながら、Twitterに投稿しているのです。

    動画を投稿したきっかけは…?

    動画をTwitterに投稿したきっかけは、我が子が「目の病気で失明する可能性がある」と発信した、あるTwitterユーザーを知ったからでした。

    そのユーザーは、「まだ現実を受け入れられないけれど、Twitterを通していろんな人の生き方を参考にしたい」と前向きなコメントをしていました。

    さいちさんは、その投稿に対して「現実を受け入れられない」との思いに共感するとともに、「目が見えなくなることは、あまりたいしたことではないよ」と伝えたいと考えました。

    そして、動画の撮影を決めたのです。

    点字からパソコンに変わること

    これまで、友人や知人から「あなたはどうやってスマホやパソコンを操作しているの?」と質問をされたことがありませんでした。

    そのため、動画がここまで大きな反響を呼ぶとは思っていなかった、と驚きます。

    「私が目の見える人と変わらず普通の生活をしていることを、私の周りの人は知っています。だから、できることはスムーズにこなし、本当に困っている時は友人や知人の手を借りようとすることを、理解してくれていると思います」

    みんな同じ方法である必要はない

    動画に対して「このブラインドタッチの速さを得るまで、相当な努力と時間が必要だったでしょう」といった多くのコメントが寄せられました。

    これについて、さいちさんは、盲学校で日々、パソコンを使っているうちに「自然と習得していた」と振り返ります。

    「子どもの頃からピアノを習っていたのですが、ピアノを毎日弾いているうちに上手になってくるのと、あまり変わらないと思います」

    また、音声入力など他の方法もある中で、タイピング入力をしていることについては「音声入力の方が楽だという方もいらっしゃると思います。ただ、私の場合は、このブラインドタッチ入力が楽だというだけなんです」と説明します。

    「全盲の人が、みんな同じ方法でスマホやパソコンを扱う必要はありません。自分に1番ストレスのない方法を見つけて工夫すればよいですし、その方法は百人百様です」

    インターネットを利用する上で困っていることは…?

    そんなさいちさんが、インターネットを利用するにあたり、困る時があります。

    それは「画像にテキスト情報が設定されていない」時です。

    例えば、ネットショッピングをしていると、購入ボタンが画像になっており、テキスト情報が設定されていないケースがあります。その場合、このソフトは「画像」とだけ読み上げるのです。

    「耳でしか情報を得られない私にとっては、それが購入ボタンであることを認識できず、スムーズに買い物をできないことがあります」

    投稿には「TwitterのAlt画像機能の大切さが分かった」「これからは絶対に画像にAltをつける」というコメントもつきました。

    それは、動画の後半で、ソフトが画像をどのように読み上げるかを確認でき、画像にテキスト情報を追加して設定する機能がTwitterでも利用できるからです。

    画像にテキスト情報を盛り込むことに好意的なコメントがあったことに、さいちさんは「とても嬉しかったです」と喜んでいます。