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これは意外...!福島第一原発にあるローソンの人気商品を聞いてみた

普段から私たちが利用しているローソンの店舗とは、異なる点が多い。

事故の収束と廃炉に向けた作業が続く東京電力・福島第一原発で、作業員の人気を集める場所がある。コンビニの「ローソン」と食堂だ。

現場で働く作業員は、どんなものを買っているのか。街角にあるお店とは、どう違うのだろうか。BuzzFeed Newsは現場を取材した。

福島第一原発構内にあるコンビニは、2店舗のローソンだ。

「ローソン東電福島大型休憩所店」は2016年3月に、「ローソン東電福島第一新事務本館店」は17年3月にオープンした。

いずれもフランチャイズ店だ。15年から始まった構内の食堂に食事を提供する「福島復興給食センター」にも携わる地元企業「鳥藤本店(本社・富岡町)」に、東電が出店を依頼した。

「復興の役に立ちたい」と、その関連会社が経営する形で開店が決まったという。

「野戦病院」からの改善

2011年の原発事故後、構内では食料品や日用品を購入できない時期が続いた。

作業員らは構内に入る前に食品を買って持ち込むか、弁当を持参していた。

しかし、15年に大型休憩所が完成すると、食堂が整備され、さらにローソンもできたことで、労働環境は大きく改善された。

作業員はいまも1日3500〜4千人おり、多くが利用しているという。

福島第一原発構内で、BuzzFeed Newsの取材に対応した東京電力の担当者は、こう話した。

「今では食堂、コンビニだけでなく、シャワールームなども完備しています。それまでは、野戦病院みたいになっていました。やはり体も休まりませんし、作業員の皆さんは本当に大変だったと思います」

福島県産を使った日替わりメニュー

食堂では、5種類の日替わりメニューから選べ、すべて390円。食材は、主に福島県産を使用している。

BuzzFeed Newsの取材班は、東電社員たちとともに、この食堂で食事をとった。どのメニューも量は多めで、お世辞抜きに「安いし、おいしいし、毎日食べたい」と思った。

原発構内では調理できないという決まりがある。常に温かい食事を提供するため、大熊町にある給食センターから数回にわけて、出来立ての食事を運んでいるという。先出の東電担当者は言う。

「食堂で温かい食事を食べられるようになったのは、現場では驚異的な進歩です。作業員の多くも嬉しかったのではないかと思います。食事が良くないと、現場では頑張れないですから」

元原発作業員で、今は本業の漁師に専念するいわき市の男性は「あそこの飯うまいよね。大盛りだし。ほぼ毎日、食ってました」とBuzzFeed Newsに話した。

一般の店舗と違って、売られていないものが多い

一方、ローソンは、普段から私たちが利用している店舗とは違うところも多い。

ゴミ処理の問題もあり、缶やビンに入った飲料、お弁当類は並んでいない。酒類と雑誌も、ここが職場ということで置いていない。

また、調理できないため、ローソンの名物商品「からあげクン」や「Lチキ」もない。コピー機や「ゆうパック」、「Loppi(ロッピー)」などのサービスもない。

それでも、東電の担当者は「おかげで構内でも、人間らしい生活ができるようになりました」と感謝していた。

一番人気はシュークリーム!

そうした店舗で、作業員たちがどんな商品を買っているのか。売上ランキングは次の通りだという。

1位=大きなツインシュー

2位=プロテイン系飲料

3位=駄菓子

4位=ボトルコーヒー

5位=即席麺全般(特に新商品)

まもなく事故から9年。政府の廃炉工程表によると、福島第一原発は11年の事故から30〜40年で廃炉を完了することを目標とする。

2018年には原発敷地内の96%で防護服が不要となるなど、放射線量を抑えるための対策や除染作業が進んでいる。それでも放射性物質と戦っている以上、構内にはリスクもある。

「一緒に戦っている仲間」

その中で、どんな思いでサービスを提供しているのか。大型休憩所店の黒澤政夫店長は、BuzzFeed Newsの取材にこう答える。

「原発内で作業されている方は、様々な不便を感じていらっしゃいます。皆さんが、少しでも居心地よく、頑張ってもらえる場所を提供したい。笑顔でお出迎えすることで、皆さんの活力になってもらえれば良いなと思っています」

大切にするのは、笑顔と、作業員らとのコミュニケーション。一緒に働く店員だけでなく、来店客からも声をかけてもらいやすい雰囲気作りを意識しているという。

それもあって、施設内の通路で作業員から積極的に声をかけられることもあれば、福島第一原発での作業を終えて別の現場に向かう人から「今までありがとう」と感謝の言葉をもらうこともあるという。

「お客様から感謝の言葉をいただける時が、本当に嬉しくて、役に立っているんだなと実感しています」

「復興に向けて一緒に戦っている仲間なんだと想ってもらっていると感じ、さらなるやりがいと使命を感じています」