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「ドローン撮影した静岡県の水害」と虚偽画像が拡散。AIでフェイク生成? 県は「デマやめて」

静岡県の水害で街全体が水没しているかのような画像がTwitter上で出回っており、注意が必要です。

台風15号の影響で浸水被害などが続いている静岡県で、街全体が水没しているかのような3つの画像がTwitter上で拡散している。

発信元は「ドローンで撮影された」とツイートしているが、静岡県の担当者はこの画像を「今回の大雨被害のものではない。デマはやめていただきたい」と否定。

AIで作成された画像とみられる特徴もあり、発信元アカウントもその後、AIで画像をつくったことを認めた。静岡県の回答からも、このツイートは「虚偽」だと言える。

ドローンで撮影された静岡県の水害画像?

「ドローンで撮影された静岡県の水害。マジで悲惨すぎる…」

9月26日、このようにツイートしたのはフォロワー約500人の匿名アカウント。

ツイートには、街や家が水没している様子を上空から撮影したような3つの画像が添付されていた。

同日午後1時現在、2450リツイート、2700いいねと拡散している。

このツイートについて、BuzzFeed Newsは静岡県を取材。

危機情報課の担当者は「浸水はしたが、現在、水は引いている。水の勢いからも、今回の大雨被害ではない」と否定した。

そのうえで「デマ画像の流布はやめて頂きたい。県民の皆様には冷静な対応をお願いしたい」とした。

写真にはAI画像の特徴が

では、この画像は、実際に存在する災害の写真なのだろうか。

BuzzFeed Newsがツイートの画像をネット上で検索しても、同じ画像を確認することができなかった。

一方で、そもそも画像がAI生成である可能性が高いこともわかった。

今回の画像は濁流の流れや建物の形が不自然で、電柱や車などの流出物がみられない。また、画像が正方形で画質も粗いなど、AI生成画像の特徴がみられる。

最近では、テキストから画像を生成する「Stable Diffusion」を活用したサービスが手軽に利用できる。

この発信元も過去のツイートを遡ると、そうしたサービスを利用した形跡があった。

BuzzFeed Newsの記者が実際にこのサービスを利用したところ、類似画像を複数にわたり生成することができた。

発信元がAI利用認める

発信元アカウントは同日夕方、今回の画像は「Stable Diffusion」で生成されたものであると認めた。

なお、発信元のアカウントは前述の3つの画像のほか、「マジでやばい。大丈夫か静岡県…」という文章とともに、家の半分が沈んでいるような画像も投稿しているが、拡散している画像と同様に不自然な点は少なくない。

災害時はこのような偽・誤情報が拡散しやすく、注意が必要だ。

UPDATE

発信元アカウントの投稿を受け、記事を更新しました。


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