在特会前会長が動画削除のニコニコを批判「YouTubeは消さなかった」 見解を聞いた

    ニコ動とYouTube、別れる対応

    ヘイトスピーチが問題になっている「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠・前会長が3月16日、ブログを更新し、「(ニコニコ生放送の)『行動する保守運動』のアカウントを休止させました」と報告した。ブログの中で桜井前会長は、ニコニコを運営するドワンゴは「左思想全開」で、在特会のデモ動画を削除したと非難。一方で、YouTubeは動画の削除に応じなかった、と紹介している。

    在特会を巡っては、法務省がサイト運営者に対し、ヘイトスピーチを撮影した動画が人権侵害にあたるとして、動画の削除を要請。その中には在特会のメンバーが2009年11月に、東京都小平市の朝鮮大学校前で「朝鮮人を日本からたたき出せ」などと大声を上げた映像などが含まれるという(朝日新聞)。

    削除するニコ動、残すYouTube

    桜井前会長はブログの中で、ニコニコ動画が削除要請に応じたと批判。「Youtube側は『法的根拠のない要請は受け付けない』とし、カドカワドワンゴ側は『はい、早速削除します』と今年一月に該当する動画を削除していました」と主張している。

    YouTubeには桜井前会長のブログにリンクがはられている「行動する保守運動」の生中継サイト、これまでアップした動画が残っている(2016年3月17日18時現在)。

    YouTubeの見解は?

    BuzzFeed Newsは、YouTubeに取材した。

    YouTubeは「特定の動画や投稿者に対するコメントは差し控えています」とコメント。投稿者に「コミュニティガイドラインに沿っていない動画は投稿しないように呼びかけています」としている。

    人種、民族、宗教、障がい、性別、年齢、国籍、従軍経験、性的指向や性同一性に基づく個人や集団への暴力を助長または容認するようなコンテンツ、またはこうした特性に基づいて差別を扇動することを主な目的とするコンテンツは投稿できません。(YouTubeコミュニティガイドラインより)

    このガイドラインに在特会の動画が牴触するかどうか。言及は避けたが、「個別の動画の削除につきましても、コミュニティガイドラインや利用規約に照らし合わせながら、利用者からの報告を確認し、必要に応じて措置を取っております」と回答した。

    一方、ドワンゴ広報は電話とメールでの取材申し込みに対し「担当者のミーティングが続いている」として、現時点で回答はない。

    あるドワンゴ関係者はこう話す。

    「法務省の要請とは関係なく、運営の判断で在特会も含めて動画を消すことはある。表現の自由は大事だが、他人を攻撃する言論は放置しないというのが、一つの基準になっている」

    しかし、削除されたものの、支持者らによって在特会の活動動画はニコニコ動画上に再アップされている。