福島の描き方で物議 美味しんぼがついに連載終了へ

    【更新】原作者がブログで表明。小学館は「雁屋先生の書かれている通り」

    「美味しんぼ」連載終了へ

    人気グルメ漫画「美味しんぼ」の原作者、雁屋哲さんがブログを更新し、30年超続いた連載を終了させる意向を表明した。美味しんぼは直近の「福島の真実編」で福島第一原発構内など福島県内を取材した主人公が鼻血を出し、それを被ばくの影響だとする描写が批判され、福島の描き方を巡る議論となった。

    一連の問題について「ビッグコミックスピリッツ」編集部は美味しんぼによせられた批判、意見をまとめ、編集部の見解とともに誌面に掲載した。111巻続いている美味しんぼは「福島の真実編」以降、連載を休止している。

    雁屋さんの見解は…

    雁屋さんはブログの中で連載終了とこの騒動は別問題だと強調している。

    今回の休載は、例の鼻血問題で各方面から圧力がかかったからではありません。鼻血問題とは、全く関係がありません。それに、たとえどの方面から、どのような圧力がかかろうとも、スピリッツ編集部、小学館は勿論、作者である私も、それに屈することは絶対にありません。

    「美味しんぼ」は、これまでにいくつかの企業、団体から、気にくわないことを書いたと言うことで、攻撃を受けて来ました。

    「美味しんぼ」一つのために、小学館の発行する雑誌の全てに対する広告の出稿を止めて圧力を掛けてきた企業もあります。

    では、なぜ連載を終了するのか。

    「美味しんぼ」は、基本的に食べ物を主題にしており、原発問題だけを取り上げる漫画ではありません。

    その点は誤解のないようにお願いします。

    必要があれば、これからも原発問題に触れることもあるでしょうが、食べ物に関しては、まだ様々な題材があるので、原発問題に留まることなく、話の幅を広げ、より面白い漫画にしていくつもりです。

    しかし、いくら何でも連載30年は長すぎだ。

    そろそろ終わりにしたいと思っていますが、どんな形で終わらせるか。

    今までの登場人物総出演で、美味しい食べ物の話でどんちゃんどんちゃん楽しく騒いで大団円。

    そう考えています。

    美味しんぼは食がテーマだったこと、連載が長くなったので大団円で終わりたいというのが雁屋さんの考えのようだ。第1話で豆腐と水の味をテーマに、連載の第一歩を踏み出した。連載途中から、主人公の東西新聞記者、山岡士郎と父の海原雄山が「究極のメニュー対至高のメニュー」で対決。アニメやドラマ化もされ、社会現象になった。

    最後は当初のグルメ漫画から離れた、福島の描き方について議論を巻き起こすことになった。

    その時、福島を描いた漫画家は

    同時期に福島を舞台にした漫画を連載していた漫画家は、福島の描き方について、こんな発言をしていた

    そばもん」で福島のそばを主題にした山本おさむさんは「多様な事実を積み上げていくことで主張が出てくると僕は思っています。主張が事実より上なわけがないですよ。主張にあわせて取材してもしょうがないのです。事実から入ることが大事です。事実やデータを無視して主張先行で話を展開すれば、批判を受けるのは当然のことです」と発言。

    「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」の竜田一人さんは「問題は鼻血を出した、出さないじゃなくて、それが放射線の影響かどうかですよね。そこで『放射線なめるな』って話になるんですよ。現場で放射線の影響が症状として身体に出るようなことがあったら、それは即座に命の危険を意味します。そうすると私たちは1F(福島第一原発)で働くどころではなく、命の心配をしないといけない。それを防ぐためには、正しい知識を身につけ、適切な対処をするしかないんです。1Fとはそういう職場なんです」語っていた。

    編集部はどのような見解なのか。BuzzFeed Newsは取材を申し込み、編集部の返答を待っている。

    UPDATE

    小学館の広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し「すべて(雁屋哲)先生の書かれている通りです」とコメントした。