「悪夢のような毎日」を目の当たりにした日本人女性が、イラストで伝えたいこと

    軍事クーデターが起こったミャンマーに住む日本人女性らが「いま起きていることを知ってほしい」と、軍事政権や民主化運動の歴史などを説明するイラスト解説を作りました。

    「日本で生活していると、軍事クーデターと聞いてもピンとこない人も多い…」「でも日本からの関心が必要。どうしたら日本にいる人たちに伝わる…?」

    ミャンマーの現状や、軍事政権、民主化運動の歴史を知ってほしいと、ミャンマーに住む日本人女性などが、絵でわかりやすく説明したイラスト解説を作成しました。

    ミャンマー国軍によるクーデターから2週間半が経過し、ミャンマー各地では警察によるデモの取り締まりなどが強化。緊張感がさらに高まっています。

    そんな中、FacebookやTwitterに投稿されたイラスト解説は約3千回シェアされ、拡散しています。

    2月1日のクーデター。現地ではネットなどの遮断も

    1962年のクーデター。国軍の独裁支配に苦しんだ人々

    アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が選挙で圧勝。民主化の道を歩んでいた中で…

    「非暴力で闘い続ける」「外国からも声をあげて」人々の声

    目の前の「悪夢のような毎日」、知ってほしい

    イラスト解説では、1962年の軍事クーデターからの軍の独裁政治の歴史や、人々が声をあげた民主化運動、そして軍・警察による弾圧の歴史や経緯を説明しています。

    ミャンマーの歴史や情勢について全く知らない人や子どもにも分かりやすいようにと、イラストで流れを掴みやすいように描かれています。

    BuzzFeed Newsは、イラスト解説を作成した2人の日本人女性に話を聞きました。

    イラスト解説を協力して作成したのは、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでNGO職員として働く30代のNishiさんと、日本で看護師として働く20代のReonaさんです。

    ヤンゴンに住むNishiさんは「軍事クーデター後わずか2週間ですが、警察が逮捕状なしで市民を逮捕してまわったり、無抵抗の市民が銃殺されたりと、日本で育った私には悪夢のような毎日が続いています」と話します。

    「少しでも日本に住む人たちに、現状を知ってほしい」、そんな思いでイラスト解説を作成しました。

    話し合いを重ね、正しく伝わるよう何度も描き直して作成

    2人はそれぞれNGOや病院での仕事の傍ら、NPO「開発メディアganas」で活動しています。Reonaさんはイラストで表現することを得意としていて、ミャンマーに住むNishiさんから今回「日本の人たちに現状を伝えたい」と打診を受け、協力してのイラスト解説作成に至りました。

    「ミャンマーの現状を聞いて、日々心を痛めていたのですが、私は医療者なのでデモには行けません。何かできることはないかと考えていたところだったので、是非!と引き受けました」(Reonaさん)

    イラスト解説を作るにあたっては「情報が誤って伝わる表現になっていないか」「理解しやすいイラストになっているか」など、何度も話し合いを重ね、数えきれないほど描きなおしたそうです。

    いざSNSに投稿すると、瞬く間に日本やミャンマーで投稿が拡散され、ミャンマーの人たちからも「ありがとう」という声が寄せられました。

    ミャンマーでは今回のクーデター直後から、若い世代が中心となってSNSで情報を交換したり、デモを呼びかけたりして抗議活動を展開しています。

    しかしクーデター当日からはネットが断続的に遮断されていて、デモに対する治安部隊の実力行使に加え、「SNS上での発言の自由も失うのでは」と人々は危機感を抱いています。

    「この軍事独裁政権を止めるには、日本をはじめ外国からの圧力や介入が絶対に必要です。ミャンマーに対する日本人の関心を高めることで、少しでも日本政府への働きかけにつながればと思いました」(Nishiさん)

    「頭を下げながらも行動し続けねばならない理由」がある

    また、在日ミャンマー人も東京や大阪など各地で抗議集会を開いています。応援する声もある一方で、ネット上ではコロナ禍で大人数が集まって抗議することへの批判も上がっています。それについてはNishiさんはこう話しました。

    「在日ミャンマー人が外務省前などで必死で助けを訴える姿が『コロナ禍なのに非常識』などの批判を受けていると聞きました」

    「その批判は理解できる一方で、どうしてミャンマー人たちは今、そうした批判に頭を下げながらも行動し続けねばならないのか、その危機感を日本人に知ってほしいと思いました」

    日本にいるReonaさんも、こう語ります。

    「歴史や背景を知れば、なぜミャンマー人が苦しんでいるのかが分かり、デモをしている人たちへの見方が変わると思います。一緒に考える人が増えればうれしいなと思います」

    「どうかミャンマーに関心を持ち続けて」

    ミャンマー国軍は2月13日、「市民のプライバシーと安全保護法」を一時停止することを発表しました。

    これにより、裁判所の許可なしで市民を逮捕したり家宅捜索したりすることができるようになります。

    Nishiさんは「今週になって、街には装甲車が増えました。警察だけではなく、軍が出てきています」と話します。

    連日、午前1〜9時ごろにインターネットが遮断されていて、抗議集会への制圧では逮捕者や当局による銃撃での死傷者も出ています。

    状況が刻一刻と深刻化する中、Nishiさんは、日本の人々へこう呼びかけます。

    「どうか、関心を持ち続けてください。ミャンマーのことを話題にしてください。可能な方は、在日ミャンマー人の日本政府への訴えを、どうかサポートしてください」


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