安倍首相にとっての"反省"とは。「支援が遅い」との指摘に返答したが...

    記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済支援の対応が遅いとの指摘があった。

    安倍晋三首相は5月25日、記者会見を開き、全都道府県で緊急事態宣言を解除すると正式表明した。

    報道陣による質疑において、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済支援の対応が遅いとの指摘があり、安倍首相は「反省すべき点は多々ある」と見解を述べた。

    緊急事態宣言の解除は25日付で、安倍首相は「世界的にも、極めて厳しいレベルで定めた解除レベルを全国的にクリアしたと判断した」と、その理由を説明した。

    1人あたり現金10万円を支給する一律給付金や、雇用調整助成金などの政府による支援について、「いくら『良いことをやります』と言っても、かなり時間がかかっている。どうしてなのか」と安倍首相に疑問を投げかけたのは、フリージャーナリストの江川紹子さんだ。

    「反省すべき点は多々ある」

    この指摘を受け、安倍首相はまず一律給付金について「IT化等々十分に進んでいないのは率直に認めないといけないと思う」と語り、マイナンバーと銀行口座が紐付いていない点に原因があると語った。

    「マイナンバーカードの活用において、カードと銀行口座がすでに結びついていれば、かなりスピード感を持って、対応することができたんだろうと思います。反省すべき点は多々ございますが、今回、その中においても地方公共団体のみなさまは相当頑張っていただいている」

    雇用調整助成金に関しても、「時間がかかっているのは事実」と認め、「政府全体として、どうだったかを真剣に反省しなければならないと思います」と語った。

    医療提供体制やPCRの検査体制など、政府の対応の検証を並行して続け、新型コロナウイルス問題が収束後に改めて総括するという考えを示した。

    「接触確認アプリ」の導入も

    一方、安倍首相はプロ野球が6月に無観客で開幕して段階的に観客を増やしていくこと、コンサートや各種のイベントも順次拡大していくことを挙げる一方、「身の回りに新型コロナウイルスは確実に存在している」と、引き続き警戒することを呼びかけた。

    「ウイルスへの警戒、感染予防を怠った途端、一気に広がっていきます。感染防止を両立しながら、社会経済活動を取り戻していきたい」

    そのうえで、外出時のマスクの着用やスーパーなど商業施設で見られる人と人との間隔を開けての整列など「3つの密を避ける取り組み」を続ければ、第二波、第三波を抑えられる可能性が高いという考えを示した。

    首相はさらに、来月には政府公認の「接触確認アプリ」の開発・配布を行うことを表明し、利用を呼びかけた。

    これは陽性と判明した人とアプリ利用者が濃厚接したの可能性があるかが自動通知されるシステムだといい、感染者の早期発見に役立てるのが狙いだとした。