おもちゃ屋さんでよく見かける人形たち。このような"大量生産のセレブ人形"をリペイントするアーティストがいます。
人形にリアルさを加えているのは、フィリピン出身でアメリカのカリフォルニア州在住のノエル・クルスさん(@noelcruzdolls)。
クルスさんの人形は、6月に日本のTwitterでも話題になりました。
リペイント人形を作る目的は、「人形を最大限に本物らしき姿に近づけること」だとBuzzFeed Newsに話します。
人形のリペイントをし始めたきっかけは?
「私と妻は1980年代から人形集めをしているんです。2011年の夏に繊細に塗られた人形にネットで遭遇しました。気になって調べてみると、塗り直したものだと気づいたのです」
リアリズムを常に求めて、肖像画を幼い頃から描いてきたクルスさん。
塗り直す手法を初めて見かけ「自分も試してみよう」と思うようになったのです。
しかし、スケッチブックに肖像画を描くのとは違うことに気づきます。
「立体で描くのは、二次元とまったく違いました。その上、小さな面積で描いているのですから」
最初に作った人形はネットでまったく購入者がいなかったものの、作り方を研究していくうちに売れるようになったそうです。
「リペイントした人形が売れたことに興奮しました。私の人形を購入したいと思うほど欲しがる人がいるという感覚に。それ以降、セレブや有名人を中心に数百体の人形を描いてきました」
クルスさんのリペイントはエアブラシなど使わず、すべて手描きです。ヘアや体のパーツは場合によってはスタイルを新しくしています。
「大量生産型の人形は、ディテールが欠けていることがほとんどです。お人形遊びとしてつくられているものをリアルにするのは、チャレンジでした」
「別次元での想像力を養うことができ、肖像画をユニークな方法で描くことができるようになりました」
リペイントされた人形はコレクターの間で話題になり、今では大ヒットに。ネットオークションで2500ドル(28万円)の価格で売られることもあります。ネットでの反響についてもこう話します。
「人形やフィギュアをお遊び人形として見慣れてきた人にとって、魅力的に感じるんだと思います。リペイントは今まで見たり聞いたりしたことのない視点を与えてくれるのです」
「人形が本物そっくりに変貌することができるんだ、ということが徐々に認識されていっています」
クルスさん自身にとって、リペイント人形の魅力は「繊細さと正確さで、人形ではなくアート作品になる」こと。
「貧しい環境の中、独学で成長してきたアーティストとして、作品が注目されて16年もこのビジネスを続けることができ、恐縮ながら光栄です」