日本では、南海トラフ巨大地震と首都直下地震が必ず発生するとされている。
内閣府は、地震対策ワーキンググループの報告をもとに災害のシミュレーションや被害の特徴、対策などをまとめた映像を作成。
ただし、大きな被害が予想されるにも関わらず、YouTubeにアップされている動画の再生数は驚くほど少ない現状だ。
内閣府によれば、南海トラフ巨大地震では、震度6弱から震度7の強い揺れが広範囲におよび、数分にわたって続くという。
今後、30年以内に70%程度の確率で、マグニチュード8〜9の巨大地震が発生すると予想されている。
南海トラフ巨大地震は、被害の規模も広がりも東日本大震災以上と想定。死者数は最大で32万3千人。これは東日本大震災の約17倍にのぼる。
いずれも過去の大災害を超える被害
首都圏で発生するマグニチュード7クラスの地震は、今後30年以内に70%程度の確率だという。
首都直下地震の死者数は最大で2万3千人になると報告されている。阪神・淡路大震災の約3・5倍だ。
少なすぎる動画の再生数
こうした人的被害だけでなく、経済的大打撃が国を脅かす可能性が高い。
だから、内閣府は2018年前半にシミュレーション映像をまとめて公開。被害を最小限に食い止めようとしている。
だが、YouTubeにおける映像(全体版)の再生数は12月26日現在、南海トラフ巨大地震が約2万8千回再生、首都直下地震が約8千回にとどまる。あまりにも少ないと言えよう。
南海トラフ巨大地震のシミュレーションは、3分9秒から6分12秒まで。
最大の特徴は「津波」
南海トラフ巨大地震の映像によれば、家屋の倒壊や家具の転倒などによる死傷者が多く発生するだけでなく、特筆されるのは津波被害の甚大さだ。
津波で、最悪23万人が命を落とすと予測されている。
南海トラフ巨大地震では、震源域が陸に近いため、津波発生から到達までの時間が短いことも特徴となる。
東日本大震災では、最大波の到達が最短でも25分だったのに対して、数分での到達が想定されるという。
そこで、東日本大震災において、津波がまだ見えないうちにただちに避難を開始し、彼らにつられて避難した地域の人々の命をも救った岩手県釜石市の中学生たちによる避難行動を紹介。
「津波から生き延びるための確かなヒントを与えてくれる」として、こう伝えている。
「津波から生き延びる方法はただひとつ。津波が来る前に高台や津波避難ビルへ逃げることなのです」
首都直下地震のシミュレーションは、3分46秒から6分4秒まで。
一方、首都直下地震は、都心部を囲むように分布している老朽化した木造家屋やビルを中心に揺れによる倒壊・損壊が多数発生するのが特徴。火災の多発と延焼も危惧される。
南海トラフ巨大地震と同様、被災者らは大混乱に陥り、心身ともに非常に過酷な生活を余儀なくされる。
HPには英語バージョンも
いずれの地震も防ぐことはできない。しかし、備えることで被害を最小限に抑えることは可能となる、と内閣府。
だからこそ、「備え」の大切さを呼びかけている。
映像はどちらも10分間以上と決して短いものではないが、日本に暮らす人なら誰もが見ておいたほうがいい。
内閣府のHPでは、英語バージョンも視聴できる。
どう備えたらいいのか、国はどんな対策を講じているのか。映像はシミュレーションだけでなく、ひとりひとりの対策の必要性をわかりやすく伝えている。