「手を振ったよ。だからいつか見てみるといいよ」。娘は父親がそう言っていたことを思い出した。
ランディさんは2017年3月に亡くなった。しばらくしてから、カリフォルニア州ターロック市に住んでいた娘のアンドレア・プリスタスさん(21)は、通り過ぎた車が撮った父親の画像がまだあるか確かめてみることにした。
住所を探してみると、父がいた。手を振っていた。
「父が亡くなってから最初に見たときは涙が出ました」とアンドレアさんはBuzzFeed Newsに話している。
そして今、たくさんの人が、亡くなった家族が写っているGoogleマップの画像をシェアしている。
亡くなった祖父が農場の外で座っているのを見つけた人がTwitterに投稿したのが始まりだった。そのツイートは多くの人にリツイートされ、「いいね」の数も45万近くに上っている。
「祖父が数年前に亡くなりました」と1月7日に@yajairaさんは書いている。
「さよならを言えませんでした。昨日、Googleマップが祖父の農場を通ったのを遂に見つけて、祖父が写っているか探してみたら、道が終わっているところで、祖父を見つけました。そこに座っていました😭」
このツイートを見て、世界中の道を走っているGoogleマップの車が亡くなった家族の写真を撮っていないか、両親や祖父母の住所を調べる人が続出した。
ポーラ・サリバンさん(22)は、ペンシルヴェニア州サウサンプトン市にある父親の家を探してみたとき、父親の姿を見つけるとは思っていなかった。
父親は2016年に他界していたが、Googleマップのカメラが玄関から出てくる父親の姿を捉えていた。
「玄関を遮っている木が見え、足が見えたので、角度を変えてみたら、父が歩いているのが見えました」とサリバンさんはBuzzFeed Newsに話している。
「気持ちが溢れました。父を見つけるとは思っていなかったのですから」
フロリダ在住のサリバンさんは、父親を予期せず亡くし、さよならを言う機会がなかったと話している。
写真はたくさんあっても、Googleストリートビューで父親の画像を最初に見たときは特別だったと振り返る。
「あの写真は見たことがなかったので、油断しているところを捕まえられたようです」とサリバンさんは話している。
ローレン・シュマッカーさん(24)は、2013年に祖母が亡くなった後、ペンシルヴェニア州アードモア市の家の外で、ガーデニングをしている祖父母の画像を見つけた、とBuzzFeed Newsに話している。
「とても現実離れしていました」とシュマッカーさん。
「ふたり揃って庭にいるというその瞬間が、私にとって実に現実的な瞬間でした」
「ガーデニングはいつもふたりでしていて、ふたりを繋ぐものでした。ふたりの結婚生活のなかで、大きな意味があることでした」とシュマッカーさんは語っている。
他の人たちのツイートを見て、まだ祖父母の画像があるかシュマッカーさんは確認してみた。そして、「ささやかだけど素敵な驚き」と話している。
「本当に見られて嬉しいです。最初に見つけたときから何年も経った今は特に。また見てみました。笑みがこぼれました」
アンドレア・プリスタスさんにとって、父親が車を洗っている画像は、父親を覚えておくもうひとつの方法だ。
その当時、カリフォルニア州は水不足だったので、父親は水を節約しようと芝生の上に車を乗り入れて洗っていたことを、アンドレアさんは思い出した。
「まだそこにいて、手を振っているみたいでした。まだ生きているような気になりました」とアンドレアさんは話す。
「よく車を洗っていました。車を綺麗にしておくのが好きだったのです。家の中で父が見当たらないときは、父は外にいて、車を洗っていました」
Googleが父親の家の画像を更新するかもしれないので、アンドレアさんは画像のスクリーンショットを保存している。亡くなったランディさんに会いたくなったら、Googleマップで家を探してみると驚くよ、と友人や家族に伝えている。
「大切な人を亡くしたら、試してみて」とアンドレアさんは言う。
「何かが見つかるかもしれませんよ」