「僕たちの権利がないがしろにされている」 高校生が政治活動「届出制」に反発

    「認めるべきは政治参加の規制ではなく、促進のはず」

    投票する権利を得た。でも、政治的な活動をする自由は制限される。「そんなの納得できない」と声をあげた高校生たちがいる。彼らが何を求めているのか、話を聞いた。

    政治活動は届け出制

    発端は文科省が1月29日に出した通知だ。高校生のデモ参加などの政治活動について「休日や放課後に校外での政治活動に参加する場合、事前に学校に届け出させる」(朝日新聞)ことを認めたという。

    投票年齢が18歳に引き下げられ、今夏の参院選から高校生でも投票はできるようになった。それなのに、この通知に基づく届け出制が実施されると、政治活動の自由は制限されることになる。

    高校生にも声を上げる自由がある

    都内の高校3年生、福田龍紀さんはBuzzFeed Newsの取材にそう語る。

    今回の通知に反対する声明をFacebookで発表した高校生グループ「T-nsSOWL」のメンバー。声明にはこう書いた。

    認めるべきは政治参加の規制ではなく、促進のはずです

    学業に支障が出ないように?

    そもそも、なぜ届出制が必要なのか。

    文科省は「生徒の安全に配慮したり、政治活動に没頭して学業に支障が出ないようにしたりするなど、生徒指導上把握が必要なケースがあるため」と説明しているという(朝日新聞)。

    福田さんはこの説明に納得がいかない。文科省に直接電話して確かめたという。

    「デモは安全だというと『昔は暴力的なデモもあった』、やりすぎたら学業に支障が出るなら、ゲームや習い事はと聞くと、はぐらかされました」

    文科省が生徒の政治活動を制限するルーツは、1969年にさかのぼる。

    当時は学生運動が盛んで、機動隊との衝突などで負傷者も多数出た。文科省は「一部の高等学校生徒の間に、違法又は暴力的な政治的活動に参加したり、授業妨害や学校封鎖などを行ったりする事例が発生している」ことなどを理由に「学校内では制限・禁止。学校外でも望ましくない」と通知した。

    投票年齢の引き下げに伴い、この通知は廃止された。2015年10月に出た新たな通知では、生徒の選挙・政治活動について18歳選挙権を尊重し、学業・生活に支障がある場合などには「必要かつ合理的な範囲内で禁止・制限する」ことに言及した。

    これが今回の届出制につながっている。

    「まるで政治活動がヤバイことみたい」

    しかし、福田さんは「デモは安全」と語り、高校生の政治活動の重要性を強調する。背景には自身の体験がある。昨年、国会前で開かれていた安保法制に反対するデモに参加し、「ライブやイベントに行くのと大して変わらない」と感じた。

    「それなのに、デモに参加する時だけ、届け出なければならないのはおかしい。政治活動がヤバイことのように映って、高校生が萎縮してしまいます」

    福田さんは安保法制反対の立場から、昨年のデモに参加した。だが今回のT-nsSOWLの声明は、自分たちとは反対意見の政治活動であれ、尊重されるべきだとの思いから発表したという。声明にはこうある。

    私たちにとって、政治は『没頭するもの』ではなく、日常に普通にあるもの』です