ホーキング博士はアルファ・ケンタウリへ宇宙船を飛ばし、地球外生命体を探る

    「私たちは人間で、人間は本能的に飛びたいと願う」

    物理学者のスティーヴン・ホーキング博士、ロシアの投資家ユーリ・ミルナーは12日(現地時間)、新たな地球外生命体の探査に乗り出すことを発表した。

    計画の名前は「ブレイクスルー・スターショット(Breakthrough Starshot)」。「今日、私たちは、宇宙への新たな一歩を踏み出すための努力をはじめる」とホーキング博士は記者に語った。「私たちは人間で、人間は本能的に飛びたいと願うからだ」

    ホーキング博士は、地球に最も近い恒星系であるアルファ・ケンタウリ(Alpha Centauri)に、地球から小さな宇宙船を大量に送りこみ、人類が居住可能な場所を見つけようとしている。

    4.37光年離れたアルファ・ケンタウリの中には、地球のような星があるといわれている。ホーキング博士は、この中のどこかに、人類が居住可能な場所が見つかる可能性がある、と語る。

    ホーキング博士が送りこもうとしているのは、「ナノクラフト」と名付けられるる小さな宇宙船。、計画に参加するハーバード大学のアビ・ローブは、ナノクラフトは「カメラ、光子力エンジン、電源、運行・通信機器」を搭載したコンピューターチップになると語った。

    ナノクラフトは、母船に搭載され、ロケットで宇宙に送られる。地球から放たれる強力なレーザービームで、探査活動へと放たれる。アルファ・ケンタウリに20年で到達した後、4年をかけて撮影をし、地球に戻されるという。

    計画の総額は50億ドル(約5000億円)から100億ドル(約1兆円)と想定されている。ひとまずの研究資金として、ミルナーは1億ドル(約100億円)を出資する。

    ナノクラフトを実現させるためには、機体を打つ上げることを可能にする超強力なレーザービームの開発が必要だ。パワーとしては、スペースシャトルを打ち上げるのと同じ程度のものが必要になる。また、機体が宇宙での事故や、宇宙デブリなどの影響を受けても耐えられるようにしなくてはいけない。

    NASAの研究者で、「ブレイクスルー・スターショット」のリーダーをつとめるピート・ウォーデンは「困難はあるが、我々は星を目指すつもりだ」と話した。

    ホーキング博士は、20年以内にナノクラフトが生命体を見つける可能性はとても低いと話した。しかし「地球は小惑星や、超新星、私たち自身が起こす危機にさらされている」とし、「人類が種として存続したいと願うのならば、自分たちの外に、生命体のある場所をみつけなくてはならない」と話した。